第四話 反撃開始②
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「……なっ!? アーノルド様? 何を仰っているのですか?」
ピレアが俺の行動に、目を見開く。そして俺へと腕を伸ばす。俺にかけた魔法の効果が、切れていることを瞬時に理解したのだろう。
「気安く触れるな。二度も貴様の操り人形になる気はない」
俺は伸ばされたピレアの腕を払う。ピレアの悪意ある魔法により、俺はクラリスを断罪する駒とされた。そんなこと、二度と御免である。
「……くっ!?」
手を押さえて後退りをした後に、ピレアは悔しそうな表情を浮かべた。
「クラリス、神聖魔法で皆にかけられた魔法を解いてくれ」
「は、はい!」
俺はクラリスに神聖魔法の使用を要請する。神聖魔法は聖女にしか使用することは出来ない。そして神聖魔法は全ての異常を無効化する効果もあるのだ。使い手の祈りに対して、魔法の効果が出るのが神聖魔法である。自由度が高いが、祈りの強さが効力にも現れるのだ。
急な俺の言葉にも、クラリスは承諾してくれた。そして両手を握り、神聖魔法を使用する体制に入る。クラリスも俺の態度の変化から、周囲の人間たちが操られていることに気付いてくれたようだ。
クラリスを断罪するこの場を壊すには、周囲の人間たちを正常に戻す必要がある。ピレアに操られた駒では話にならないからだ。
「させない!」
「邪魔をするな」
ピレアはクラリスによって、魔法を解かれるのを恐れたようだ。火の玉を魔法で放つが、俺が障壁魔法で防ぐ。神聖魔法を発動するまでの間は、クラリスは無防備である。そこを突こうとしたのだろうが、それを許す俺ではない。
「くっ! 邪魔をしないで!」
攻撃を弾かれたピレアは、悔しそうな表情を浮かべる。俺に掛けた魔法が解けているとは思わず。絶対的な味方だと慢心し、油断していたのだろう。ピレアにとっては予想外の展開の筈だ。
此処でクラリスの神聖魔法により、周囲に掛けた魔法が解ければ形勢逆転する。そうなれば、ピレアの嘘は露見する。焦らない方が無理だろう。
「いいのか? その様に焦っては、己に疾しいことがあると証明しているようなものだぞ?」
焦るピレアとは対称的に、俺は余裕の笑みを浮かべる。
「……っ! 貴方たち! アーノルド様は、悪女クラリスによって惑わされています! 御救いするのです!!」
ピレアは声を張り上げると、周囲にいる人々に命令を下す。真実とは真逆の発言である。俺は偽大聖女のピレアに操られていた。
「はい! ピレア様!」
「ピレア様のご意思のままに!!」
魔法の支配下にある人々は、ピレアの命令に従い。俺に向かって駆け出してくる。
「……っ」
本人たちの意思ではないとはいえ、手荒なことはしたくない。だが、此処で取り押さえられれば、再びピレアの傀儡になる可能性は十分にある。それは願い下げだ。彼らを拘束する為の魔法を発動しようと、手を翳した。
「アーノルド様っ!」
「良い頃合いだ。クラリス」
背後からクラリスが俺の名前を呼ぶ。如何やら、準備が整ったようだ。俺は手を下げた。
「操られているかとはいえ、アーノルド様に不敬ですよ! 惑わす黒き霧を払い、目を覚ましなさい!!」
クラリスの声が響くと、眩い光が辺りを照らした。
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