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勇者になってみませんか?  作者: 七瀬 優
プロローグ
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14/75

転職するのか?

 PCの作動音が時折カタカタとなる。

 俺とりんの体温とPCの廃熱で室内は寒さを感じることもない。

 PCの画面にはやっと見つけた『転職の神殿』のHP。

 ほとんどの職業の証が売れ切れていて、唯一残っていたのが、


 『遊び人の証』:10円


 1/50の値段にまで値下げされたこれだった。


 遊び人か……。

 どう考えてもネタ職業だよな。

 強くなるとはとてもじゃないけど思えないよな、それどころか、ものすごいバカになりそうだ。

 りんにはあきらめさせた方がいいだろう。

 さて、どうするか。

「あおちゃん、あおちゃん、どうやってこれお金払うの?」

 がま口サイフから10円玉を取り出したりんが身を乗り出してくる。

 う……これはもう、無理っぽいな。

「りん、この職業はやめた方がいいぞ。強くなんてならないぞ」

 一応、忠告してみるが。

「大丈夫、大丈夫、気にしない、気にしない」

 うん、まったく聞いてないな。限定とか、売れ切れ間近とかのうたい文句に弱いからなこいつ。

「本当にいいんだな?」

「うんうん、はやくはやく」

 最終確認にも軽い返事を返してくる。


 これはもう、とめようが無いな。

 俺の時と同じように購入手続きをする。

 

 しばらくすると、りん用に作ったフリーメールのアドレスに、覚えのあるメールが届いた。


――――――――――――――――――――

 ご注文ありがとうございます。

 添付ファイルに入金をお願いします。

――――――――――――――――――――


 添付ファイル起動してと……。

 前と同じように、募金箱のような箱が……なんか、ボロくなってるような。

 今回は見た目がダンボールで出来た箱だった。

「うわ~~。何か出てきた~~~~」

 りんはとてもうれしそうな声を上げる。

「りん、ここに10円入れろ。代金を入れる箱だ」

「どうやって出てきたんだろう?」

 りんは不思議そうに箱を手にとって弄り回す。

「おい、きいてるか?りん」

「うん、わかったよ~これで……」

 箱に10円玉をいれて、パチパチと柏手をうつ。

 って、りんそれは何か違うからな。


「うわ~消えちゃった~」

 りんがお金を入れると同時に、前と同じように箱は消えていった。


 もう一度、メールの画面にもどる。

 やっぱりきてた。


――――――――――――――――――

 入金確認しました。

 商品の方をお送りします。

 添付ファイルをご確認ください。

――――――――――――――――――


 添付ファイルを起動する。

「うわ~光った~」

 やっぱり前回と同じだな。

 PCが光を放っている。どんな仕組みなんだろうな少し気になるな。

「あ、何か丸いの出てきた~~~」

 出てきたのは俺のとき時と同じようにメダルだ。ただし、かかれている絵が違ってこれにはジャグリングしてるピエロだ。

「うわ~メダルだ~~」

 りんは出てきたメダルを手にとって喜んでいる。

 

 そして、そして、そして……。

 りんは満足したのかメダルを大事そうに手にしてそのまま部屋を出て行った。

 って、何か忘れてないかりん?

「ああああ~~~~」

 一階のリビングから叫び声が聞こえたと思ったら、騒々しく階段を駆け上る音がする。

「あおちゃんみたいにするのはどうするの!?」

 ドアをバタンと開けて飛び込んできた。

 やっと思い出したか。


「そのメダルを持って、パソコンを……」

 PCを触ると言いかけたところで、ふと気がつく。

 こいつがPC触ったら壊れないか?それは困るな。

 それは最後の手段だな。

 まずは、

「そのコイン貸せ、俺がやる」

 りんに左手を伸ばす。

「お願い、あおちゃん」

 りんは『遊び人の証』を丁寧に俺の手のひらに乗せる。

 その瞬間、まぶしい閃光を放つと、PCに吸い込まれていく。

 あ、右手にマウス持ったままだったな。

 PCに触りながら、メダルを手にするという条件を満たしたのか。


「あれ?メダル消えちゃった」

 光が消えたあと、りんは必死に俺の部屋を探し回る。

「って、りん俺の部屋をあらすな~」

 あわててとめにかかる。

「でも、でも、メダル消えちゃったよ~」

 ベッドの下を覗いた格好のまま答えてくる。

「大丈夫だって、画面を見てみろ」

 りんにPCを見せる。

 そこには、


ステータス


 名前:東堂 凛(代理操作:来栖川 葵)

 職業:遊び人Lv1

 性別:女


 HP :5/5

 MP : 0/0

 SP :0

 EXP :0/1

 力 :1

 体力:1

 知力:1

 魔力:1

 速度:1

 幸運:1


スキル

 なし


魔法

 なし


装備

 右手   :なし

 左手   :なし

 頭    :なし

 腕    :なし

 体(上半身):セーラー服

 体(下半身):スカート

 足    :靴下

 アクセサリ:なし


 りんのステータス画面が表示されていた。

 おお、俺が代理操作してるって事まで書かれてるじゃないか。

 本当にどうやって調べてるんだろうなこれ。

「わ~私の名前だ。あと数字がいっぱい」

 う~ん、数学の授業でアレルギー出るならともかく、この程度の数値で数字アレルギーだすなよな。

「私の着てる服ものってる」

 りんは、自分の着てる服装と画面を見比べている。


「まあこれで、りんは遊び人に転職だよ」

「で、遊び人ってなに?」

 いまさらそれか?りん!

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