99話 元奴隷とメイド達
色々、名前に混乱が生じるのですが……(自業自得)
私はメイド長に連れられ、廊下を歩いていた。
ホレンダさんが先行して、私は後ろ付いていきながら廊下を見渡していた。
ふと気づいたことをメイド長、ホレンダさんに聞いてみる。
「あの、ここって……」
「ここは、デオルズド様の別邸でございます。ハルデルト国との境近くにあるため、すぐここに搬送されたんです」
私が途中まで言うと、淡々とホレンダさんが答えた。後ろ姿からなので表情が分からない、反応もしづらい。
赤い髪が肩まで伸びていて、歩く度にユラユラ揺れている。
あの部屋で聞いた名前を思い出す……えっと、ホレンダ・ウォーカス。ウォーカス? でも赤髪は珍しくもないし……。
「ナタルさんやハナさんとかなら、誰か答えられるのかな?」
「……!」
私が呟いていると、不意にメイド長が止まった。どうしたのかな?
私は「どうしたんですか?」と、聞くと「ハナを知っているの?」と聞き返してきた。声は若干震えていて、どうしたのか気になるけど。
「はい、仲良く話したりしてますけど……」
「……そう、ならよかったわ」
そう言って、再び歩き出した。メイド長の後ろ姿はどことなく、先程より嬉しそうに見えた。
ハナさん……本名って、お泊り会の時言ってたわよね。えっと……ハナレイド・ウォーカス。ウォーカス!?
「えっと……失礼ですが」
「それ以上は、言わないで」
「はい……」
という事は、彼女はハナさんの家族だと思う。歳知ってる訳じゃないし、両親とは判別出来ないわね。
ただ、声は少し浮ついた……声になっていた。なので私は深く聞かない事にした。
その後、無言のまま歩いて数分。ホレンダさんがある扉で止まって……ノックをする。
ホレンダさんは「入るわよ」と言うと奥で全員立ち上がる音がした。そのまま扉を開けると、4人の女性が立っていた。
綺麗に扉を前に、並んでいた。種族は全員違うようだった。
「今日から少しの間、働くマリアさんよ。仲良くしてちょうだい」
「「「「は、はい!」」」」
ホレンダさんは、溜息気味に小声で私に言ってくる「……デオルズド様が話してもみんなこんな感じなんです」と私は「……凄く怯えた感じになってますね」と小声で返した。
そして、全員にホレンダさんが。
「順番に自己紹介してちょうだい」
すると、全員がオロオロして順番が決まらない。ホレンダさんが「はぁ……ソゾナからお願い」と言ったら「はい……」と答えて1歩でる。
「私は……ソゾナ・メオランドです」
「よ、よろしくお願いします」
ソゾナという少女は、エルフだった。緑色の腰まである長い髪にエメラルドの様な瞳だった。一見すると気が強そうな印象だけど……何処と無く怯えている様子だ。
挨拶をしたら1歩を戻り、横の子が出てきた。
「えっと、ノ、ノコーエン・シノボードといいます……」
「よろしく」
ノコーエンさんは、狼人? のようだった。あまり知らないのだけど、こういう種族も居るのね。
灰色の短い髪と共に頭に狼耳がついていた。後ろで少し横に振れて見える尻尾は、狼の尻尾の様だ。印象としては、元気で懐きやすそうだが……今は近づくと逃げて縮こまってしまいそう。
一歩下がると、次が出て来る。
「ムンア・ムーンライです……」
「え? あ、ごめんなさい……驚かせて」
つい、声を上げてしまったけど……ムーンライってリンアさんと同じ。何かあったのだろうか……。
ムンアさんは、リンアさんと同じ白く……長い髪で、紅い瞳。ただ……獣人族の特徴は無かった。人違いかもしれないわね。凄く、弱っていて今すぐにでも崩れそうな感じに見える。
一歩下がると、次が出る。
「私は、ザエホ・オーナゾン」
「よろしく」
次は、身長が全員より小さい……ドワーフ族という種族? のようだ。種族は脇でホレンダさんが、小さい声で教えてくれる。
茶色短い髪と茶色の瞳で。印象としては、気が弱そうなんだけど……今、凄く無理をして強そうな感じを出している風に見える。
これで全員の自己紹介が終わった。
ホレンダさんは「少しの間、交流を深めてください」と言って、私に耳打ちで「無理しないでくださいね」と呟いて。部屋から出ていった。
出ていくと全員はバラバラに散って部屋の隅に移動して……誰とも喋らなかった。
思ったより深刻そうね、私もあのままだったら同じ感じになるのかしらね。
最初に扉近くに腰を下ろしている。ソゾナさんに声を掛ける。
「こんにちわ」
「はい、どうしたんです……か?」
私は「ちょっとお話しない?」というと「構わない……ですけど」呟いた。
彼女の横に座ると、少し離れて座ってしまった。まぁ流石に最初から近づいて、仲良く成れる訳無いか。
「エルフ族ってどういう種族なの?」
「……高貴で、森の守護者よ」
「そうなの? エルフって初めて見るんだけど……」
私がそういうと「みんな殺された……何でこんな事になったのかも分からない」と怯えた様子は無くなったようだ。
ただ、かなり複雑な事情があるようね。
「あんたは、角あるが……魔族か?」
「私は半魔族、人間とのハーフよ」
「そうか、ここに来た経緯は知らないが……大変だったんじゃないか?」
少し、気を使っている様に喋る……彼女の本当はこんな喋り方なのではないか、と思った。
男みたいな喋り方ではあるが、少し凛々しい感じの彼女には合っていた。
私は「えぇ……色々あったわ、本当に」と言うと。
「変わっているな」
「そう? 私、自身そういうのわからないのよ」
「大体、異種族はさげすまれ……奴隷に落とされた時点で、自分の運命を悟るんだ」
そう、自分にあったことの様に呟いた。私は「周りにいい人達が居たのよ……だから、生きていられる」と言うと。
彼女は「そうか、私と違うんだな」と言った。
だけど、その後は喋りかけないでくれという感じに。口を結んでしまった。
私はそのまま居ると、ノックと共にメイド長が「入るわよ」というと全員急いで持ち場についた。
この先長そうね……。私は、久しぶりに見る。面倒な予感がしていた。
次は、マリアさん大活躍? と先は長そう?




