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半魔族の少女は料理と共に  作者: 秋雨そのは
6章 貴族と平民と試験
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98話 奴隷契約と主人契約

相変わらず、いきなり始まっていきなり終わる

 私は、何者かに頭を撃たれた事だけは分かった。

 気絶しちゃったみたい、起きた時には馬車の床に寝かせられていた。


 ただ、外は雨が振っており……馬車に乗っている男達も苛々しているようで「おいおい、こんな大雨になるなんて知らないぞ!」「俺に言うな!」と2人は怒鳴りながら喋っている。

 何処かに着くなら早く着いて欲しかった……。


 肌が雨で冷たくなっていく……それより、私は雨がダメなのよ。全然と言っていい程、恐怖を感じてしまう。

 私は波打つ様に降る雨を聞こえないように、耳を塞いでは目を瞑っていた。


 数十分辺りだろうか、揺れていた馬車は止まり。私は引っ張られては、ある地下に引っ張られた。男達は「なんか凄く、弱ってないか?」「まぁ売れば関係はないだろ」と言っていた……けど私にはそんな事を気にする程、気力が無かった。

 気絶していたせいか、隠れていた角は現れていた。


 手には枷が着けられ、動かせないようにされ。枷から紐のリードが引かれ、引っ張られていた。

 部屋に突如入れられたと思ったら、特に何もない部屋だった。人気も無く、牢屋とあまり変わらない場所。枷にある番号が何があるかは、なんとなく分かる。


 売られる時の番号だろう。

 あれから、何もしないでどのくらい立っただろうか……遂にと呼ばれた。


「お前が今日の目玉だ、早く来い」


 私は紐を引っ張られ、その場から動かされた。

 立たされた場所は何処かのステージの様な場所、複数の人が私を見てはどうしようか考えているようだ。


「さぁ皆様、こちらはマルズダマ国の貴族! そして半魔族というオマケ付き!」


「「「「おおおぉぉ~!」」」」


 歓声が聞こえてくる、それは嫌らしいなんてものじゃない。全身は濡れていて、何も考えられない……。ただでさえ体が冷え切っていると言うのに……。

 司会の様な人が声をだす。


「価格は最初から、黒貨1枚……さぁどうぞ!」


「10!」


「100!」


「500!」


 それぞれの人達は、声を上げて値段を提示してくる。もう少しで閉めようと、司会者が声をかける時。甲高い声が聞こえた。


「1000でどうだ?」


「1000!! さぁ他に居ますか? 居ませんね……落札となります!」


 その顔は何故か知っている様な気がした、ただ誰に似ていたのかも分からない。男の人は私に歩み寄って来た、先程から体が冷え切っていたのか……そのまま、私は寄りかかるようにして意識が切れた。


――――――――――――――――


 はい、これまでのあらすじです。

 何でこんなに陽気に喋っているんだって?

 それはもう奴隷じゃない……というかもうメイドね。


 実はあの時、私を落札した人って……デオルズド・ハズ・ヴィート。何処かで聞いたことある家名だと思わない?

 エオリアさんのお父さんだったのよ。

 何であんな所に居たのかも不明だけど……なんか命拾い? したわね。


「調子はどうだ?」


「はい、お陰で良くなりました」


 私が居るのは、ある個室……ただ、個室というよりは屋敷の一室と言ったほうがいい程の大きさ。

 服もなかったので、取り敢えずメイド服に着替えておいた。デオルズドさんは「それは良かった」と少し嬉しそうに笑った気が……した。


 凄く不器用な人で……表情が表に出ない上に、娘の事になると過保護になる。なのに、素直になれなくて嫌われたりするらしい。


「偶然というのは、本当に起きるとはな」


「どうしてあそこに?」


「元々、メイドが減ってきたのもあって。奴隷でも雇おうと思っていたのだ」


 デオルズドさんは「だが、そこに居たのは。あの娘が、エオリアが私達に合わせたいと言った少女と、一緒の見た目をした君がそこに居たからな」と呟いた。

 本当の偶然ってあるものね。

 それですぐにでも帰りたかったのだけど、デオルズドさんは「少し、協力して欲しい事があるんだ」と言って、こうやってのんびりしている。


 頼み……それは、メイド業をやりつつメイド達を励ましてくれないかという話だ。

 最近は、奴隷をメイドとして使っているためか。全然こちらに心を開いてもらえない上、萎縮されてしまうらしい。


「いいですけど……保証は出来ませんよ?」


「いや、君なら出来るさ……エオリアの心開かせてくれた君なら」


 エオリアから前は嫌われていたらしい、ただある日……教会でお婆ちゃんと会った時かな?  その時から初めて、手紙を届けられた。

 内容は私の事ばかりだったが、文面を見ては嬉しさを感じるほどだったそうだ。

 私、何もしてないのだけどね。


 デオルズドさん……凄く言いづらいけど、どう呼ぼうかしら。デオさん? その辺りでいいかな。


「どうしたんだ?」


「デオルズドさんの名前どう言う風に呼ぼうかと、思ってたんです」


「それならデオで構わない」


 そう言って、立ち上がって。扉の方に立ってからこっちを見ながら「私は書類の整理をするから、後はメイド長に聞いてくれ」と言って部屋を去っていった。

 メイド長って誰だろう?

 私は疑問に思っていると、扉が急に開かれ……1人の女性が入ってきた。


「メイド長のホレンダ・ウォーカスと言います」


 あれ? また、何か聞いたことのある名前が出たわね。本当に誰だったかしら。

 私は疑問に思いつつ、メイド長と今後の事で話し合うことになった。

次は、メイド達の~?

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