93話 獣人と差別
暗そうなタイトルだけど、普通ですよ……。
私達は、のんびりと庭園辺りで昼食を取る事にした。
歩いていくと、誰かが先に座っていた。
近づくと、ノームとメオドールさんだった。あれ……お邪魔になっちゃうかな? 少し挨拶して離れようかしら。
「ノームさん、メオドールさんごきげんよう」
「あら、ごきげんよう」
「こんにちわ、今日は別な人と昼食みたいだね」
刺々しい雰囲気が無くなったメオドールさんは、なんかむず痒くなるような……。いいことだけど、キャラが変わりすぎよね。
2人と挨拶したら、そんな事を言われた……。リンアさんはノームと喋ったことあるのだろうか。
そういうことで聞いてみると。
「リンアさんは初対面?」
「そうね、平民の方にはあまり行かないから」
庭園の椅子は意外と多い、6人で座っても数席余るくらい。
意外と人気無くて、座る人居ないのよね……。私は良くここを利用するけど、人は少ないわね~。
ケルトさんは特に気にした様子も無いけど……、凄く居づらく無いのかな? それ言ったらメオドールさんもだけど。
「私達はお話しながら食べるけど。貴方達は2人で喋ってみたら?」
「そうですね」
「喋る事は無かったからね」
ノームは、ケルトさんとメオドールさんにそういうと……。2人は返事をして、その反応が意外だったけど。
リンアさんは意外そうな顔をしていた。どうしたのかな、噂と違うとかだろうか……噂自体知らないけど。
「聞いていた噂より、凄い綺麗で優しそうな人ですね!」
「噂なんてあるんだ……」
「確か、聞いた話だと……極悪令嬢とか、誘惑して第2王子を手なづけたとかかしら」
そんな噂聞いたこと無いけど、ミネールさんも頷いて「確か、そんな内容だったはずよ」と答えていた。知ってたんだ……。
もしかして、色々知らないの私だけ? そういえば、ナタリアさんは同じクラスなのに試験知ってるんだろう……ゲームの知識?
「私ってそんなに必要な事、知らないの?」
「私達が、知っているだけよ。ナタリアさん辺りは……あの知識でしょうけど」
「あのって何かしら?」
ですよね、私達2人が納得しているとミネールさんが反応してくるが、教えてもしょうが無いので。私は「秘密よ」というと……「なるほど、教えても理解できないんですね」と察したように、答えが帰ってきた。
リンアさんは話が理解出来ないのか、疑問符を浮かべながら。目を点にしてる。
「リンアさん、あの事言ってみませんか?」
「え? その……あの事ですか?」
「あの事?」
リンアさんは、頭に被った帽子を突ついていた。私はそれを確認して、頷いた。
ノームが疑問に思ったのか声に出していた。リンアさんは怖いみたいで……しょうが無いわよね、私だって怖かったけど。ケルトさんは特に気にしてなさそうだし、大丈夫だと思うけどね。
私が手を握って上げると、少し和らいだようだ。
「えっと……じゃ、じゃあ」
そう言って、帽子を外すと……ノームが肩を震わせて「まさか、あの獣人族ですの!?」とテーブルに手を付き乗り出していた。凄く目がキラキラしてる……。
分からなくもないわ、獣人族ってモフモフとか良く言われるから。実際どうなのか、気になったりするし。
「こ、怖がらないんですか?」
「怖がるなんて、あるわけ無いですわ! 酷い事でもされない限りですけど」
「ね? 意外と大丈夫でしょ?」
と私が言うと、抱きついてきた。どうしたのよ!? よく聞くと啜り泣く声が聞こえてきた。声を上げように上げられないじゃない……。
頭を撫でて上げると、獣耳がぴょこぴょこ動いていた。凄く、触ってみたい衝動にかられるけど……私は我慢して泣き止むまで続ける。
何か、種族の違いだったり……髪色で色々あるのかしらね。ノームは「聞いた話だけど、獣人族の扱いは良くないらしいわよ」と言ってきた。そうなんだね、前世ではそういうの無いから分からないけどね。
泣き止んだのか、顔をこちらに上げていた。目が赤いのは泣いてたからね。
「マリアさんは、どうして……こんなに堂々としていられるの?」
「私? 私はね……これでも色々あったのよ……」
「そういえば、マリアさんの話を聞いてないわ」
ノームと話したのは、転生前の事だしね。知っているのは、マルズダマ国の人達ぐらいだし……。
胸張って、答える程じゃないわね……。少し思い出したくない事あるし、処刑台とかね。
少し言いづらそうにしていると、ノームは「なんか、複雑な事情がありそうね……」と呟いていた。私は話を変えようとして声をかける。
「そろそろ食べないと、時間が来ちゃうわよ」
「しょうが無いわ、エンカさんに聞く事にするわ」
「私は、マリアさんが話てくれるまで待ちます」
ミネールさんが、完全に話についていけていなかった。でも興味深かそうに私を見て「貴女の過去が一番気になるわ」と呟いた。喋ってもいいけど……おおっぴらに喋る事じゃないのよ。
そういえば、モフモフを堪能出来なかった! と思ったけど……大丈夫かな?
「リンアさん……ちょっとその耳触ってもいい?」
「え? あ、はい。くすぐったいですけど……いいですよ」
「わ、私も触ってもいいかしら……?」
ミネールさんも「私も触ってみたいわ」と言い出して、3人で少し堪能していた。凄く柔らかいし、いいわね~。癒やしかもしれないわ。
リンアさんはくすぐったいのか、体をくねらせたりしていた。
私とノームは「か、可愛い……」と声に出してしまっていた。
完全に蚊帳の外だった2人は……こちらを見て微笑んでいた。友情って素晴らしいな……くらい思ってそう。
賑わった昼食が終わり、教室に戻ろうとした時……。
「そこの2人に話があるんだけど、付いてきてもらえるかな?」
と男性が私とリンアさんに向けて言ってきた。
後ろにいる人は軽く10人を超え……学園の敷地内のはずなのに、誰も来る様子はなかった。
次は、ピンチ!……のはず何だけどね……。




