○地獄八景亡者戯◉ラウンド5
夢ともなく現つでもなく、空々寂々として暗ぁ~い所へ参りましハルアキたち九人の一行、その道中というと陽気なこと・・どこからとなく三味線のお囃子が鳴り始めていた。
先頭を歩くのは喜八と清六と康成であった。すると康成が
「おや、前を歩くのは母屋の料理番の与太郎じゃないかい。あいつは昨日残り物の鯖を食べてコロリと死んだはずじゃなかったかの?おーい与太郎、ちょっと待ちなさい」
「おや康成様もこちらへ」
「こちらって何処なんだい?」
「三途の川への道ですよ」
驚いたのは清八だ。
「与太郎やい!そりゃ本当かい。本当に地獄までやって来れたようだなキィ公」
「清さんよ。三途の川ってやつはどう言うとこだい」
「そりゃよ。奪衣婆ていう婆さんがおいらたちの衣服を剥ぎ取って相方の木の上にいる懸衣翁ってやろうにその重さを木の枝のしなり具合で生前の罪の重さを調べさせるんだよ」
「へぇやっぱ物知りだねぇそんなもんで罪の重さが解るって言うのかい。十二単着てるお貴族さんたちはみんな極悪人だね」
この奪衣婆は地獄の裁判の補佐役で罪の重さは、のちに行われる閻魔大王の裁判に使われるというが、この婆さんは元々は小野小町級の絶世のいい女だったのだが数多くの男陣への冷酷さへの罰として、死後に地獄で服を剥ぎ取る醜い奪衣婆となったとか、嘘かまことかそんな噂の人物でありましたが
「さあ皆さん一列に並んで並んで、順番にこの秤に乗ってください」
導魔坊一同は順番に体重計に乗っていくと「はーい皆さんの罪は規定内でしたのでその先の渡し舟まで進んでください」
「おいやけに事務的だよな」喜八が言うと清六は「着てるものを剥ぐってやつが評判が悪いんだろよ。苦情が出てこんな形になったんだろうよ」「地獄の沙汰もカスハラ次第ってこったな」と二人は言いながら渡しまで進んでいった。




