○地獄八景亡者戯◉ラウンド2
目指す目標があれば何が何でも間に合わせる食への追求心は誰にも負けていない。福原の浜まで行って帰って一時間半、晴明は戻って来ていた。
「淡路で採れたてのトラフグだよ!!三匹あるからタウロお願いね。あとは何か必要なものがあれば言ってよね」
ゴロリと流しに河豚を転がして置いた。
「こりゃ上物だすよ。うひょ腕長なるだす」一尾を掴み上げると「清やんと喜ぃ公!よく見て覚えるだすよ」
というと口を切り落とし背鰭胸鰭と鰭を切り落としていく。「これを干して熱燗に入れるとひれ酒の出来上がりだすよ。二、三日で出来上がりで奥さんも覚えておくといいだす」
そして巧みに背中の皮を剥がしお腹の側も剥いでいった。中間層の皮下組織を剥がし取ると
「この部分は身と皮の隣、三河の隣、遠江だす。コラゲーンたっぷりでプルプルして美味しいだすよ」この洒落は二人にはわからなかったが解説をしながらどんどん身を捌いて、毒のある内臓と切り分けて並べた。
「こっちから先は絶対に食べてはダメな部位出す覚えておくがいいだす」残り二匹も同じように捌き終えると
「これで下ごしらえは終了だす。今から刺身を作るだす」タウロは刺身包丁に持ち替えると薄く薄くそぎ切って青磁の丸皿に花びらのように並べた。「師匠スゲェでがすよ。まるで大輪の牡丹が咲いた見ていだ」清六は褒め称えた。「お主たちもやってみるだす」それぞれに切り身を渡した。
二人の作った皿を見て「うむ、まずまずだす。それじゃ残りをぶつ切りにしてこっちの大皿に並べて、野菜と出汁を引いておくだす。これから旦那様とオオガミをヤマサキまで送ってくるだす。坊っちゃんそれじゃ、失礼して行ってくるだすよ」タウロは厨房を後にした。




