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四葉のクローバーの効果は、予期もしないタイミングで私に舞い戻ってきた。
「ちょっと時間かかっちゃった。」
そう笑ってテーブルに大金を並べ出したのは、あろうことか芝さんだった。
困惑する私をよそに、芝さんは豪遊をし始めた。
飲んだこともない赤ワイン。
飲んだこともないシャンパン。
どんどん上がる売上に、私の頭はついていかない。
芝さんはただただ楽しそうだった。
「芝さん、どうしたの…?」
そう口に出さずにはいられない。
そんな私をよそに、芝さんはまた笑った。
「言っただろ?凛ちゃん。これはね、投資だ。」
「…投資?」
芝さんはそれ以上言葉を続けなかった。
投資?
…私への?
理解ができない。
これが“私を愛する”の答えなのだろうか。
そう考えながらも、芝さんに聞くことはしなかった。
きっと答えを探すことに、意味があると思ったからだ。
芝さんはきっと、私に何かを見つけたのだ。
投資をする理由を。
これは夜の世界の駆け引きなんかじゃない。
人と人との、関わりだ。
求められているのはきっと、この金を私がどう生かすか。
私は一度思考を止めて、芝さんが与えた時間をただただ楽しんだ。
上がる売上に喜んで、でもこれ以上使うことを薦めはしない。
もうありがたすぎる金額だった。
私の返済額の約3ヶ月分に相当する額だったからだ。
「驚いたよ。あの日から思考が止まらない。働くのがこんなにも楽しいのは久しぶりだね。」
芝さんはそう言って、グラスを口に運んだ。
「凛ちゃんのおかげだなあ。働きすぎて、お店に来るのが遅くなったくらいだ。」
「私はもう来てくれないと思ったよ?」
そう言って、顔を覗き込んだ。
「あはは!俺はね、くだらない話しかしないけど、嘘はつかないよ。」
そう言いながらジロリと向けられた視線は、全く不快なものではない。
優しい目だった。
「うん。知ってる。」
というか、今確信した。
この男は、純粋で少年のような人。
このお金とこの人を裏切ることは、きっと私を地獄へと堕とす。
「タクシー代。」
そう言って手渡されたのは、帯のついた札束。
「ねえ、どこまで帰す気?」
多すぎるタクシー代に、笑ってしまった。
余裕で飛行機にも乗れてしまう。
でも、拒否することはしない。
「うん。ありがとう。」
私はこの人を、芝さんの愛を静かに受け入れた。




