79.サリア様の影を追う
また注目度ランキングに入ってました!しかも67位!
嬉しいです、皆様いつもありがとうございますm(_ _)m
嬉しいので今日は時間帯を分けて3話どどんと更新しようと思います(*´ω`*)
私たちは早速胃袋を持って石化したドラゴンたちの元へ行った。巨大な胃袋なので胃液も2人分くらいは問題なさそうだ。
「かけるぞ」
カイトはそう言って、ドラゴンたちにかけていった。
シュウシュウと音がしてモクモクと煙が上がる。やがてそれらの反応が全て終わると、2人のドラゴンは目論み通り元の姿に戻っていた。
先に雄叫びを上げたのは見守っていたドラゴンたちだった。彼らは元に戻った同胞を固く抱擁し、共に生還を喜び合っていた。
「元に戻って良かった」
「アリサのおかげだ、ありがとう」
カイトもアマルさんが元に戻って嬉しそうだった。
「あの胃液、バジリスク以外に石化された時も聞くのでしょうか?」
「さぁ、それは流石に分かりません」
ギルバートさんは別の方に興味が向いたらしい。
「いずれにしろ、とんでもない発見ですよこれは」
「本当に。まさかバジリスクの石化を解く方法があったとは思いませんでした」
エリスさんもオークリーさんもそう褒めてくれた。
「アリサさんってたまに固定観念を覆してくるよな。ものの考え方とか見方が俺たちとは違うというか、柔軟性があるっていうか」
「異世界人だからじゃない?」
「異世界人って言うとアリサさんが急に遠く感じちゃうから嫌だ」
レオンさんがよく分からない拗ね方をしたので私は思わず笑ってしまう。
ひとしきり落ち着いた後、シルヴァさんが私に近づいてきた。
「フェアリーアイよ、礼を言う」
「いえ、シルヴァさんたちが手伝ってくださったおかげです」
「それでもだ。我々は石化した2人を諦めていた。お前だけが諦めていなかった。あのおぞましい魔物を退治するだけでなく仲間も救ってくれたこと、一同深く感謝申し上げる」
シルヴァさんたちが一斉に頭を下げた。壮観だが気が引けてしまう。
「頭をあげてください。偶々仮説が当たっただけですから」
「このことは長老にもしっかりと報告する」
シルヴァさんはそう言うと踵を返して去っていった。きっと早く良い報告がしたいのだろう。
そんな中、アマルさんが話しかけてきた。
「サリア様!また僕を助けてくれたの?」
「あー、ごめんなさい。私サリア様じゃないの、アリサって言います」
「え!サリア様じゃないの?こんなによく似てるのに?」
「うん、ごめんなさい」
信じられないようでアマルさんは私のことを仰視する。
「本当だ、よく見たら雰囲気が違うかも。カイト、カイトは同じ人?」
「ああ、久しぶりだな。随分と大きくなった」
「そうでしょ?会わない間に僕ってば随分と強くなったんだよ!今回はヘマしちゃったけど」
てへってやっているドラゴンを初めてみた。可愛い。何と言うか、体躯は大人なのにまだまだ中身は子供と言う感じだ。
「ねぇ、この人がサリア様じゃないってことはサリア様が死んじゃったって風の噂は本当なの?」
アマルさんが悲しそうな表情で聞いてきた。可愛いが、子供は時に残酷だと思う。
瞬間、カイトは傷ついたような顔をした。
(ああ、本当に可哀想なカイト)
私がサリア様じゃないばかりにカイトはこんなにも苦しそうな顔をする。
「アマルさん、目を瞑って胸に手を当ててみて」
「こう?」
素直な子供ドラゴンは言った通りにした。
「そう。そして目一杯サリア様を思い浮かべるの。助けてもらった時のこと、優しい眼差し、笑った顔、楽しい会話。覚えている?」
「うん」
「覚えている限り、サリア様はアマルさんの心の中で生き続けているわ。きっとここにいる皆の心にも。サリア様はちゃんと皆の中に息づいている。だからほら、もう寂しくないでしょ?」
何て子供騙しだろう。それでも人にはこういう慰めが必要な時があるのだ。
「そっかぁ、うん、そうだね。ありがと。アリサさんも優しいね」
「サリア様じゃなくてごめんなさい」
「ううん、でも不思議だね、凄くよく似てるよ」
「よくそう言われるわ」
「生まれ変わりなのかも!」
「そう、なのかな」
ツキンツキンと自尊心が疼く。ここはあまりにもサリア様の影が濃い。しかし私にはどうすることもできないので、胸の痛みは無理やり押し込めた。
この時カイトがどういう表情をしていたのかは、怖くて見ることができなかった。
アマルさんとの会話を切り上げてドラゴンの棲家に戻ると広場にはまた長老が待っていた。
「サリア姫、話は全て聞いた。本当に、本当にありがとう」
長老が深々と頭を下げる。
私はサリア様役をやることに少しげんなりしていたが、もう1つ大事な任務が残っていることを忘れていなかった。
「顔を上げてください、長老。…1つお願いがございます」
「なんだ?」
「今度の収穫祭にお越しいただけませんか?」
途端に長老の顔が険しくなった。
「サリア姫、自惚れるなよ。此度のことは深く感謝しているが、お前たちがワシらを放っておいた年月を忘れるでない。どれほど、どれほど待っていたか、お前にワシらの気持ちは分からんだろう」
(そうか、きっと毎年収穫祭に呼ばれるのを待っていたんだ)
そうして今年も呼ばれなかったと落胆していたに違いない。
「…約束を果たせず誠に申し訳ございませんでした」
私は深く頭を下げた。途端近衛兵たちが身じろぎをする。私は今サリア様として謝罪をしている。国から謝罪を入れているようなものだ。勝手に頭を下げるなと思っているのかもしれない。でも私はきちんと謝るべきだと思った。サリア様がいなくなったとしても使者を寄越すことはできたはずである。そう言った礼を尽くさずに和平など夢のまた夢の話だろう。
「もう良い。お前も大病を患ったということだし、今回のことでこの長い歳月については水に流そう」
「ご厚情を深謝いたします」
収穫祭に呼ぶのはそう簡単なことではないようだ。
(でも今回の討伐の成果で98年分はチャラになった)
今はプラマイゼロの状態である。
「長老、大変厚かましい限りですが、私にもう一度和平の機会をくださいませんか?」
「和平の機会だと?」
「あの日のやり直しをしましょう」
「…まさかまた飲み比べをしようと言うのか?」
「はい」
「ちょっと待てアリサ!」
「カイト」
私は真剣な眼差しをカイトに向ける。彼は気圧されたのか無言になった。
「ワシはもう飲めん」
「代わりに若い大酒飲みのドラゴンで構いません」
「お前も身体を壊したのだろう?」
「お気遣い痛み入ります。そうですね、復調しておりますが、もしかしたら前ほどは飲めないかもしれません。それであればそちらが有利ですよ」
「敵対をするつもりもないが今更和平など」
「長老、ドラゴンとの和平は私の悲願です。98年前にそれを成し得られなかったことを私は今でも後悔しておりますし、心から申し訳なく思っております。ですから今一度機会を頂きたい。勝負ですから私が負けたら大人しく去りましょう。そう、そちらが勝てば何も問題はないのですよ」
「焚きつけ方は昔と変わらんか」
「はい、あの日のやり直しですから」
私がそう言うと長老はクツクツと笑い始めた。
「懐かしいのう、サリア姫。そうかお前はワシらを見捨てたわけではなかったのか」
「お待たせしてしまったことは大変申し訳なく思っています」
「分かった、お前がそこまで言うのならその勝負受けて立とう。ワシらが勝てばそのまま帰られよ」
「はい、私が勝ったら今度の収穫祭にお越しください。次こそ約束は違えませんので」
こうして私は仕様もない決闘をすることになった。
次回は今日の20時台に投稿予定です。
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※「ら抜き」「ら入れ」「い抜き」などの言葉遣いに関しましては、私の意図したものもそうでないものもキャラ付けとして表現しております。予めご了承くださいませ。
※WEB小説独特の改行に悪戦苦闘中です。試行錯誤しながら編集しております。ご容赦くださいませ。




