78.比較的安全な倒し方
※やや残酷な魔物を倒すシーンがあります。苦手な方はご注意ください。
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昨日気が付いて吃驚したのですが、注目度ランキングの100位にランクインしてました!
作者も本作も初めてのランキング入りでとても嬉しいです(*'ω'*)
これもすべて日々読んでくださる皆さまのおかげです、本当にありがとうございますm(_ _)m
物語はまだまだ続きますのでご覧いただけると嬉しいです♪
「もし私の考えていることが正しければ、石化したドラゴンさんを元に戻せるかもしれない。ただそれだと既存の討伐方法は使えなくなるし、仮説が正しいかどうかもやってみないと分からない」
「もっと詳しく聞かせてくれ」
「その前にこれ外してくれない?」
「悪い、一度下がろう」
私は崖の縁でずっとカイトに目隠しされたままだった。バジリスクの見えない位置まで誘導されると視界が明るくなる。皆の顔を見ながら私は仮説を話し始めた。
「やっぱり石になった生物を食べるのは不自然だと思う。カイトの言う通り石の栄養素が違うという考えも否定はできないけれど、でもそれだと食べる前に毒牙をかける行動の説明がつかない」
みんな話がどう転がるのか分からず怪訝な顔をしていたので、私は先に結論を言った。
「バジリスクは胃液で生物の石化を解いているんじゃない?」
「それは、話が飛躍しすぎていませんか?」
ギルバートさんが反論する。
「確かに突拍子もない話ですが否定しきることはできないと思います」
「毒牙にかけてから食べるのは胃の中で暴れられるのを防ぐということですか」
エリスさんが確認するように問うてきた。
「そうです。通常蛇に丸飲みされた獲物は死ぬまで胃の中で生きています。石化が解かれた後に胃の中でドラゴンに暴れられては困りますから、食べる前に毒を注入しておくのではないでしょうか?」
バジリスクの猛毒は即死するので、元の姿になった時に毒が回ってたちまち死んでしまうというわけだ。
エリスさんに続き、カイトも訊ねてくる。
「もしアリサの仮説が正しいなら、バジリスク自身を石化して倒す方法は使えないということか」
「そう」
これが事実なら生の状態で胃を取り出す必要があるので、石化の討伐方法は使えないことになる。
「確かに可能性はありますが、それだと討伐のリスクが高まります」
隊の中ではやや保守派というか常識人のギルバートさんが正論を述べる。
「でも石化した2人に胃液をかければ、もしかしたら助けられるかもしれません」
ドラゴン2人の命か討伐のリスクか。討伐に向かう近衛兵5人の命と天秤にかけるとすればギルバートさんが正しいと思う。しかし助けられたかもしれないドラゴン2人を蔑ろにすることは国の情勢上あまりよろしくはないだろう。それにカイト自身思い入れのあるドラゴンが石化しているとあれば、救えるなら救いたいと思っているのではないだろうか。
「もし、あの2人を助けられる手立てがあるなら、我々も力を貸そう」
そう提案してくれたのはシルヴァさんだった。そして案の定カイトは折れた。
「…安全に生きた状態で殺す方法を一度検討してみよう」
「安全にと言うことであれば罠が定石だろうな」
「そうですね。問題は誘導ですか。バジリスクにとってあの近くにある石化ドラゴンが餌なら、罠の先に餌を置いても食いついてこないでしょうし。餌を移動するにはリスクがありすぎます」
すかさずオークリーさんとエリスさんが意見を述べる。
「じゃあ私が飛んで囮に」
「「「「「却下」」」」」
絶対駄目という皆の気概を感じた。しかし、餌で誘導できないとなれば、罠に追い立てるしかないがそれだとリスクが跳ね上がる。
(バジリスクが苦手なもの…)
「あ、じゃあ雄鶏の鳴き声で追い立てるのはどうですか?」
「雄鶏の鳴き声?」
皆にはてなマークが浮いている。
「元の世界のバジリスクの伝承だと、雄鶏の鳴き声に恐怖を覚えて逃げ出すか見悶えて死ぬと言われています」
元々バジリスクは雄鶏が産んだ卵をヒキガエルが孵化させることで誕生すると言われており、その名残からか雄鶏の鳴き声が弱点とされる。ちなみにバジリスクとしばしば混同されるコカトリスは雄鶏が産んだ卵を蛇が孵化させ誕生するとされ、蛇というより雄鶏の姿に近い形を取るためこの弱点を克服したとされている。
「雄鶏の鳴き声で死んでくれたら楽なんだけどなぁ」
皆の気持ちをレオンさんが代弁した。エリスさんが1つ咳払いをする。
「楽なシナリオは置いておいて、追い立てる方法と罠についてもう少し煮詰めましょう」
私たちはシルヴァさんと一緒になって比較的安全なバジリスクの討伐方法について議論した。
そして夜明け近い深夜。雄鶏が鳴き始める少し前に同じ崖上に集合し、作戦を決行した。
「本当に危険な部分をドラゴンさんたちだけに押し付けてしまってよろしいのでしょうか?」
「元々は我らの問題だ。それにこう暗ければ視線が合うこともあるまい」
シルヴァさんは平然と言ってのけた。昼のうちに役割分担をしておいたのだが、雄鶏を持って追い立てる役をドラゴンさんが自分たちでやると引き受けてくれていた。自分たちは飛べるし、暗くともバジリスクの立てる音で大体の位置が分かるので適任だとのことだった。
「では、行ってくる」
リーダーのシルヴァさんを筆頭に何人か飛翔した。その後ろ脚には雄鶏が入った鳥かごがぶら下がっている。
「上手くいくと良いんだけど」
雄鶏はちゃんと鳴いてくれるか、罠に追い立てられるか、罠はきちんと作動するか。というかそもそも前提としてこの世界のバジリスクは雄鶏の鳴き声が弱点なのかということも正直不明である。
独り言で言ったつもりがカイトがわざわざ返してくれた。
「駄目だったら諦めて鏡で退治するだけだ。ドラゴンたちもそれなら分かってくれるだろう」
「土壇場で変な提案してごめんね」
「助けられる方法があるなら試すべきだと俺は思う。むしろ提案してくれて感謝しているよ」
「ありがとう、そう言ってもらえると気が楽になるわ」
「しかし、待つのは暇ですねぇ」
エリスさんがふわぁと欠伸をした。
今回、私含め近衛兵の皆は昼のうちにバジリスク討伐の罠をセッティングしただけだ。バジリスクとの直接の対峙は本当に追い立て役のドラゴンさんたちだけなので皆ここで待機中である。ドラゴンさんには悪いが、皆が安全なのは私としてはほっとする。
やがて日の出が近くなった頃。
コケコッコーー!!!!
雄鶏が1匹、また1匹と夜明けを告げる時の声を上げ始めた。それと同時にズルズルと重たいものが移動する音が聞こえてくる。どうやら雄鶏の鳴き声は弱点で間違いなさそうだ。
ドラゴンさんたちは徒党を組んで、雄鶏がけたたましく鳴いているうちに罠のある方へとバジリスクを追い詰めていっているようだ。音が罠のある方へ向かっていく。そして。
ズシャッ!!!!
肉を絶つ音が聞こえた途端、ドタバタと暴れまわる音が轟いたが、やがてそれも止まった。
「様子を見に行こう」
カイトの一声で皆移動を始めた。
「あ、アリサさんは見てはいけませんよ」
「分かってますよ、オークリーさん。近くに行くだけです」
罠は崖伝いに設置した。しかも土魔法で少し地形を変えて両側から挟まれるような狭い空間を作っていた。蛇の狭いところに逃げ込む習性を逆手に取ったものである。その先にはギロチンを設置し、バジリスクが罠に入って紐を切ると大きな刃が自由落下する仕組みにしていたのだ。
「あちゃー、魔物が暴れたから崖崩れ起こしてるよ。掘り起こすのしんどそうだな」
「ドラゴンの方々が先に掘り進めて下さっていますね」
「これは出血死か圧死かな」
レオンさん、ギルバートさんとエリスさんがそんな会話をしている。私は地面をみつめているので音声だけでしか状況が読み取れなかった。
「油断するな、蛇はしぶといし狡賢いからまだ生きている可能性もある」
「オークリーの言う通りだ。仮に死んでいても目があったら石化する魔物もいるから十分注意しろ。アリサはここで待機」
「はい」
不服だが私は背を向けて待っていることにした。ドラゴンさんたちと皆はバジリスクを手分けして掘り進めているようだ。魔法もあるのであっという間に作業が終わっていた。どうやらきちんと絶命していたようで一安心である。その後は近衛兵5人で蛇を解体し胃袋を取り出した。
石化したドラゴンが元に戻るかどうか、いよいよ運命の時が来た。
ランクインに伴ってブクマ登録が微増しました!
大変嬉しいです、ありがとうございます(>_<)
少しでも気になった方はブクマ・評価等ぜひよろしくお願いいたします!
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次回は明日の12時台に投稿予定です。
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※「ら抜き」「ら入れ」「い抜き」などの言葉遣いに関しましては、私の意図したものもそうでないものもキャラ付けとして表現しております。予めご了承くださいませ。
※WEB小説独特の改行に悪戦苦闘中です。試行錯誤しながら編集しております。ご容赦くださいませ。




