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18.魔物について

先日はお騒がせして申し訳ございませんでした。

ここから第二章スタートです。

どうしても最初の魔物討伐なので説明回みたいなのが続きます……すみません……

 私は今、馬車に乗っていた。魔物の討伐のためである。


 そもそもこの7日間、私は地獄のタイトスケジュールをこなしていた。いきなり現地に行ってぶっつけ本番というわけにはいかないので、1日1属性ずつ魔法の訓練を行なわせてもらった。6種の属性魔法と無属性魔法でちょうど7日だ。朝の鐘から夕の鐘までびっちりしごかれた。


(それにしたって付け焼き刃だけどね)

 まぁやらないよりやった方が良いことは間違いない。


 訓練は魔法兵団と奇跡兵団の皆さまの協力の元で行われた。奇跡兵団とは光属性魔法が使える人たちを集めたところだった。分けられている理由としては光属性魔法を扱える人は希少な上、魔法の性質上攻撃よりも回復や補助魔法など後方支援中心の活動になることが多いためだ。

 ちなみに魔法兵団はその名の通り魔法に特化した人たちの集団で、属性魔法が2つ以上使えることが入団の最低条件らしい。なお騎士兵団は属性魔法1つ以上と武術に優れた者が入団し、近衛兵団ともなれば属性魔法が2つ以上と武術に優れた者でないと入れないということだった。そのため近衛兵団は騎士兵団の中から魔法にも特化した人物が選りすぐられて構成されているようだ。

 その他各地に歩兵団も駐在しており、これは志願すれば誰でも所属することができる。

 兵団の規模としては歩兵団がもっとも多く、ついで騎士兵団、魔法兵団、奇跡兵団と続き、近衛兵は選り抜かれたエリートのため一番数が少ない。


 日中は魔法の特訓をみっちり行い、夜は座学を行なった。主に地理やこの国の歴史についてである。地図を見る限り、この国は三方を山に囲まれ、それを国境としている。南だけ山ではなく海が広がっているようだ。魔物は山を隔てた奥地や海の果てからやってくる。国境にも城壁を築いているが、壊されたり、飛行されて侵入されるらしい。海に至っては壁を作ることもできないので常に見張りを立てておく必要がある。


 では魔物とは何なのか?それはこの国の歴史に関わってくる。いや歴史というより神話だろうか。面白いことにこの世界は神話が色濃く反映されている。おとぎ話というより史実のように語られているのだ。


 その話は要約するとこうだ。男神メタクシーと女神イヒネイカがこの世界と、人間、獣人、鳥人、魚人、妖精人の5種族を創造した。二柱が天に還った後、5種族は喧嘩をして大規模な戦争にまで発展、様子を見に来た二柱は荒廃した大地を見て5種族にそれぞれ裁きを下した。特にリーダー格だった人間は戦争を止められなかった代償として他の種族をまとめるためにより多くの魔力を与えられる代わりに寿命を他の4種族の半分に減らされているらしい。


(私から見たら人間も十分長命だけどね)

 見た目が20代のカイトだって間違いなく100年以上生きているのだ。


 閑話休題。戦争の引き金を引いた妖精人の罪は重く、美しい容姿からドラゴンへと変えられてしまった。そして二柱は荒廃した大地に小さな楽園を作り直した。それがこのパラディソスという国である。二柱は小さな楽園を保って暮らすこと、また贖罪することによって自分たちが再び地上に降りてきて、人間とドラゴンにかけた呪いの魔法を解くと約束して天へと戻っていったという。しかしドラゴンはこの裁定に納得ができず、北山に隠れ住み、たまに他の種族を襲ってくるらしい。


 ちなみにその時に女神イヒネイカが魔物について言及しており、神話の石壁の原文はこうなっている。


女神イヒネイカ曰く、

「ここを一つの国と定め、この小さな楽園を保ち、暮らしなさい。

 そしてもう一つ罰を与える。

 この国の外を亡霊の地とした。そこは戦禍を免れなかった無辜の民が集う場所。

 私はそこに彼らの長たる混沌を産み落とした。

 彼らの憎しみは谷よりも深く、悲しみは海よりも濃い。

 嘆きの声は高い山並みを越え、苦しみは地を這い、怒りが天を衝く。

 そこは不毛の地。誤って踏み入れた場合は命の保証はできぬ。

 しかし生者がこの地をかき乱さない限り、亡霊は微睡みの中に居続けるだろう。

 何故ならここは彼らの安寧と鎮魂の地なのだから。

 彼らがその微睡みから目覚める時、それは生者が足を踏み入れた時か、もしくは

――――欠けている部分①――――

 混沌は全ての汚穢と厄災を引き連れて復讐に来るであろう。

 我は神殿の試練の先に手助けの導を置いておく。

 これに臨み、導を頼りに混沌を打ち払うことができた時、

 我々はまた地上に降りてこよう」


 肝心の「もしくは」の後に続く文章が、石壁が欠けていて分からないのだ。まとめると魔物は戦禍を免れなかった無辜の民の成れの果てであり、国外はその者たちの亡霊の地となっている。普段は大人しいが、生者がその土地を荒らすかもしくは何かした時に魔物たちは暴れて生者を襲撃するということだ。

 現状魔物の被害が急増しているということはその2つのどちらかの禁忌を破ったということなのだろうが、おちおち不毛の地に足を踏み入れる不届き者がいるか?なら欠けているもう1つの逆鱗に触れてしまったと考える方が自然だが、如何せんその条件が分からない。


(この世界の人たちに分からないことが私に分かるわけないか)


 襲撃の原因や今後の対策について、そういう諸々のことは国の上層部が頭を悩ませるのだ。私の仕事はあくまでも魔物退治である。


 もう1つ、神話にはフェアリーについても記述があった。元々は妖精人が召喚した僕で、全ての自然とその法則を管理し、魔法を使うのを手助けする存在のようだ。ただ妖精人が罪を犯した際にその管理権は全てはく奪され、今は女神イヒネイカが管理しているのだという。


 地理の話に戻ると、私は今、王都から南の方にあるイーミ湖という国で一番大きな湖に向かっている。そこは王都と南端のちょうど半分くらいのところにあり、普通の馬車ならおよそ2日くらいの道程だが、今回は急ぎのため途中何度も何度も馬を交換しながら1日で移動する予定である。

 騎乗して馬を乗り継いで行った方がもっと早いに違いないが、如何せん私には騎乗経験がない。馬の2人乗りは乙女としては夢があるが、重量オーバーで長距離移動には不向きだ。7日の準備期間で騎乗訓練を組み込むこともできなかったので、移動は馬車ということになった。

 

 馬車の乗り心地は悪くなかったが、やはり長時間乗っていると疲れてくる。今日は日の出とともに馬車に乗り込み、日の入りくらいに着く予定なのだが、道のりの半ばを過ぎた辺りで既に心が折れかけていた。

次回は今日の20時台に投稿予定です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※「ら抜き」「ら入れ」「い抜き」などの言葉遣いに関しましては、私の意図したものもそうでないものもキャラ付けとして表現しております。予めご了承くださいませ。

※WEB小説独特の改行に悪戦苦闘中です。試行錯誤しながら編集しております。ご容赦くださいませ。


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