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夢の世界より  作者: ていきょー
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星暦168/2018(月)

おれは勘違いしていた。それはもう、大きな大きな。


ハルマの言う「せいれき」を、勝手に「西暦」だと思いこんでいたが・・・詳しくその話を聞くと「せいれき」は、「星暦」と書くらしい。そして、その星暦は偶然にも「2018年」だったわけだが・・・


その惑星の公転速度は10日、しかし自転速度は約120日。


そう、そこは地球ではない。そして「西暦2018年」でもない、未来だ。


赤色矮星ロス128を公転する、惑星ロス128bという星のさらにその外側を一定速度で回るオービタルリング、その第81居住区画が日本居住区であり、そこにハルマの家がある。


彼が口にしていた「ロス」はロサンゼルスなんかではなかった。紛れもなく地球人によって作られた地球外大型建造物を「ロス」と言っていたのだ!


実はこの日が来るまで訓練をしてきた。「明晰夢」の訓練だ。夢を自在に、というよりも夢を夢と自覚したまま、夢から覚めないように夢の中を好きなだけ動き回れるようになること、それが「明晰夢」。

訓練次第でそのようになれるという情報を得てからというもの、それに関する書籍やネットの情報を読み漁っては毎日訓練した。コツを掴むには十分な期間だった。


そして昨晩、ついにその時が来たのだ。あの夢が来ることをどんなに待ちわびたことか。今まではぼんやりとした記憶だったが、今回の夢の世界は鮮明そのもの。はっきり記憶を維持している。


ハルマは未来の人類であり、夢でつながっていたことに驚きっぱなしで昨日の夢のことは数日たった今でも鮮明に覚えている。


実に楽しい夢だった。


暦は1年がたったの地球時間で言うと10日と物凄い早さで公転しており、自転は逆にものすごく遅く1周120日ほどの長さ。なので自転は1年よりずっと長くこれを1日という計算にはしていない。星暦の計算上には地球時間の1日の周期を反映していて、2018年×10日、つまり地球で言うところの55年と3カ月が経過しているということだ。


惑星では朝と夜は自転というより、赤色矮星の周りを回る公転により5日をかけて日が明けては暗くなり、そしてもう5日は長い夜がある感じ。それが惑星ロス128bの周期。


曜日は、地球では「月火水木金土日」の1週間を7進法で表現しているが、ロスでも太陽系の星にちなんで、「日水金地月火木土天海」という10進法で表現している。ただこれは1週間とは言わない。1つ1つが月で、1年間だ。公転を10分割してこれを曜日で表現していて、一周すると年が繰り上がる。2018周したということらしい。それとは別に、年の数を10倍して地球時間では20180日が経過したことになるわけだが、地球歴の20180日を、自転の地球時間で120日を割った数がロス128bでいう日付、168日となる。この星暦は日数と年数を関連付けず、自転は自転、公転は公転で暦を分けていて、表記としてあっちは昨晩「星暦168日2018年の月曜日」だったそうだ。


ああ、書いていてパニックになりそうだ。

でもあちらでは普通らしい。水金地月火木が平日。土天海日が休日。週休4日みたいな感じだ。


じゃあ夜がずっと休日な感じか・・・?と、思いきや、週や日のような考え方はあっていてもそこは違った。あくまで夜は惑星ロス128bがそうなだけであって、オービタルリング上では昼夜が上手く調整されている。


人類がこのオービタルリング「ロス」に居住する理由がそこにある。ちゃんと1日を地球時間の24時間で昼夜を表現する為。地球と同じサイクルで巡ってくるように、回転しているのだ。


その他にも居住をオービタルリングにせざるを得なかった理由はいくつかある。例えばオービタルリングを公転とは逆の回転に速度をつけて地球と同じ重力を遠心力を表現している。


惑星ロス128bは地球よりも主に鉄が豊富な資源惑星には強力な磁場があることと自転が遅い関係で、質量は地球の1.3倍でも重力が曜日によって重い時は2.5倍、また軽い時は0.5倍と強弱が激しく、人間が生活するには適さない環境だそうだ。


それは地球から人類が旅立つ前の段階で既に探査機によって調査済みであり、リング自体の建設は巨大な3Dプリンタ建機と惑星ロス128bの資源によりわずか地球時間10年(星暦30日365年)で完了後、さらに建設が始まって地球時間10年(星暦60日730年)で好奇心旺盛な富豪から順次大移動が開始された。それが「西暦2049年」のこと。この大移動を「エクソダス」と呼ばれたらしい。


そこから光の速度の半分の速度でも、16光年先にあるので地球時間で32年かけて「ロス」に到着するわけだが、普通に考えて寿命的な問題が拭えないだろう。


他にも宇宙旅行をするには人類にはまだまだ課題が山積みのはず。普通に考えて他の惑星に移住など、無謀だとは思えないだろうか?


衣食住は?酸素は?電力エネルギーは?医療は?学問、文化は???到底準備してもしきれない物ばかりだろう。


・・・と、そんな何年も宇宙を航行できるような技術力が昨今の人類にあるわけが無いはずだと、ハルマの教科書に怪訝な反応をしめしていた。


「そっか、おじさんの時代にはまだG+NXKCureが無いんだ。」


「Gプラスエヌエックス? ・・・??なにそれ」


元々は小型のカプセル型タイムマシンで、それを応用した医療ポッドがG+NXKCureというものらしい。


驚いたことに、この小型タイムマシンは2040年代に起きた謎の大事故により未来より伝来したというのだ。


このVCX5000という列車のような乗り物がオレゴン州のとあるスタジアムに突如どこからともなく不時着(?)し、中の身元不明の人たちは全員死亡、この謎の乗り物の残骸から採取されたものが時間の概念を覆す技術だったそうだ。そのままオレゴン州立大学で研究が成された。


ただその技術はどういうわけか、いくら研究してもその乗り物が過去から未来に向かう技術、という研究結果しか得られなかったという。


物理的な乗り物自体は過去から来たものでも、未知の技術の仕組み自体は未来からの産物ということで、過去に未来からこの乗り物が伝来し、過去の人がこの未来の技術を利用し未来にやってきた、、、、、はあ、、、、文書にしておきたいのもやまやまだが、もうこれ以上この説明は、いいや。割とどうでもいいだろう。


かくしてこの仕組みを過去に遡るものに改良し、G+NXK6290というタイムカプセルが完成した。

更に応用が進み、肉体を部分的に修復できるG+NXKCureという医療ポッドが完成した。


2045年にはその医療ポッドが一般家庭に普及。


2049年のエクソダス時には全世帯の宇宙船内居住区にそれらがセットされることで最悪食事も病気も、人類にとって心配無用となったというわけだ。


若いころの自身の細胞(例えば部屋に落ちている古い毛など)さえあれば基本はその時点の主の血液情報を引き出し、その時点の血液のみ復元することで食料を摂取する必要が無くなった。他にももちろん肉体の部位を選択して治療することも可能。


寝ている間に自らの血液を医療ポッドに全て通してはその日その日の肉体の傷、痛み、疲労感など毎晩記録している遺伝子情報通りに修復され、全身の若返りを行うことが出来る。


この医療ポッドやタイムマシンにかかるであろう電力、たんぱく源、水、地球と同様の大気。肉体が必要とする資源の心配ももはや、対象範囲が狭い限りは、医療ポッドやタイムマシンでは消費しない。

何故ならそれすら空間ごと過去の状態に戻せるのだから・・・・


もはや医者は不要。

代わりに医療ポッドが故障した際に修復できるAIロボットのエンジニアだけが必要だった。

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