西暦2024年2月 命とは
「テレビとかSNSでコロナの第7波って今までで一番死者数と感染者数を増やしてるらしいけどさ、コロナって実は、宇宙人なんだよ。知ってた?」
は? という顔をする麗美の顔を思い出す。
「フーン」
麗美は無関心の様だ。
「まずね、ネバダ州にあるエリア55に隔離されている宇宙人サンプルから、コロナウイルスが検出されたんだよ。そんでー」
「はあ、仕方ない。こうなったら私が聞いてなくても話し続けるんでしょうから。まあ聞いてやろうじゃないの。」
そう言い放ちつつ、耳を傾ける麗美。
この手の話題で、麗美の中で何か思うことがあったのだ。
「その採取された特殊なウイルスは、カナダの研究所に移管された。それは10年以上も前の話で、そこに携わっていた中国人研究員が習〇平から指示を受けて、コロナウイルスを盗みだし、武漢のウイルス研究所に保管することにしたのね。」
「へー」
「だけど、管理が甘かったせい、というか中国人の物の扱いのクオリティが低すぎて、・・・というか、あいつら感情で生きてるから、コロナの入ったガラスの保管容器を運んでいるときにちょっとしたことで殴り合いの喧嘩になって、ついにはそれが割れ、その二人は隠ぺいしようと慌てて除染作業をしたけど、それも適切じゃない適当な対応で自分たちが感染していることにも気づかず。
人から人に感染しだし、パンデミック化したんだ。
これは武漢のウイルス研究所にいたアメリカの研究員が保管されているはずの容器が足りないことを見つけて、監視カメラなどで調査した結果その有様だったのを知ったの。
だけど、それを誰かに相談したくても隠ぺい体質がある中国のことだし、この施設は国の息がかかっているので、ここにいる誰かに相談したら殺される危険性がある。だけどだけどだけど!もしパンデミックが発生したら?・・・という思いから、匿名性の高いSNSに情報を流したわけだ。
多くの人に警戒してもらいたかったのか、有識者に何とかしてほしかったのか、とにかく情報を拡散しなければ多くの人間が理不尽な死を受けることになってしまう、とそんな思いだったんだろうな。
それで大いにSNSでその話は流出してたんだけど中国はその噂を消し去りたくて、『本当は蝙蝠食から蔓延した』、っていう薄っぺらい話にすり替えはじめた。日本のメディアも日中関係のことがあったからそれを事実として情報を流すようになった。これが真実。」
「なるほど。だから?」
「ゴメン、大分話が反れたんだが、要するにコロナウイルスは、宇宙人って話。」
「ふーん。宇宙人が体内で飼ってたウイルスも、すべて宇宙人ってことね。」
「うん。しょうゆことー。」
おれは喜劇王のさ〇まさんの真似をして、その時しょうゆを手に持ってそういった。
麗美は笑いもせず、疑問を投げかけてきた。
「そもそもさ、命って何なんだろうって、最近よく思うんだー。まずさ、単細胞生物っているでしょ?それも命じゃん。人間はその単細胞のような細胞集合体でしょ?人間は、命が一つだって言うけど、そうではなくて約60兆個くらいあると言われている細胞の全てが生きているんだから、1人の人間って60兆の命に支えられているってことになるよね?」
「ああ、まあ、確かに。」
「人間の『命は一つ』とは最近思ってなくて、厳密には『意識は一つ』ってだけであって、その一つの意識を保つために60兆の命が支えあっているんだと思うんだよね。」
「なるほど。完全に同意だね。理にかなった考察だと思う。」
「でしょ?!よかった!変な奴、って思われるのが恥ずかしくて心の中で温めてたの。鉄平、変な話をしだしてくれてありがとね。」
麗美はにんまりした。
いつだったか、その時の会話のやり取りを医療ポッド量産中に思い出していた。
命と命がつながって、一つの意識を形成している。
本当にそうだ、確かに。・・・ってことは、もしかするとキューブたちの意識も一つかもしれないな。無数の金でできてるわけだから。だから、何か弱点のような場所1点に致命的なダメージを与えれば奴らを葬れる可能性もあるよな・・・ちょっとかわいそうだけど、侵略されるのは御免だから仕方ない。
作業にある程度の区切りがついたとき、ここ南極地下施設である「ES」に置いたハンモックに横たわって一人で作戦を練った。
そのウィークポイントみたいな場所って見つけられるかな。
姿かたちも曖昧だし。人間の場合、脳だよな。この「意識」を保つために脳が全てをつかさどっている。
たとえ心臓がやられても、脳細胞に酸素とブドウ糖を供給できれば関係ない。心臓はあくまで脳やその他細胞に酸素と栄養素をいきわたらせるためのポンプに過ぎない。
じゃあ、金でできたキューブって、何を原動力にしているのか・・・
それを確認したいところだな・・・無機質な何かなんだろうか・・・
・・・
・・・!
電気か?
金は金属の中でも一番の通電率がある。
これによって脳への情報伝達をしているはずだよな。。。
ならば、EMP、電磁パルスがあれば有効かもしれない。
はたまた異常な電流を流せるスタンガンのような・・・
「ロス平君。俺はひらめいた。麗美との会話を思い出してたら。」
「まーた麗美のこと思い出してたのか。んで?何をひらめいたんだ?」
「電磁パルスとか、巨大スタンガン。これを作ろう。きっとキューブに効果があるはず。」
俺の思考履歴をロス平が辿る。
「なるほど。確かにそうだな。どんな集合体でも、何かしらの意思疎通をしているはずだもんな。アリも女王のために化学物質や触覚で意思疎通を図って1つのコロニーを形成してるわけだし。」
「普通に世の中に売られているスタンガンの仕組みなら、なんとなくすぐわかる気がするけど、EMPはすぐには手に入らないだろうし、その設計情報ってアーカイブから辿って作れるかね?作るのは初めてのことだから、ある程度実験もしないと。」
・・・そうして、俺たちは巨大EMP装置と巨大スタンガンの構築をスタートした。
地球で使おうとすると世界規模の大停電が起こる可能性、死者も出る可能性が大いにある。
じゃあ、どこで使おう?やはり宇宙空間しか無いかな?
キューブがもしこの地球に最短ルートで向かっているなら、どの座標を移動中かはすぐに辿れる。
まずはそこから確認せねば。
忙しくなりそうだ。




