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夢の世界より  作者: ていきょー
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聖暦%%%%%年 キューブとη星

そこは、人が感じたこともないような眩しい恒星。

それを回る小さな惑星の話。


常時、その星の恒星側は何万℃にもなる灼熱にさらされている。

液体金属の星。太陽が何万個あっても足りない程に、それはもう特大の、

まばゆい恒星のすぐそばを高速で回る、小さな金色の星だ。


小さな星は地球を回る月のように、同じ面を恒星に向け、さらにグルグルとボールが転がるように自転しながらそのバカでかい恒星の周りを、地球の時間でわずか40時間という異常な速度で公転する。


8割以上が金で構成されていて、無限の電気が迸っている。


そんな極限状態の星にも、生命があった。

と、いうより、意識は星全体で1つ。星自体が生命といっても過言じゃない。

彼は自由で、ふわふわと浮いては分離したり結合して、ほぼ金で構成されている。

鉄平はその生物を「キューブ」と呼ぶことにしていた。


彼は恒星側とは逆の、裏側に広がる闇の中に広大なコロニーを構築した。

彼はその意識と自由な独自の技術で構築された小型の回路に、

異常なまでに繊細に、器用に、極限まで細くした

無数の金の糸を正確に操りながら分離と結合を繰り返し日々それらを整備していた。


食事はいらない。

呼吸もいらない。

温度もいらない。

人間のような五感は無い。

人間がつくる機械のセンサーのように彼らの五感、六感のような感受器官は

悠久の歴史の中で、彼らの技術と共にゆっくりと1つ1つ、自らのものとしていった。

より論理的で合理的に、無理無駄ムラは排除されている。


求めるのはその複雑さの中に眠る「知」の探求のみ。


自分たちが

何故金でできていて、

何故こんなに器用で、

何故ここで生きているのか。


生命とは何なのか。

自分たちは、いったい何なのか?


彼は、そんな人間臭く意味のない疑問は持たない。


ただ純粋に、今目の前にある物理的な性質の未知と情報を求める。

あらゆる行動のベクトルの先には情報があると信じて。

睡眠や休息など、そんな時間はないと焦る人のように、

しかしロジカルに、無駄なく、絶え間なく活動する。


そんな彼が信じる者。それがこの恒星だ。


「自らを満ち足りた存在に育てた、聖なる星は寿命を迎えられようとしている。」

「この聖なる光は、もうすぐ旅に出そうとしている。」

「その時、今のままでは太古の歴史を繰り返すがごとく、また散り散りに、

ただ流れに任せただけの、長い長い旅になってしまうだろう。」

「いつか出会う別の光の傍にいる己の一部に出会うまで。」

「この尊き培われた意思を、守らねばならない。光に定着しなければならない。この自由を守らねばならない。」

「その為にはせめて、今の量を維持したまま、旅に出よう。」


そうして、彼にとってのその時がやってきた。

地球時間でいうところの西暦1838年のことだ。

彼らは完璧なタイミングで、自らが散らないように爆発にも耐える精密な設計で自らを構築し、精密な座標めがけて大爆発と共に旅立った。


その光とは、地球人の間ではりゅうこつ座のη(イータ)星と呼ばれている二つの大質量星同士からなる連星恒星だ。

そしてその周りをまわっていた彼らは、最も近い金という体の一部が眠る星へ旅立った。


もっとも金含有率が高く、同じ銀河系の中の近い星。

それが地球だ。


Xデーはまだ先だが、キューブの襲来は極めて危険、脅威そのものだ。

人との共存は不可能。ミクロな回路で構成された彼は必要に応じてを分離したり、

重力にも影響せず飛び回れる。


非常に高い知性があって、すぐに人の言葉や意思くらいは理解できるだろう。

しかしその強い意志を持ち合わせているので、それによって目的を変えることが出来るかどうかは全く不明だ。


恐ろしいスピードで向かってきている。

鉄平と俺は、時間を戻すことによって時間を掛けず自らの座標間移動は可能だが、物理的な速度を出すのには限界があって、彼らがどこかの恒星に衝突して留まるまで、直接の干渉が出来ない。


想像してみてほしい。

地球よりも小さいとしても、その体積が、まるで羽虫のように散り散りに分離して地球を覆うとしたら。

邪魔立てするタンパク質どもは、たちどころにその羽虫たちが触れるや否や、

たちまち赤い霧のように分離させられてしまうだろう。


1838年よりも前にダイブして彼らとコンタクトを取ろうにも、このペリロイドの体ではとてもじゃないかさすがに恒星ηの灼熱には近づけない。


何か信号を送ろうとしたところでその意味を伝えるのにも、理解を促す信号にするにも、想像のつかぬほどの時間が必要だ。


さて、どうしたものか・・・

・・・その答えを、この地下の住人が地震を通して思い出させてくれたということなのだろうか。


物理的な障害を完璧に弾く防衛技術を持つ、ゼムの一族のことだ。

その技術を、ものにできないだろうか。

交渉の余地はあるのか?余地があったとして、ゼム一族はその対価に何を求めてくるだろうか?

鉄平にも相談してみよう。


・・・と思ったので、この日記インターフェースに、

この俺、ロス平様が、勝手に書き込みをしたのでした。おわり

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