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夢の世界より  作者: ていきょー
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西暦2023年7月2日 ゼム

連日、また不思議な夢をみた。


その瞳は地平線を超えて広がる無限の宇宙を見据え、過去の記憶と未来への期待が入っているのか、赤い。彼の名はゼム。その星に無数にいる赤い目の種族の王。 姿はゴリラのような猿のような、4足歩行でさらに別の腕が両肩から2本生えている。ゼムだけ、他の個体の約2倍のサイズだ。とにかくこの種は見た目がゴツイ。


この緑の星はかつて、今の地球人がおおよそ想像できるような技術よりもはるかに発展していた。物理的な惑星外外来生物からの防衛、隕石、その他の軍備は万全。しかし奇しくも、ある実験による事故により、惑星に発生したちょっとした磁場の変化によりその星は常に放射線が降り注ぐ星と化した。

次第に、その種はあっさりと絶滅。この星での絶滅種Xの支配は潰えた。


ゼムの種は空気や放射線の影響を受けない。多少の気温の変化にも耐える。

絶滅種Xの実験体として保護されていたゼムの種は、この星の環境で生き残った。知恵を絞り、絶滅した種の技術を学びうまく利用し、何世代もの時を経てXが絶滅してから地球で言うところの20000年以上が経過した。


ゼムが王になった頃には絶滅種Xが全盛期だった頃のように、ゼムの種にも天敵はもう居ない。同じ種の群れにも彼に抗う者はいない。彼らは同じ種同士の争いはしない。実に平和だった。

さんざん、別の生き残りの種とも戦争をしてきた。悲惨な歴史の上に築き上げてきた平和。脈々と受け継がれてきた平和。それらの全て、生まれる前までもの記憶が受け継がれ寸分たがわず個々の記憶に残っている。絶対にこの種を守り抜かなくてはならない。


しかしゼムの種にもある甚大な問題が発生する。


食糧不足だ。

天敵がいないためにその種は、増えすぎたことにより生態系は崩れ、彼はある時他の星へ生物的なエネルギー源を求め移住を決めた。

呼吸器官は無い。必要なのはとにかく、多少の水とタンパク源だ。同種からの摂取、それだけはこの生物の構造上なのか、想像することもできなかった。何としても別のタンパク源が豊富な最初の異星を見つけ出し、新しい社会を築く必要がある。遠い場所の楽園を求めることになった。


その絶滅種Xが居た頃過酷な生存競争の中で、ゼムは親となる個体から分裂により生まれた。彼らは分裂により繁殖する。まだゼムの種が絶滅種Xに支配されていた時は絶滅種Xの観察対象、実験材料となっていた。祖先がどのように生まれたのかは情報が掴めなかった。


資源を求め惑星を離れるという、このゼムの発想は非常に大胆な計画だった。

かつて絶滅種Xが残した技術の断片を回収し、それを改良し、独自の航行システムを構築した。直感と洞察力を持つゼムは、その中心的な存在となり、全同種の半数を率いてこの惑星の引力を脱し、物凄い数の船団と共に、新たな星々を目指して旅立つこととなった。


宇宙航行は容易なものではなかった。何世代にもわたる航行の末、彼らは青の惑星ゼノンに到着した。 そこは緑の惑星とは全く異なり、魚類が生息する、しかし目立った文化は存在しない液体で構成された惑星だったが、彼らにとっては新たなチャンスの象徴だった。ゼムはそこに新たな社会の基盤を築くため、絶滅種Xの技術で得た高度な知識を駆使し新しい世界を作り上げていった。


持ち込んだテクノロジーの成果が広がり始め、曇った空に向かって伸びる塔やエネルギー不足を補うための巨大なクリスタル構造が建設された。


「我々は新しい世界を見つけたが、それは我々の生存を保証するものではない」

ゼムは同族たちとこの意識の共有を図っていた。

「技術を手に入れようとも、我々は滅びるだろう。我々は緑の惑星や絶滅種Xの歴史から学ばなくてはならない。」


ゼムの言葉は向こう内で深く響いていた。 彼らは新しい土地を征服するのではなく、共存するための新しい道を考え始めた。青い星にはわずかな、そして小さな魚類生物しか存在しなかったが、環境に適応する彼らのために遺伝子技術変更を行って自主的に進化させることを決断した。


しかし、ゼムは常にある一つの不安を抱えていた。 それは、過去に支配していた絶滅種Xの経験から彼らの社会的に悪い性質がゼムの種にも内在する可能性があるということだった。


絶滅種Xたちは一体なぜ、我々の祖先を観測し、一体何の研究をしていたのか。

彼らは我々を個体として捕縛していたのではなく、我々をそのものを作り出したのかもしれない。

しかし何も情報がない。彼らの戦闘や交渉的な支配構造がもし我々にも組み込まれていたとしたら。


あるとき、ゼムの不安は、突然現実のものとなった。青い星で新しい社会が順調に進む中、一部の若い個体が絶滅種X時代の古い記録を暗号化されたアーカイブから発掘し、その中に描かれた過去の緑の星での栄光や支配者の物語に好意し始めたのだ。


その兆しを感じたゼムは、どこかが分裂し、戦うことを恐れた。 しかし、彼は冷静だった。 若者たちが求めているのはただ力ではなく、自分たちの存在意義と未来のビジョンだった。ゼムはみんなを集め、青い星での真の目標を再確認するための意思疎通を図った。


「我々がここに来たのは、新しい支配人を生み出すためではない」とゼムは静かに語りかけた。

「築くべき未来は、共存と協力のもとに成り立つ社会だ。」


若者たちはゼムの言葉に耳を傾けた。 彼の静かな力強さと、その赤い目。未来を見据えたビジョンに感化され、やがて回復心は落ち着き始めた。新たな未来を築くための方法を示し、繁殖のために共に新たな挑戦に立ち向かう意志を示す。


「そしてそのために必要な要素はとにかく資源だ。この星の資源もやがて枯渇する。そして生き抜けば我々は分裂するほかに生存の道はない。」

静かなその赤い目に宿る強い意思の炎。光るその中に広がる広大な宇宙。

「探せ。お前たちの星を。お前たちの未来を。お前たちの故郷となる場所を。希望はこの惑星の外にある。」


その数千年後の地球時間で言う今日のことだ。グレートアトラクターからさらに離れたこの青い星とは別の銀河にある、小さな小さな黄色い星、そう、太陽の衛星の1つに青と緑の星、地球が彼ら赤い目に留まることになる。

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