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夢の世界より  作者: ていきょー
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西暦2023年7月2日 スブーティ

これも同じ昨晩、変な時間に目が覚めて、朝になる前にもう一度浅い眠りについたときに見た夢で、まるで異次元な気味の悪い、しかしマウントを取ったような気持ちで見れた夢だったので記録しておく。


この日記を見ているあなたは経験があるだろうか。

枕の横から誰かに耳元でささやかれる経験を。


久々に、あの夢の世界にたどり着くと、その囁きで謎の言葉が耳にダイレクトになだれ込んできた。

誰も俺の寝室にはいないはずなのに。


「キャーイェハーペ、キャートゥンバヒーホジョバーレィメジャーグルークホ??アープコンへイン?・・・」


暗いあの空間で、耳元でヒンディー語?みたいな言語をささやかれる恐怖。わからないことへの恐怖は、深い恐怖を感じさせる。その声のトーンも、まるで人とは思えない、100人が声をそろえているような、声というより機械音か、とにかく異様なものだ。


あの暗くて殺風景な空間でその声ばかりがダイレクトに、延々と耳元で囁かれるのだ。


普通の人はここで「だれっ!?」とか「やめてっ!」とか、恐怖の夢ということで苦痛に耐えて終わるだろう。


しかし今の俺は違う。

それは夢の中でも意識せずごく普通に扱えるようになっていた。

実際にロス平が作り上げた南極の地下施設にあるスーパーコンピューターと連動している状態は夢の中でも機能する。自然に夢でも翻訳機能を使っているということは、それほどまで普段から無意識に使いこなしている証拠だ。


「お前か?私を意識しているのは?誰だ?・・・」


「では、こちらの声は聞こえるのか?言葉はこれで通じているか?ヒンディー語のようだが。」


「・・・」


あんなに五月蠅かった耳打ちが消えた。どうやら聞こえるらしい。


「お前は男か?女か?人か?機械か?・・・この世の者か?」


「ああ、まともな返答をされることは滅多にない。この世は在ってない無いようなもののはずなのに。放っておけば有象無象も形となって意味を成すようになってくるものなのだな。ああ・・・滅ぼしても滅ぼしても滅ぼしても滅ぼしても滅ぼしても滅ぼしても滅ぼしても滅ぼしても滅ぼしても滅ぼしても滅ぼしても滅ぼしても滅ぼしても滅ぼしても滅ぼしても・・・消えない。」


「そうだよ。世の中そんなもんだろう?いくら害虫を駆除しようったって絶滅させるほどの駆除は無理でしょ。奴らはどんなに駆除されても、ひそかに増え、時に嵐のように一段となって飛び交うこともある。俺は鉄平。貴方は?俺も滅ぼそうというの?」


「てっぺい・・・?名?人か?私は何者でもない。人でも機械でも、ない。」


「鉄平って名前の人間だ。で、貴方は?」


「ああ・・・私も()という境遇で過ごしたことがある。その時の言葉が伝わったのか。しかし人がなぜここにいるのだ?物理的な境遇を超える人間は、わずかだ。」


「これは夢だからな。」


「夢?ここがお前の夢と申すか?では、生きながらにしてここに来れると?」


「まあ、そうだな。夢だし。貴方はどうやってここに来たの??」


「ああ、うるさい。雑念め。・・・うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。」


なんだこいつは。一方的に耳元で聞いてきて来たくせに。


「あのな、日本では人にものを聞く前に、先に自分が何者か名乗る文化があるんだよ。気に入らないな。あんたの所作。まともに返事もできないならこの会話は終わりだ。じゃあな。」


「・・・てっぺい。その顔。その姿。そして日本か。」


「そういうおまえは、スブーティってやつだろ?ヒンディー語でピンときた。俺も普通の人間ではないから、用心することだな。人の心までは読めないことはわかったよ。」


「心を読む?読もうとしておらぬ。・・・無知とは何とも残酷、無慈悲。何とも恐ろしい。人間ごときに何ができるというのか。・・・スブーティか。懐かしい響きだ。かつて人だった頃にそう呼ばれていたこともあった。だが、その名も、その体も、ただの一瞬の出来事。あって無かったようなもの。すべては地獄、すべては無常。おぬしの心もまたしかり。その心、我がそれを知ったところで何の意味が?」


「心があることに意味など無いけど、考え方によっては一人ひとりにあるからこそ、互いの関わりによって喜怒哀楽が生まれ、うまく使えば日々の楽しみや刺激を得られる。退屈することがない。・・・貴方のことはもう、調べさせてもらったよ。スブーティさん。釈迦の十大弟子の一人で解空第一。色即是空ってやつを謳ったんだろ?」


「それが、どうかしたか?」


「あらゆるもの一切は、在るようでないようなものかもしれない。それは、その時にそこにあったものに名がついたものであり時が経てばいずれ形を変え、そう呼ばれることはなくなるかもしれない。

ただ、そこで起きた事実や意味は必ずある。その時にそう呼ばれていたことによって、だ。その時にそこに居たことによって、それが多くの運命を左右する。その事実は形や事柄がどうあれ、無には決して成らない。その事実と意味だけは永遠に残る。あんたがいくら滅ぼそうとも。その事実を知る者が居なくなったとしても、だ。」


「ふん。おぬしはその事実は消えないと言ったな。やはり何もわかっておらぬ。事実とは、誰かに残る記憶だ。赤子の頃に見た怖い夢の内容を、おぬしは覚えてなかろう。しかし本人も忘れているその夢で起きたことを、果たして事実と言えるだろうか?という話と等しく、この世にある、ありとあらゆるものは希薄である。そこに事実や意味があるとでも申すか?」


「当然だ。怖い夢の詳細までは当然忘れているよ。ただな、その夢を見たことによって母にその話をしたり、泣いたり、夢によっては笑ったり、どんなに小さい内容だとしても、たとえその話が気を引こうとした大げさな内容だったとしても、夢はきっかけとなってそれが起こす影響は母を通じ思いがけない怒りを買うことになったり、愛情を受けたり、想像力を培ったり、自他共に、様々な事象へ影響するものだ。夢だけではない。たとえ単の瞬ききだとしても、たとえ一呼吸だとしても、たったの一歩だったとしても、だ。

それらのすべてはゆっくりと、自らの記憶となり、経験となり、何かしらの影響に関わることになる。そしてその事実は今後の未来にも永遠に続く事実の種だ。あんたと俺のこの夢の中での会話もな。あんたにとってあらゆることは過去に去ってしまう、まるで無のようなものであるように思えるかもしれないが、既に無になることはないんだよ。」


「知ったような口を利く。ではこれならどうだ?この世の未来が、丸ごと無くなるなら。過去もなかったかのように消し去られたら。それでも意味があると?」


「・・・この世を消せる者が居るというのか?」


「てっぺいよ。まだそのようなことを申すか。まるでまだこの世の構造を分かっていないようだ。造形をつかさどる天の存在も、そこに御座すあらゆる存在も、知らぬ者の口ぶりである。」


なるほど。スブーティも、vwの概念は確信しているようだ。


「失礼した。少し鎌をかけただけだ。この世は仮想世界で、上位の世界に上位の存在が居ることは俺も知っている。ただ、話では特定の存在からしかコンタクトをとれないことを知ってるぞ。あんたがこの世を消しさるように何かしらの行動ができるのだとしたら、あんたは疑問を抱くことも、俺とこうして会話をすることも無意味だ。滅ぼしても滅ぼしても、と言ってる段階で、あんたがその天界の奴らを使ってどうこうできるようには到底思えない」


「おい鉄平、気をつけろよ。」


ロス平がつぶやく。

滅多に夢にまで介入してこないロス平が警告してきた。これは一大事だ。


「スブーティのこと?」


「そうだ。顔も住んでる場所も、割れたことにならないか?」


「まあ、大丈夫でしょ。人の心を読めないということは、俺が日本のいつの時代を生きているかまでは読まれていないはず。だからすぐには何もできないはずだ。でも、言葉には気を付けよう。」


そもそも、この夢のここはどこなんだ?俺が勝手に想像で造形した場所じゃないのか?

ロス128bとつながっていたり、気色の悪い奴に囁かれたり。

あらゆる指向や思慮も事実と直結し、飛び交う空間だ。確かに用心しなければならないのかもしれない。

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