第68話 超大ミストキャノン
「飛ぶって、思ってたより全然楽しくない。」
サチの声に少し苦労が滲んでいた。
両腕を左右に広げて、綱渡りをするような格好で、必死にバランスを保っていた。
ピクシーのタトゥーが与える浮遊能力に風魔法を合わせて前進するのは、理屈の上ではスムーズなはずだった——実際にやってみると、誰一人として優雅とは言えない姿勢になっていた。
「この飛び方、かなり不安定ですね。」
ユウキが眉をひそめた。
体が左に傾いて、すぐに力を込めて戻した。
「想像していた飛行とだいぶ違う。」
「風向きが変わるたびに流されて、全然制御できない。」
ワカナが歯を食いしばった。
髪がぐちゃぐちゃに吹き乱されて、片手で押さえようとしながら、もう片方の手でバランスを取っていた。
二つを同時にやろうとして、かなり悲惨な見た目になっていた。
「もっと練習しないとだめだね。」
「みんな今はとりあえずこれで。慣れれば上手くなるから。」私も自分の重心をこっそり調整しながら言った。
大勢の風霊鳥が私たちと一緒に移動していた。その子たちの歌声は強風の中でも細く安定していて、強化効果を出し続けていた。
高いところから下を見ると、山の稜線と谷が足元で蛇行して、砕石の道が細い線のように見えた。
ゴブリンの村はもう小さな点になり、やがて山の向こうに消えた。
『みんな飛んだ!!!』
『この姿勢wwwwwwwwwwwwwwww』
『ワカナの髪が』
『風に吹かれる風船の集団みたい』
『渡り鳥シリーズ』
『マスミも全然大したことないじゃん』
ずっと遠くへ飛んでいって、山の下の地形が霞み始めてから、ようやくわかった。
なぜずっとあの存在の全体像が見えなかったのか——
大きすぎたからだ。近くにいると視界に一部分しか入らなくて、その一部分でさえ大きすぎて形が判断できなかった。
十分な距離を取って初めて、あの存在が完全な姿で目の前に現れた。
全体的に灰褐色で、土と岩が混ざり合ったような色だった。
かろうじて人の形と言える——手があり、足があり、頭がある。
ただ頭と肩に、何か余分なものが生えていた……
濃くて、豊かで、鮮やかな緑の葉が、上半身のあちこちから生えていた。
髪や体毛のようでいて、それよりずっと旺盛で、四方八方へふんわりと広がっていた。
「えっと、トレント?」
私には確信が持てなかった。
体に葉が生えているが、形はまったく木に似ていない——むしろ大きな土の塊のようだった。動く、葉の生えた、大きな土の塊。
「打ちにくそうだけど——」
言葉を止めて、あの存在の姿勢を改めて見た。
動きが信じられないほど遅かった。
私たちがこれだけ遠くまで飛んでくる間に、あいつはようやく半歩踏み出したところで、体の重心がまだゆっくりと前へ傾いている途中だった。
踏み出した足がまだ元の体勢に戻っていない。
では、さっきのあの激しい揺れは、やはりあいつの足音だったということだ。
視線はまったく私たちに向いていなかった。何かを見ているかどうかすらわからない——ただひたすら自分の道を歩いていた。
あまりにも遅くて、時間の単位が私たちとはまるで違う尺度で動いているようだった。
ミストキャノンを召喚した。
一発あたりの威力を最大にしたいなら、これしかない。
承風鈴を振り始めた。
左手の動きがゆっくりから速へ、鈴の音が私たちの大きな鳥群の間で何度も跳ね返り、強化効果が一層また一層と積み重なっていった——千回、一万回、共鳴の積み重ねが私の霊感をどんどん押し上げた。
それから砲口を遠くでゆっくりと動き続ける巨大な存在に向けて、水気を圧縮し始めた。
周辺何キロもの空から雲が消え始め、やがて消えた。地上の霧が収まり、遠くの川の水位がゆっくりと下がっていった。
水気が四方から砲口へ集まってきた。
その圧力で両腕がかすかに震えていたが、圧縮を続けた。
詰め込み続けた。
一発の中に蓄えた力が誰の想像をも超えるまで。
霧も雲もなくなったことで、全身に緑の葉をまとった呪術師が、モザイクフィルターを外したように輪郭がはっきりとして、細部も見えるようになった——
体の葉が乾燥した空気の中でわずかに影響を受けたのか、全体的にしおれた感じがした。
「行け!」
引き金を引いた。
撃ち出した瞬間、反動で体が何キロも後ろに押し飛ばされた。
何も遮るものがなかった。
急いで何発も風魔法を放ってやっと体勢を立て直した。
「はあ……この反動、どうやって対処すればいいんだろう……」
考える価値があるかどうかもわからなかった。
これほど大規模な攻撃は、毎日やることじゃないだろう。
水柱が撃ち出されて、数万トンの水量が空中に集まって巨大な衝撃となり、すべてを薙ぎ倒す圧力を持ってあの巨大な体に正面からぶつかった。
私が作り出した人工の洪水だった。横向きの、集中した、一本の川をまるごと向きを変えて、全部同じ場所へ流し込んだような。
ドォォォン——!
山が一つ突然崩れ落ちたような音だった。
鈍く、重く、はるか遠くから伝わってくる振動を帯びていた。
呪術師の胸に、大きな穴が開いた。
私はその傷口をじっと見つめた。
血が出なかった。
傷口の縁が、生き物が傷ついたときにあるべき様子とまったく違っていた——
土石が崩れ落ちるように、一塊また一塊と剥がれ落ちて、砕けた欠片が四方へ散って、砂埃がもうもうと上がった。
それから「内臓」が見えた。
私は眉をひそめた。
あの場所のどこが内臓に見えるというんだ。
暗い穴の中を、撃ち込んだ深さが深くて遠くから中が見にくかったが、かすかに見えた。
内部には植物の根が充満しているようで、周囲の浅いところは地表に露出した鉱脈か、あるいは何かの鉱石の断面のように見えた。
『あれは何!!あの中身!!』
『内臓?違う気がする』
『鉱石?植物の根もある?』
『マスミ一発で吹き飛ばした!!!』
『傷口が土石崩落みたいな感じなのはなんで』
『これって生き物なの……生き物だよね?』
「マスミ……」
サチの声だった。ずっと心の中にあった疑問をようやく口にしたような口ぶりで。
「ずっとおかしいなって思ってたんだけど。」
「どういうこと?」ミストキャノンを仕舞って、遠方のあの巨大な体を見続けた——まだ倒れていなくて、ゆっくりと動き続けていた。
胸に開いた穴の縁から、何かが少しずつ内側へ向かって伸びてきて、欠けた部分を埋め始めていた。
「これだけ巨大なら、どんな直感でも巨人とか巨獣とか呼ぶと思うんだけど。」
サチがまっすぐ遠くを見ながら言った。
「でもあの子たちは呪術師って呼んでる。」
「そうだね。」ユウキの表情も変わっていた。あの子の偵察モードの目がそっと浮かんできた。
「呪術師という呼び名が示すのは、たいてい体型じゃなくて能力のことだよね。あれほど目立つ体型があるのに、体型じゃなく能力を表す言葉で呼んでいる?」
「何か秘密があるはずだよ。」
ワカナが胸元の真理の鏡を握りしめ、まだゆっくりと動き続ける、胸の穴がじわじわと塞がっていく巨大な存在を見つめた。
「セバスティアンが言ってた、大きいだけじゃないって話は、もしかしてこのことを言ってたのかもしれない。」
周りで風がびゅうびゅうと吹いていて、風霊鳥の歌声がその中に混じって、細く続いていた。
私はあの深い傷を眺めた。
正体不明の根が、胸の傷の下でちらちらと見え隠れしていた。
傷は、まるで治癒魔法でも受けたかのように、ゆっくりとふさがっていった。
——だが、ふさがると言うのも正確ではない。あの様子はむしろ……土砂で埋め戻されるような感じだった。
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