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倒した敵は俺の力になる 〜魔物だらけのダンジョンを攻略しながら、ドロップ品を配信で売って一気に億万長者へ〜  作者: 上部乱
濁世の一

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第55話 熱帯海岸ジャングル日帰り旅行


「知能低下薬水を用意して。」

フェアリーに言いつけた。


「かしこまりました主様、また誰かを強制自白するんですか?」

フェアリーの表情がやたらと生き生きとしていて、目がおかしいくらい輝いていた。


このピクシー、

隠れたSの気質を持っているらしい。


「いや、今回は強制自白じゃない。」私は言った。「人を誘拐しようと思って。」


悪いことに使うなら、普段まったく需要のないこの薬水はなかなか便利だ。


「何人くらいですか?」フェアリーの口ぶりがすぐに真剣になった。

「この薬水は量の加減が少し難しくて、適切でないと効果が薄かったり、場合によっては永続的な知能障害を起こしたりします。」


「二千人分用意して。」

フェアリーは二千人がどこから来るのかを聞かず、ただ頷いてメモした。


少し考えてから付け加えた。

「そうだ、この薬水を皮下注射の形にしたら、効果は上がる?」


「強度はそれほど変わりませんが、作用速度が速くなりますし、必要な量も少なくて済みます。」


「よかった。なら大量生産して、できたらヤリ持ちピクシーと石弾ピクシーの武器に全部塗らせて、戦闘力を少し強化しておいて。」


ピクシーたちがこれを準備するには時間がかかる。

私もちょうど良い足掛かりの場所を探すのに少し手間がかかる。


一通り言いつけてから、手をぱんと叩いた。


「よし、行こう。」

ピクシーを一人連れて、私とフェアリーを城南島の海浜公園へ瞬間移動させた。


ここは私が一番よく知っている海辺だ。

子どものころ家族と来たし、学校に入ってからも時々一人で来て座っていた。


砂浜の形や岩礁の位置は、だいたい覚えている。


このままボカ・デ・クペに直接瞬間移動できれば楽なのだが——残念ながら、行ったことのない場所には移動できない。


それに、正直かなり危険でもある。

向こうの状況がどうなっているかわからないまま、敵の真っ只中に飛び込む可能性がある。


砂浜に降り立つと、靴底が湿った砂にめり込み、海風が磯の香りを連れて吹きつけてきた。


一歩の海程の錨を取り出した。


小さないかり型の飾り物が、手のひらの上で光り始めた——淡い青の光の輪がゆっくりと広がって、目の前に地球の立体的な映像を映し出した。


球面の海岸線の大部分が薄く緑に光っていた。


顔を近づけて、すぐに中南米の位置を見つけ、南へ、拡大して、コロンビア国境の方向を探した。


ボカ・デ・クペに一番近そうな海岸が見つかった。コロンビア北部のパナマ国境に近いあたりだった。


指先でそっとそこを触れた。


目の前の海の景色がぼんやりし始めた。幕を後ろからゆっくり引いていくように——それから別の海岸の様子に変わった。


コロンビアの砂浜が、今の私からほんの一歩の距離にある。


静かに足を踏み出した。

太平洋の西岸を離れて、大西洋の西岸へ着いた。


夜になったばかりの熱帯の砂浜。空気の湿度と塩分がさっきとまったく違い、頭上の星も並び方が変わっていた。


スマホを取り出して時差を計算した。

こちらは私の地元と十四時間のずれがある。


向こうは今ちょうど夕食の時間だ。

奇襲には絶好のタイミングだ。


地図を開いて位置を確かめた。

ボカ・デ・クペは直線距離にして五十キロほど内陸深くにある。


スマホをフェアリーに渡して、少し後ろに下がらせた。

それから雷霊鳥の姿に変身した。


深夜の熱帯ジャングル、五十キロの距離を歩いて行ったら脱水で倒れるだろう。


でも飛ぶのは別の話だ。


翅を広げて、上へ舞い上がった。

すぐに砂浜の縁を越えて、真っ黒なジャングルの上空を飛んだ。


眼下の樹冠が隙間なく続いて、月光を受けてうねる海のように見えた。


フェアリーが私の羽の中に縮こまりながら、スマホを持って位置を確認してくれた。


一時間ほど飛んだ。


「このあたりで合っていると思います。」

フェアリーが言った。


速度を落として高空を旋回しながら、

下を見た。


ほとんど明かりがない。


ジャングルの中にぽつぽつと小さな黄色い点が散っていて、誰かが無造作に投げ捨てたタバコの火みたいだった。


スマホを取り出して、配信プラットフォームに新しいアカウントを開いた。


配信間の名前を二秒考えて、打ち込んだ。

「麻薬王の本拠地を叩いてみる」


それからワカナに電話した。

三コール鳴って相手が出た。

声に少し寝起きのかすれがあった。


「もしもし?マスミ、どうした?」

「ワカナ、おはよう!」


「おはようじゃないよ、起きたばかりなんだけど、あなた——」

声が少し覚醒した。

「どうかした?」


「配信始めよう、今面白いことになってる。」


高空で風の音がかなり大きくて、私はほぼ怒鳴るようにワカナに話していた。


「配信?ちょっと待って、もう巽の塔に入ったの?声もかけないで!」


「違う、今回は巽の塔じゃない。」

私は言った。

「今パナマの南にいる。」


電話口がまるまる二秒静まり返った。

「パナマ?何しに行ったの?」

「うん……簡単に言うと、昨夜うちに来た連中の親分を片付けて、欲しいものを奪ってこようと思って。」


また沈黙。


「マスミ……」ワカナの声になんとも言えない複雑な響きがあった。


「なんか、どんどん危険な人間になってない?」

「それが悪い変化かどうかはわからないけど!」


ワカナはそれ以上何も言わなかったが、向こうでがさがさと音がした。

たぶん撮影機材を探して配信の準備をしているのだろう。


観客数が上がり始めて、すぐに数千人になった。

マルコの側にも、これを見ている者が必ずいると確信できた。


それで構わない。

指を瓶に詰めてコレクションしているやつより、私のほうが怖いということを知らせたかった。


下に視線を戻して、意識を集中した。


雷霊鳥の視力は人間の目より格段によくて、光源がほぼない深夜でも、下の配置がだいたい見えた——


簡単な柵と有刺鉄線。

木と木の間にロープが張られていて、一目で何かの警報装置だとわかる。


見張り台が二つ、それぞれ二人の人影がいた。手には銃があるはずだ。


周りはジャングルと湿地——これが彼らの本当の防衛線だ。

あの粗末に見える設備ではなく、五十キロのジャングルと、そもそもここにたどり着くことの難しさが。


現地政府にとって、ダリエン峡谷の奥地に正規軍を動員するのは、政治と地形と補給の問題がすべて絡んだ複雑な話だ。


でも私にとって、五十キロは一時間の飛行時間だった。


あのジャングルと湿地は、迂回もせず、真上を飛んで来た。


高空で旋回しながら、下の数点の黄色い光を眺めた。


コメント欄が流れ始めた。


『ちょっとこの配信間の名前なに』

『麻薬王の本拠地??配信者どこにいるの?』

『パナマ!?』

『昨夜マフィアに乗り込まれたと思ったら今日もう反撃しに行ってるの?』

『スケジュール詰め込みすぎでしょwwwww』

『マスミって大学生バイターじゃなかったっけ』

『昨夜と今朝……えっと、今夜?時差のせいでよくわからなくなってきた』


現地政府が正規軍を投入しても落とせない場所が、今の私の目には、信じられないほど小さく簡素に見えた。


フェアリーに小ピクシー側の準備状況を確かめさせてから、下へ降り始めた。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


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