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倒した敵は俺の力になる 〜魔物だらけのダンジョンを攻略しながら、ドロップ品を配信で売って一気に億万長者へ〜  作者: 上部乱
巽の塔ー風澤中孚

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第49話 勝利をはっきりと宣言しなければ


五対五の勝ち抜き戦が終わった。

私たちの勝利だった。


セバスティアンは岩礁の地面に刻まれた窪みの中に横たわっていた。

傷ついた内臓はすでに私が補修していて、胸の傷は治療の効果でゆっくりと塞がっていた。


でもヤリ持ちピクシーに貫かれた大きな穴が残した痕跡は、見ていて息が詰まるほどだった。


周りの海民たちが全員その場に固まって、誰も何も言わず、誰も動かなかった。


それから、乙姫が口を開いた。

「あなたの手段は……なかなか凄まじいですね。」

声がかすかに震えていた。


視線がセバスティアンの胸の深淵のような傷に注がれたまま、なかなか離れなかった。


まずい。


空気がおかしいと感じて、素早く周りを見渡した——観客席の海民たちが互いに耳打ちを始め、最初は困惑だった表情が、少しずつ騒めきへと変わっていた。


噂、囁き、尾ひれのついた余計な話が、ウイルスのように海民たちの間に広まっているに違いなかった。


お願い、本当に混乱を起こしたかったわけじゃないんだ。


気の弱い連中はすぐに落ち着いていられなくなった。熱帯魚族の小柄な何人かが観客席から直接飛び降りて、叫びながら出口へ走り出した。


その悲鳴が広がると、周りの騒めきが波紋のように拡散した。


肝が据わっている者たちは逆だった。

武器を手に握り始めて、こちらを見上げる目つきがよくなかった。


「違う!そういうことじゃない!ちゃんと治療したじゃないですか!」

私が大きな声で叫んだが、声がその騒ぎの中に飲み込まれた。


誰も聞いていなかった。


自分が存在感の薄い人間だとはわかっていたが、同時に怖がられながら無視されるとは、一体どういうことだ。


「主様、制圧してください。」

フェアリーが近づいてきて、声を低めて言った。


顔色はまだ白く、翅の振動の幅が辛うじて両足を地面から離すほどで、今にも消えそうなろうそくのようだった。


「だめ、こんなに怖がってる相手に手は出せない。」


「抵抗力を失わせる方法はいろいろあります。」

フェアリーが言いながら、ユウキのベルトに手を伸ばして、警察用のスタンガンを引き出して私の前に差し出した。


その銃を一瞥して、それからユウキを見た。

ユウキの目が「私もこの子が何をしようとしてるかわからない」と語っていた。


「一人一人スタンガンで倒すのは無理ですよ。」私は言った。

「ここに何人いると思ってるんですか。」


「主様……雷霊鳥に変身できます。」

フェアリーが言った。

「少し出力を抑えれば、一時的に行動不能にするだけで、傷つけずに済みます。」


それは思いつかなかった。

振り返って、ワカナ、サチ、ユウキの三人を見た。

「四人とも観の門に避難してください。

雷霊鳥の電撃は敵も味方も選ばない全体攻撃です。感電したくなければ私から離れて。」


ワカナがフェアリーをひょいと抱き抱え、もう片方の手でサチを引っ張った。

「すぐ逃げる!」


ユウキが転送用の透明翼を手に取り、私を一瞥した。

「マスミ、気をつけて。」


私は深く息を吸って、雷霊鳥の形態に変身した。


二分ほど電撃を放ち続けた。

電弧が島全体に波を立てて広がり、出力はなるべく抑えた——行動不能にするだけでいい、誰の命も奪いたくなかった。


海民たちが次々と倒れ、悲鳴と混乱の声が、二分後にはすっかり静まり返った。


周囲が静かになってから人型に戻ると、岩礁の地面の上に海民たちがあちこちに倒れていた。


ワカナ、サチ、ユウキ、フェアリーが観の門から転送で戻ってきた。

サチが周りを見回して、感心したように頷いた。


「きれいですね。」

「倒れ方が均一できれい、という意味ですか。それとも手際がきれい、という意味ですか?」ユウキが笑いながらサチを抱き寄せた。


「両方です。」サチが笑いながら抱き返した。


「でもこれで解決したわけじゃないよ。」

私は言った。

「目が覚めたらまた混乱するでしょう。」


ワカナが両手を腰に当てて、倒れている海民たちをざっと眺め、少し考えてから突然言った。

「それなら……いっそ彼らが思っている通り、征服者として征服してしまうのはどうですか?」


「ちょっと!」私が振り返った。

「全員電気で倒したのに、これでも征服したことにならないんですか?本当にどうにかするつもりはないんですよ。」


「じゃあ不平等条約を結べばいい。」

今度はサチが言った。

目の前の王様が服を着ていないのを見て笑う子どものような、天真爛漫な口ぶりで。


「ちょっと、その案のほうがよっぽど突拍子もないじゃないですか!」笑えなかった。


「でも、いける気がするけど——」ワカナが頷いた。

「私も賛成です。」ユウキも続いた。


この三人を見て、フェアリーを見た。

フェアリーが静かに頷いた。


「正式に敗北を宣言する儀式だと思えばいい。」ワカナが両手を腰に当てたまま言った。

「何もしないまま立ち去ったら、彼らのほうがこの結果をどう受け止めればいいかわからなくなる。誰が勝って誰が負けたかをはっきりさせることは、みんなにとっていいことよ。」


考えてみると、どこがおかしいとも言えなかった。


「じゃあ次に何をすればいい?」

この女たちの頭の中にある、常識を飛び越えた発想についていくのがだんだん難しくなってきた。


「まず——」ワカナが言った。

「双方の締約代表を確認しましょう。」


ワカナとサチが二人で乙姫のそばに歩み寄り、倒れている彼女を揺さぶって起こした。

ユウキが傍らに立って、監督者か、あるいは立会人のように見えた。


乙姫がゆっくりと体を起こした。

髪が少し乱れていて、数秒ぼんやりした後で正気に戻り、周りにあちこち倒れている部下たちを見渡してから、視線を私に向けた。


「私たちが本当にこの戦いに勝ったことを認めてください。」

ワカナの口ぶりは直接的で、余地を残さなかったが、聞き苦しくはなかった。


乙姫が少し黙ってから、ため息をついた。

「わかりました……では、あなたたちは何を望んでいますか?」

私は困って首を横に向け、フェアリーを見た。


フェアリーが軽く咳払いをして、まだふらつく体を精いっぱい伸ばした。

降伏文書を受け取る将のような姿勢で、はっきりと言った。


「こちら側に最高の貢物を差し出し、私たちが巽の塔を攻略する軍勢に加わりなさい。」


乙姫の表情が微妙に動いた。その答えを最初から予期していたような顔だった。


ちょっと待って……私は彼女たちに何も求めていないけど?

ただ先へ進みたいだけなのに。


私はフェアリーに向かって手を伸ばして、少し待ってと伝えようとした。


フェアリーが私をちらりと見た。目の意味ははっきりしていた——黙っていなさい。


忠実な部下が主君を制するとは……

私は手を下ろした。


乙姫がしばらく考えてから、かがんで傍らから長さ半メートルほどの小箱を取り出し、私たちの前に置いた。


私はその箱を二秒ほど見つめた。

まさかこれが伝説の玉手箱じゃないでしょうね。


そっと半歩横にずれて、仲間たちと目を見合わせた。

私たち四人全員が動かなかった。


万が一開けたら白い煙が出てきて、その場で四人まとめておじいちゃんおばあちゃんになったらどうするんだ。


乙姫は私たちの顔を見て、苦笑いしながら、自分で箱の錠前を外して蓋を持ち上げた。


白い煙は出なかった。

目に飛び込んできたのは、細やかな布の上に横たわった、かすかに光を帯びた三つの品だった。


一つ目はすぐわかった。


中孚堂の迷宮の影——これがあれば、この層の迷宮が名実ともに正式に私のものになる。


手に取ると、馴染みのある共鳴が伝わってきた。どこかの扉が静かに応えて開くような感覚だった。


二つ目は飾り物で、小さな船のいかりを縮小したような形をしていた。材質は重くずっしりとして、言いようのない海の気配を帯びていた。


手に取ってひっくり返して見てから聞いた。「これは何ですか?」


「一歩の海程かいていいかりです。」乙姫が言った。

「この力のもとでは、海路で繋がるどこへでも、一歩の距離しかありません。」


その言葉の意味を少し消化した。

「つまり、海路で繋がっている場所なら、どれだけ遠くても一歩で行ける?」


「そうです。」


いかりを大切に仕舞った。


三つ目は丸い鏡だった。

半径五センチほどで、縁の細工が繊細で、

ローズゴールドの鎖がついていた。掌に乗せると、重さがほとんど感じられなかった。


目で乙姫に問いかけた。

「真理の鏡と言います。」乙姫が言った。

「あなたたち三人が持っている神器と同じで、ソウルバインド装備です。」


私とサチとユウキが同時に目を見合わせてから、三人でワカナを見た。


ソウルバインドされた神器か……誰に渡すかはもう全員でわかっていた。


「これが何をするものか知っていますか?」私が聞いた。


乙姫が首を振った。

「ソウルバインドの神器は、濁世から来たあなたたちにしか使えません。私たちの内なるエネルギーは十分に複雑ではなく、神器を起動できない。本当に何ができるかは知らないんです。」


「濁世?」


その言葉に足が止まった。

ずっと前から知っているべきで、でも誰もきちんと説明してくれていなかった何かのような気がした。


「あなたのところのピクシーに聞いてください!」乙姫が困ったように手を振った。


「すみません、敗者の私に少し時間をください。こちらの後始末をしなければならないので。」

言い終えて、倒れている海民たちに視線を戻した。


その表情はとても疲れていたが、背負っている責任が彼女を休ませなかった。


……乙姫を見ていると、本当に申し訳ない気持ちになってきた。


ローズゴールドの鎖のついた真理の鏡を手に握ったまま、フェアリーを見た。


フェアリーが秘醸酒を少しずつ飲んでいた。飲み終えて小瓶を仕舞い、

「今それを聞かれても説明する気力がない」という目で私を見た。


ワカナが歩いてきて私の横に立ち、乙姫の忙しそうな後ろ姿を見つめながら、小声で聞いた。


「濁世って何?」

「私も知らない。」

「フェアリーは知ってる?」

「元気が戻ったら聞こう。」



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


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