第236話 乾いた空気
炎の竜巻が頭上を過ぎていき、引き連れた熱が地面から大きな岩の層を巻き上げ、残っている装甲にばちばちと音を立てて降り注いだ。
俺は真横に数十メートル一直線に飛び出し、風の柱との距離を取った。機械の脚の後ろに長い砂埃の筋が立ち上がったが、灼熱の風に一瞬で引きちぎられて散っていった。
【内部温度、安全上限に接近中】
【修復作業、進行中】
二つの表示が続けて点灯した。前部の隙間の縁に生えている新しい金属はまだ外へ向かって成長を続けていて、熱風が通り過ぎるたびに縁が丸まり焦げ付いたが、その後ろからすぐにまた新しい分が生えてきた。
距離を取った今のうちに、残った処理能力を再び機能一覧へ振り向けた。
【機能を検索中】
俺は残りの項目を一つずつ呼び出していった。
外部武装 なし
内蔵攻撃機構 なし
このゴーレムの体には、どうやら自前の武器が一つもないらしかった。
俺の思考が一瞬止まり、それから一覧の最後の数項目へ目を移した。
【接続ポート 外部装備対応】
丸ごと一列あった。体の両側に数節おきに配置され、前部の文様の板の下にもさらに二つある。この一覧には前にも目を通したことがあったが、ずっと保守用の接続口だとばかり思っていて、気にも留めていなかった。
「この体には自前の武器がない」
俺は受話口に向けて言った。
「でも、接続ポートがたくさんある。外部の装備を取り付けられるみたいだ」
回線から短い雑音がまず届いた。
「つまり、自分の武装をそこに装着できるってこと?」
ユウキの声が速く届いた。
「そうだ。武装はいつでも呼び出せる」
「じゃあ何を迷ってるの!」
ワカナが叫んだ。
「あの炎の柱に効きそうなもの、何でもいいからすぐ装着して!」
相手が炎を使っているなら、水で応じるのが筋だ。
「ミストキャノン」
前部左側の接続ポートの上で空気が一瞬揺らぎ、何もないところから太く短い砲身が実体化し、その表面はしっとりと湿った光沢をまとい、ポートへしっかりと固定された。
【外部装備 接続中】
【接続完了】
接続による情報が一つずつ知覚へ流れ込んできた。砲身の角度、吸気口の開閉状態、本体との間の負荷分布。銃口を風の柱へ向けようと試みると、前部全体を一緒に旋回させなければならず、塔を丸ごと回すような鈍さだったが、ようやく狙いをつけることができた。
「装着した」
俺は言った。
「試し撃ちする」
回線が静まり、何人かが息を詰める音だけが聞こえた。
ミストキャノンの吸気口が最大まで開き、空気を取り込み始めた。
【吸収可能な水分 極めて低い】
その数値がゴーレムの内部システムに表示された瞬間、全身の機械の脚が一瞬固まった。
銃口が小さな白い霧を吐き出したが、三メートルも流れないうちに、迎え来る灼熱の風に完全に焼き払われ、一滴も地面には届かなかった。
「今の音、何? 当たったの?」
ワカナの声が切迫して震えていた。
「いや」
俺は言った。
風の柱の中の炎が揺らぎ、その声が中心から届いた。口調は、検査報告書を読み上げているかのようだった。
「水を使う武器か」
「俺はもう長い間、この一帯の空気を燃やし続けている。水分は一滴も残っていない。どれほど優れた装備でも、使う環境によって結果は変わる」
俺は彼を無視し、機械の脚で地面に深い溝を刻んだ。
「あいつの言う通りだ」
俺は受話口に向けて言った。
「ミストキャノンは空気中の水分を弾薬として使う。ここの空気は乾きすぎてる。吸い込める水分がない。撃てない」
「じゃあどうするの!」
ワカナがまた机に拳を叩きつけたらしかった。
炎の竜巻が再びこちらへ向きを変えた。
俺はすぐに回避し、一直線に飛び出した。風の柱が背面の縁をかすめ、残り少ない装甲を鋭い音でばたつかせた。
【関節負荷、安全閾値を超過】
「ミストキャノンの弾薬は空気中の水分なんでしょう?」
ユウキの声が速く、落ち着いて届いた。すでに頭の中で順序を組み立てているような口調だった。
「なら水を与えればいい。マスミ、水源が必要」
「渙の泉の排水の栓!」
ワカナの声が明るくなった。
「マスミ、あの栓が地面に触れた瞬間、そこに水源が現れるよ」
「栓は私が持ってる」
フェアリーが言った。
「でもマスミ、あの一帯はまだ放射性の砂塵に覆われてる。私の一族は直接行けない」
俺は周囲の状況に関するセンサーの数値を確認した。
【周辺放射線量 上昇】
「こっちには防護装備がある」
ユウキが続けた。
「でも、ピクシーの大きさだと……」
彼女の言葉は途中で途切れた。
受話口から、誰かが何かを引っ掻き回す音がして、誰かがため息をついた。誰もその先を続けなかった。
「あの……」
サチの声が小さく、少し迷った後に決意の色を帯びた。
「私、縫い物ができるの。防護服なら仕立て直せる。ピクシーの大きさまで縮めてみる」
「縫い物できるの?」
ワカナの声が完全に跳ね上がった。
「そんなこと一度も言ってなかったじゃん!」
「だって……みんなに見せる機会が、今までなかったから」
サチの声が小さく縮まり、それからまた明るくなった。
「でも本当にできるの。しかも結構きれいに縫えるんだよ」
「待て」
エンヴェルの声が割り込んできた。いつもよりゆっくりとした口調だった。
「放射線防護服なんて、そう簡単に手に入るものじゃない。今持ってるそれは貴重品だ。切ってしまったら、もう元には戻らないぞ」
回線から声が一瞬消え、布をぎゅっと握り込むかすかな音だけが残った。
「でも、栓はあそこまで届けないと」
サチの声がかすかに震えた。
「マスミ、今すごく苦しそうなのに……」
「私の鏡を使って!」
ワカナが叫んだ。
「複製すればいい。元のやつに触らなくても済むし、切るのはコピーの方だけでいい!」
「そうか、それなら解決する」
ユウキがすぐに言った。
「サチ、どれくらい時間が必要?」
「三分」
サチが迷いなく答えた。
「こういう小さいもの作るの、得意なの」
鏡の表面がかすかに波立つ気配が届き、続いて布が擦れる音がした。ワカナが小さく舌打ちした。硬く折り畳まれた防護服が鏡の口に引っかかったらしかった。
「出た、出た!」
彼女が声を上げた。
「普通サイズのやつ! サチ、受け取って!」
ちょうどその時、炎の竜巻の二波目が俺へ襲いかかり、注意を戦場へ引き戻された。
今度は斜め前方へ突っ込み、風の柱の側面へ回り込もうとした。踏み出した途端、灼熱の風が正面から叩きつけ、前部全体が半ば仰ぐように持ち上がった。俺は後方の脚を強く踏み込ませ、かろうじて転倒を免れた。
【内部温度、安全上限に接近中】
【非耐熱部品の損傷警告】
受話口から、鋏が開閉する鋭い音が一度、また一度と届いた。
「襟のここをもう一回折らないと、砂埃が入っちゃう」
サチの声は軽かったが、言葉は速かった。
「ここに羽のための切れ込みを二つ入れて。縁は擦れないように始末するから」
「サチ様、これは仮縫いですか?」
エンヴェルの声が割り込んできた。
「もう少し胸を張って、ちび。そう、そんな感じだ」
「わ、私、もっと胸張れます!」
小さな声が答えた。
炎の竜巻が左側面を薙ぎ、前部左側の脚の一節の縁を削ぎ落とした。すぐに警告が点灯した。
【前部左脚 損傷検知】
俺は損傷した側を体の後方へ引き、右側の脚だけで支えながら、長い距離を後退した。
「マスミ、もう少し持ちこたえて!」
ワカナが叫んだ。
「言われなくても!」
ワカナのその一言は、ちょっとどうかしてると思った。
受話口からは、針と糸が布を通り抜けるかすかな音が、一針、また一針と続いていた。
「できた!」
サチの声は誇らしさを隠せていなかった。
「見て、この袖口、二重に折ってあるの。それにこの縫い目、どれも全部同じ間隔なんだよ!」
「縫い目の間隔が実に見事に揃っています」
セバスティアンが真剣に評した。
「主様、このお嬢様の手仕事は、本当に褒めるに値します」
「こんなに小さいのか……」
アラユの声に羨望が混じった。
「俺の鋏用に着たいとしたら、もっと大きいサイズってあるのか?」
「後であなた用に仕立て直してあげる」
サチが笑って約束した。
「とても……綺麗」
プルトンシャがゆっくりと言った。
「ありがとう!」
サチの声がさらに嬉しそうになった。
「こんなに手先が器用だったとは知らなかった」
ユウキの声に笑いの気配が混じった。
「子よ、届けたらすぐに戻ってきなさい。一秒も余計に留まってはだめ」
フェアリーの声が静かな指示に変わった。
俺の前部の上で空気が揺らいだ。
前部の脚の上に、一体のピクシーが現れた。頭から足先まで小さな銀灰色の防護服に包まれ、羽の位置にも細かく切れ込みが入れられ、縁はどこもきれいに始末されていた。その子は自分の体より大きな丸い栓を抱え、足元がふらつき、一瞬後ろへよろめいた。
「主様!」
その子の声は小さく、切迫していた。
「サチ様が、縫い目を絶対に見てくださいって!」
俺は感覚をその小さな服へ這わせた。
縫い目はほとんど見えないほど細かく、一つまた一つと、まるで物差しで測ったかのように均等に並んでいた。
「縫い目、すごく綺麗だ」
俺は受話口に向けて言った。
「でしょ!」
サチがすぐに食い込んできた。声が一段高くなっていた。
灼熱の風が側面から吹き込み、小さなピクシーの肩がびくりと震えた。
俺は前部右側の脚を伸ばし、栓をしっかりと挟み込んだ。
「受け取った」
俺は言った。
「もう戻れ」
その子はそれ以上何も言わなかった。空気が揺らぎ、姿が消えた。
炎の竜巻が向きを変え、風の柱全体が俺へ向かって襲いかかってきた。灼熱の風が壁のように砂を前方へ押し進め、センサーが警告を次々と点灯させた。
【外部風圧負荷、急上昇】
栓を前部の脚に挟み込んだまま、俺は同時に後方の脚を地面に食い込ませ、体を横へ滑らせた。風の柱が側面をかすめ、地面に長く深い溝を刻んでいった。
今だ。
俺は脚を前へ振り、栓を前方の砂地へ向けて放り出した。
栓は灼熱の風の中を、何度も転がりながら飛んでいった。




