第230話 レプリケーション
強風は吹き続けていた。
砂が装甲にざらざらと当たり続けた。俺は胸の奥に湧き上がる動揺を押し殺しながら、内部の診断システムを一節ずつ走らせ、自分に今どれだけ残っているのかを確認していった。
前面から二枚、左側面から三枚、背面からさらに一枚――落ちていった順番には、まったく理屈が通っていなかった。
露出した内部フレームは、見た目にはまだそれなりに無事に見えたが、かつて装甲に覆われていたはずの隙間が今は剥き出しになって風にさらされているのを見ていると、機械の脚が自分の意思とは関係なく縮み、その開口部を庇うような動きを取った。
この体は核爆発にすら耐えた。壊れるなんて誰も思わなかったはずだ。
今、自分自身でさえ、その考えを疑い始めていた。
「マスミ!」
ワカナの声が携帯越しに鋭く響いて、センサー配列が震えるほどの大きさだった。
「装備、もう観の門に届いてる! 今すぐ着替えて、すぐそっちに行く!」
「来るな!」
俺はすぐに彼女を制止した。
「あいつがどうやってこれをやってるのか、俺自身まだ分かってないんだ。ワカナには俺みたいな装甲がない――ここに来たら、ワカナも同じように一枚ずつ剥がされるだけだ!」
「でもあなたは――」
「ワカナ、ちょっと待って」
ユウキの声が割り込んだ。たぶんワカナの腕を掴んだのだろう。
「あいつの言う通りだ。今行っても、何から身を守ればいいのかすら分からない」
「じゃあ私にただ見てろって言うの!?」
ワカナの声が鋭く切迫した。拳を握りしめて、指の関節が白くなっているのが目に浮かぶようだった。
「私もそうしたくはない」
ユウキの声が低く沈んだ。
「でもあれだけ頑丈な装甲を切り取れるんだ。あの方法が人間にも通じたら、どれだけ恐ろしいことになるか」
ワカナは何も答えなかったが、携帯越しに彼女の荒く速い呼吸が聞こえてきて、一息ごとに、胸の奥の何かが締め付けられていくようだった。
『マスミの装甲もう半分くらい無くなってるよな』
『何にビビってるんだこいつ』
『核には耐えたのにこれでやられるのか』
コメントが次々と積み重なっていった。みんなが心配しているのは分かっていたが、それに割く余裕はなかった――全神経を目の前のことに向けなければならなかった。
その頃、信号越しに視察官の声が届いた。口調は先ほどより速い。
「このような痕跡の残らない損傷、本当に対応可能なのでしょうか。分析支援が必要であれば、専門家をいくつか派遣することもできます」
「間に合うなら」
ユウキはきっぱりとは断らなかった。
「ありがとうございます」
だが、本気で期待しているわけではないのは、声の調子からすぐに分かった。
視察官は一瞬黙り、信号越しに紙をかすかにめくる音が聞こえ、それ以上何も言わなかった。
強風は荒野の奥から絶え間なく吹き込み続け、砂をぼろぼろになった装甲に叩きつけ、剥き出しになった隙間一つひとつが、細く鋭い音を立てて鳴った。
あいつが一体どうやってこれをやっているのか、正確に突き止めなければならない。
持っているセンサーは全部試した。どれも使える情報を返してこなかった。
相手がどんな方法を使っているのか、俺にはまったく見当がつかなかった。
だが、一つだけ確かなことがあった。
最初から最後まで、俺はずっと同じ場所に立ったまま、一歩も動いていない。
相手がどんな方法を使っているにせよ、それに狙いが必要で、時間が必要なものだとしたら、俺がこうしてずっと立ち続けていることは、むしろ相手に協力してやっているようなものだ。
逆に言えば、動き続けていれば、少なくとも相手にとって難易度を上げられるはずだ。
思いついた瞬間、俺はすでに動き出していた。機械の脚を地面に深く食い込ませ、全身を地面近くで横に飛ばした。
魔像の直線加速は強いが、旋回は笑ってしまうほど不器用だ。
それでも、曲がるかどうか、いつ曲がるかは自分で決められる。それだけでも、ある程度の予測不能さを生み出せるはずだった。
強風が正面から叩きつけてきて、砂が装甲にぱちぱちと当たった。数十メートル走り、急停止してから反対方向へ切り返し、機械の脚が地面に長い溝を次々と削り出していった。
風の柱の中の輪郭は、依然として黙って立ったまま、俺が前後に走り回るのを見つめていた。炎にはまったく揺らぎが見られなかった。
『マスミ急に走り回り始めた!』
『これ意味あんの?』
『何を避けてるんだ』
「マスミ! なんで急に動き出したの?」
ワカナの声が携帯越しに届いた。彼女自身の荒い呼吸も混じっている。まるで俺と一緒に緊張しているかのようだった。
「ちょっと試してるんだ」
俺は走りながら答えた。
「理由も分からないまま突っ立って剥がされ続けるくらいなら、動いたほうがましだ」
「それ、本当に効果あるの……」
サチの声がかすかに届いた。
「分からない」
俺は正直に答えた。
また一枚、装甲が背後の地面に落ち、二回転した。
動くことが本当に相手にとって難しくなっているのかどうかは分からなかった。
だが少なくとも、ただ突っ立って一枚ずつ剥がされ続けるだけではなくなった。
それでも、このままでは装甲はいずれにせよ尽きていくだけだ。相手の方法を突き止めなければ、どれだけ走っても時間稼ぎにしかならない。
強風の中を前後に走り続けながら、俺は注意の一部を割いて、ずっとこの身の周りに付き従っている二つの小さな存在を探った。
一つは、俺の従者――超微小浮遊粒子だ。
もう一つは、第四の頭目を倒したときのドロップ――超微小エネルギー弦だ。
そのエネルギー弦は粒子と同じくらい信じられないほど小さく、俺のどの感覚でも捉えられない。分かっているのは、それがまだこの身の近くのどこかにあるということだけだった――位置は特定できず、形も見分けられない。
だが、それが何のためのものかは分かっていた。
知恵の書はあまり詳しく説明してくれなかったが、理解できる程度には伝えてくれていた。
この弦が捉えた粒子は大量に増やすことができる。超微小浮遊粒子がこの弦をくぐった瞬間、同時にくぐったほかの気体分子も、同じく超微小浮遊粒子へと変わるのだ。
一つの粒子だけでは、探れる範囲があまりに狭すぎる。数が増えれば、それだけ探索できる領域も広がるはずだった。
問題は、俺が粒子も弦もどちらも特定できないことで、粒子を直接弦へ送り込む方法がなかった。
残された手段は一つだけだった――二つが互いに衝突しうる範囲を何らかの方法で絞り込み、同時にその衝突の頻度を増やすことだ。
純粋な感覚だけを頼りに、まずその弦がありそうな大まかな空間の一角を見定め、機械の脚の先端を高速で震動させて、短く速い往復の気流を発生させ、粒子の動ける範囲をその狭い一角へ圧縮して、極めて速い速度でその中を何度も往復させ、いつかそれがたまたまこの弦をくぐり抜けることを期待した。
強風はそれを外へ引っ張り出そうとし続け、俺は走りながら新たな乱れを次々と加えて、それを何度もその狭い範囲へ引き戻し続けるしかなかった。この繰り返しの動きで機械の脚の関節からかすかな軋み音が立ち、砂がフレームの隙間に流れ込み、動くたびに金属同士がざりざりと擦れる砂の感触が返ってきた。
一往復、二往復、十往復、数十往復。
装甲は一枚、また一枚と落ち続けた。
「集中させてあげて」
ユウキの声が低く沈み、口を開きかけたワカナを遮った。
その粒子が狭い空間の中をどれだけ往復したのか、もう数え切れなくなっていた。風と砂が装甲に当たる音が、ほかのすべてを呑み込んでいった。
そのとき、不意に、その知覚の中にある存在感が変化した。
一つだったはずの存在感が、突然いくつにも増え、周囲の空気の中に散らばり、近づいたり遠ざかったりしながら漂い始めた。
成功した。
粒子がその弦をくぐり抜け、同時にくぐり抜けたほかの気体分子も、超微小浮遊粒子へと変わったのだ。
俺は神経を張り詰めたまま、油断せずに走り続け、空気を乱し続けた。
粒子が増えれば、それだけ探索範囲が広がる。これをもう何度か繰り返せば、俺の周りに網のように広げられるはずだった。
ちょうどその時、頭部の文様の板の縁にかすかな震えが走った。
その一番外側の縁の板が外れ、ゆっくりと落ちていった。
視界がそれに合わせて揺らいだ。
もう一枚内側へ進めば、それはもう文様の板そのものだ。
強風は四方からなおも唸り続け、この身のあらゆる隙間から、細く弱々しい音を立てさせていた。
俺は風の柱の中の、依然として黙り続けるその輪郭を見つめたまま、機械の脚で地面に深い溝を刻み続けた。次に来る相手の一手は、この体の核心に直接届くかもしれない。




