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倒した敵は俺の力になる 〜魔物だらけのダンジョンを攻略しながら、ドロップ品を配信で売って一気に億万長者へ〜  作者: 上部乱
巽の塔ー風水渙

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第21話 風の障壁


考えがまとまると、俺とサチは一瞬も迷わず、全速力で第一層の「観の門」へ引き返した。


光の霧を抜けて、あの広々とした入口の大広間に戻った瞬間、目に飛び込んできた光景に息を呑んだ。


最初に来た時は精神的な余裕がまったくなくて、ここをまともに観察していなかった。


こんなに壮大な場所だとは思っていなかった。俺たちがいるのは巨大な樹洞の中で、その場所には今、ぐるりと人が取り囲んでいた。


祐希だけじゃない。

少なくとも百人以上はいた。


彼らは数十の異なる武装組織に属していた。制服と装備を見るだけで、その陣容の混沌ぶりに言葉を失った。


国内外の情報機関、中露の秘密工作員、南米の麻薬カルテル、中東の過激派武装勢力、さらには西側大国が派遣した民間軍事会社まで。


世界の秩序を変えうるこの力を前にして、食いつかない勢力などあるはずがない。


配信のチャット欄はこの時点でもう肉眼では追いきれないほどの速度になっていた。


『え、何これ?突入部隊?』

『ペンタゴンのマークが見える……クレムリンのも?』

『真澄逃げて!これ世界大戦の前触れじゃん!』

『AK持ってる連中、絶対やばいやつら。配信者危ない!』


彼らは「観の門」を中心に、奇妙な対峙の円陣を形成していた。


互いに警戒し、互いに銃口を向け合いながら、あの三つの扉から「勇気の剣」とやらをどう手に入れればいいのか分からず、誰も先に動けないでいた。


しかし、俺の登場がその脆い均衡を一瞬で壊した。


「That’s Nitta Masumi! The man who controls this tower!

(あいつが新田真澄だ! この塔を掌握している男だ!)」群衆の一人が英語で叫んだ。


単独では俺に勝てるか分からない。でも、欲望に突き動かされたこの人たちは、普段は互いに敵対しているくせに、この瞬間だけは奇妙な意思統一に達した――まず俺を仕留める、と。


祐希だけが銃を構えたまま、驚いた顔でこちらを見ていた。

それ以外の、百以上の黒い銃口が、同じ瞬間に俺の胸に向いた。


「主人、せっかくですから、ピクシー女王の腰帯を試してみてはいかがでしょう」


フェアリーが俺の耳元でそっと言った。

彼女が指したのは、俺の手首に巻かれた、一見地味だが微かな光を帯びたその金の手環だった。


その時、覆面をした熊のような巨体の男が俺に向けて発砲した。

「バン!」という大きな音。狙いは俺の足元で、明らかに致命傷を避け、生け捕りにして尋問するつもりだった。


正直、銃弾というのは動きの素早いピクシーでも避けられるかどうか分からないくらい速い。まして人間の俺には無理だ。

でも弾が俺の半メートル手前に迫った瞬間、手首の「腰帯」が動いた。


それは弾道を計算し、瞬時に荒れ狂う護身の気流を呼び出した。

高速回転する圧縮された渦だ。


銃弾はその見えない壁に当たった瞬間、軌道を強引に逸らされた。

それは俺の脇をかすめ、右斜め後ろにいたマフィア風の男の肩に吸い込まれた。


撃たれた男が悲鳴を上げた。

仲間たちには弾がどこから来たのか分からない。あの大男がもともと俺を狙っていたことも。てっきり別の組織が乱戦に乗じて撃ってきたと思ったのだろう。


「¡Maldición! ¡Están disparando!(クソッ! 撃ってきやがった!)」


怒りのスペイン語が響き渡り、二つの組織が瞬時に激しい撃ち合いを始めた。


『今のなに?銃弾が曲がった?』

『あれは風だ!風の壁!女王の腰帯が風魔法を使ってる!』

『外国の黒幕連中が内輪揉めしてる、草。犬が犬を噛んでる』

『配信者のこの煽り、満点の出来じゃないか!』


最初のドミノが倒れた。

同じ組織の他のメンバーが突発的な事態に混乱し、極度の緊張とアドレナリンに突き動かされて、目の前の怪しい相手すべてに向けて撃ち始めた。


「こっちとしては、これくらい混乱してくれたほうがいい」


俺は腹が決まった。

片手でサチの腰をしっかり引き寄せ、呆然と立ち尽くしていた祐希のそばに駆け寄り、もう片方の手で彼女の腕をつかんだ。


「ま、真澄?何するの!」祐希が顔を赤らめて叫んだ。

「目を閉じて、俺についてこい!」


二人を連れたまま、俺は銃撃が最も激しい交戦区の中心へ向かって突っ込んだ。

傍から見れば自殺行為にしか見えない。でも俺たち三人は、風の障壁に守られながら、台風の目の中を歩くように進んだ。


無数の銃弾が雨のように降り注いだが、護身の気流に触れた瞬間、すべて四方八方へ弾き飛ばされた。

周囲で様子を窺っていた組織の者たちが、どこから飛んできたか分からない流れ弾をまともに受け始めた。


脚を撃たれた者、肩を撃ち抜かれた者。

悲鳴と銃声が入り混じった。「観の門」の入口は一分足らずで、混沌に満ちた荒唐無稽なサバイバルゲームと化した。


俺はただ静かに二人の女の子を引き寄せたまま、嵐の目の中に立って、いわゆるエリートたちが自滅していくのを眺めていた。

あまりにも呆気ない。俺は一発も撃っていないのに、この戦いはもう勝ちが決まっていた。


死傷者が半数を超え、残った者も全員傷を負った頃、俺はこの茶番を終わらせることにした。

「もういいだろ?」俺は低く言った。


そして「知恵の書」の力を使い、雷霊鳥に化身した。

眩い青白い電光の中で、俺の体が変容し始めた。肩甲骨から、金属質の羽毛を持つ巨大な翼が広がり、翼の縁に細かな電弧が走った。


俺の目は稲妻のような明るい紫色に変わり、全身から息が詰まるような威圧感が放たれた。


『マジか!真澄が変身した!雷神か何か?』

『あの翅の造形、本物なの?かっこよすぎる』

『これがLevel 10の実力か。あの人間たち、もう戦う意味ないじゃん』


魔法の出力を抑えた。この塔を吹き飛ばしたくはない。

生き残っている者たちに向けて、最弱の電撃を一発だけ放った。


「バチッ!」


青い電流が蜘蛛の巣のように広がった。

致命的ではないが、その圧倒的な衝撃で、その場にいた生存者全員が一瞬、魂が抜けたように固まった。


俺は人の姿に戻り、淡い緑色の光を放つ透明翼をその場に大量にばら撒いた。

「武装と装備は全部置いていけ。それから、まだ息のある仲間を連れて……失せろ」


俺が一喝すると、声が迷宮に響いてまるで雷鳴のようだった。

雇われ兵も、スパイも、工作員も、人外の力を目の当たりにして、もはやその傲慢さの欠片もなかった。


彼らは我先に透明翼をつかんで、負傷した仲間を担ぎ、次々と緑の光の中に消えていった。


小さなピクシーたちを呼んで現場を片付けさせ、高性能ライフル、赤外線照準器、セラミック製の防弾チョッキをすべて「観の門」の中に運び込ませた。

散乱した残骸と、逃げられなかった数十の死体を見渡して、頭が痛くなった。


「フェアリー、この死体どうすればいい?」

こめかみを押さえながら聞いた。「放置したら腐りますよね?」


「主人、ご心配なく。迷宮が処理します」とフェアリーが淡々と答えた。

そして俺は、一生忘れられないだろう光景を目にした。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


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