第208話 落下の中の託し
セバスティアンの視線は俺にしっかりと据えられたままだった。頭の大きな触角がかすかに震え、テープの巻かれた左手が一度、意志とは無関係にひくついた。
俺たち二人は相変わらず落ち続けていた。
周囲の空虚には音がまったく伝わらず、残されたのは目で語り合うことだけだった――この真空でも遮ることのできない唯一の手段。体温は少しずつ奪われていき、その圧力は叫び声よりもなお重くのしかかり、耳の中に、騒音よりもずっと不穏な鈍い痛みを膨らませていた。
セバスティアンの触角の先端には薄い霜が張りついていた。この低気圧は露出した皮膚を蝕んでいく――外骨格を持つ生き物であっても、完全に無縁ではいられなかった。
「ですが」
彼はようやく続きを口にした。一語一語ゆっくりと丁寧に形作り、その唇から俺が全体の意味を読み取れるようにしながら。
「マスミ様の体は、これほどの運動エネルギーが跳ね返ってくる力には、おそらく耐えられません」
心臓が沈み、喉が渇いた。
「どういう意味だ?」
「先ほどあれを突破しようとして、どれほどの力を使ったか思い出してください。皆様がロケットランチャーと呼ぶ、あの恐ろしい武器まで使いました。ロケットランチャーの直撃を、あなたが受け止められるとお思いですか?」
俺は首を振った。
「あのゴーレムを貫くだけの力を蓄えるまで加速し続ければ、強化されていない体では、その反動の力に耐えられるとは到底思えません」
彼の右の鋏がさらに強く締まり、その関節が俺の腕に深く食い込んだ。
「私が申し上げているのは、コンクリートの壁に投げつけられた卵のようなものです」
俺は口を開いたが、しばらく言葉が出てこなかった。
「じゃあ?」
自分の声が震えているのが分かった。
「俺に諦めろって言うのか?」
「あるいは、他にも方法があるやもしれません……」
セバスティアンの目に、これまで見たことのない躊躇いの色がよぎった。
俺はその気遣いを振り払い、強く歯を食いしばった。爪が掌に食い込み、鋭い痛みが走ったことで、頭がいくらか冴えた。
サチ、ユウキ、ワカナ、フェアリー、そしてこの旅で集めてきたすべての従者たち――そのうちの誰一人として、俺が代わりに差し出せる存在ではなかった。もし誰かがこの一撃を自分の体で受け止めなければならないなら、それは俺しかいない。
「どんな怪我をしようと、俺がその衝撃を受け止める」
セバスティアンはしばらく俺を見つめていた。何かもっと言おうとしているのかと思うほど長く。彼の右の鋏が少し緩んだが、完全には離さなかった。何かを心の中で天秤にかけているかのように。それから、ようやくゆっくりと深く息を吐いた――真空の中では、その息は泡一つ形作ることもできず、ただ胸の上下だけがそれを物語っていた。
俺たち二人の体が前触れもなく激しく揺さぶられた――ワカナの転移が発動したのだ。
次の瞬間、真空の冷たさが再び俺たちを襲い、サチの体が俺の手の届く範囲内で空中を転がっていた。長い髪が激しく乱れ、翠甲羅が光のないその高みでかすかな輝きを捉えている。彼女の唇が何か言葉を紡いでいたが、俺には聞こえなかった。だがその目は俺にしっかりと据えられたままで、パニックの色一つなかった。
俺は精一杯腕を伸ばし、全力で彼女のほうへ手を伸ばした。指先がかろうじて彼女の差し伸べた手を捉え、腕の中へと引き寄せる。その体が俺にぶつかった瞬間、風纏う爪の四本の機械の爪が反射的に俺の腕にしっかりと絡みつき、痕が残るほど強く締めつけた。
ワカナは再び転移を発動させようとしたが、連続では使えないことを忘れていた。彼女は無駄に眉をひそめただけだった――あの馴染み深いめまいのような感覚は訪れなかった。
「無理、さっき使ったばかり!」
彼女は空中で大げさに身振りをした。顔は必死で歪み、こめかみには血管まで浮いていた。
サチがすぐに察し、今度は彼女がピクシーのタトゥーを発動させる番だった。次の瞬間、俺たちをユウキの落下軌道の近くまで運び、頬を膨らませ真空にすっかり方向感覚を失っているユウキを抱き寄せた。ユウキの髪はすっかりほどけ、幾筋かが額に張りついていた。勇気の剣は相変わらず手首にしっかりと固定されていて、その鞘の革紐が皮膚に深く食い込んでいた。
続いてユウキ自身が転移を発動させ、フェアリーに追いついた。もう飛べるだけの風は残っていなかったが、彼女は習慣で相変わらず翅を羽ばたかせ続けていて、その縁にはすでに薄い霜がこびりつき、羽ばたくたびに小さな氷の結晶が舞い散っていた。
彼女はすぐに俺たちの計画を読み取り、みんながまだ繋がっていることを確認すると、自分の次の転移を発動させ、遠くにいるニャリクのほうへと向かった。
その鳥人を捕まえた後、俺はタトゥーを試してみた……もう少しで再び発動できそうな感触があった。ジェリーはずっと俺たちのそばに残っていて、着地の衝撃で命を落とすような地面が下に来ないよう見守ってくれていた。
さらに数秒が経ち、俺たちはプルートゥンシャのほうへと転移した。
俺たち五人はこうして交代しながら、直前に転移を使った者が息を整える間に、まだ余力のある者が次を引き継ぎ、仲間を一人ずつ引き寄せていった。集まる人数が増えるほど運動エネルギーはますます重くなっていき、俺の指先にまで伝わる震動もそのたびに鋭さを増していった。
次にマファガイスとサラダを捕まえた。
サチが俺の肩にもたれて息を整えながらも、それでも手を伸ばしてワカナの乱れた髪を撫でつけていた。ワカナはユウキに「まだいける」というような身振りを送り、安心させるような頷きが返ってきた。誰も文句一つ言わず、みんな同じように歯を食いしばって耐える表情を浮かべていた。
ついにアラユに追いついた。
アラユの硬い甲羅が落下の勢いで俺にぶつかり、その鋏が俺の肩をしっかりと掴んだ。彼の体を取り巻く紫がかった赤茶色の甲羅の輪は、この薄い光の中でも完全に無傷なままで、ひび一つなかった。そばにいる、すでに汗をかき青ざめているサチやワカナとは対照的だった。
セバスティアンがみんなに俺たちの計画を説明した――この落下で蓄えた勢いを使って、ゴーレムを貫くというものだ。
「その一撃、俺が受ける」
アラユが軽蔑するような視線を俺に送った。
「駄目だ」
俺は即座に断った。
「この力がどれほど常軌を逸したものになるか、お前は分かってない」
「分かってる」
アラユの口調には反論の余地がなかった。巨大な鋏が虚空の中でゆっくりと開閉する。
「だがお前より俺のほうが耐えられる」
彼はほぼ無傷のその甲羅を掲げて見せた。関節の間にすら柔らかい組織が露出している気配はなかった。
「お前には……もっと大きな責任がある」
彼はついにその誇りを脇に置いた。
「もしこの一撃でお前が死ぬか大怪我でもしたら、誰がベルゼブブと向き合うんだ?」
その珍しい率直さに、俺はしばらく言葉を失った。
「俺のこの甲羅は低気圧にも耐えてきたし、あいつの攻撃だって何度も防いできた。この一撃は絶対に俺が受けるべきだ」
俺は反論しようとしたが、そばにいたセバスティアンは何も言わず、アラユを見つめたまま、触角を少し垂れさせて、どちらの肩も持たなかった。
ワカナの手が俺の肩に乗った。
「マスミ、聞いて」
彼女の目が語っていた――何か計画があるのだと。
「私、これからちょっと益の回廊に転移して、風霊鳥たちに歌ってもらって、その音をイヤピース経由でアラユに届けるつもり――電気信号なら空気が要らないから、真空でも遮断されない。力と反応速度の強化があれば、あの反動、実際に耐えられると思う。これは彼が意地だけで命を投げ出すってことじゃない」
俺はアラユの目を見つめた。そこには揺らぎの色一つなかった。
俺は握っていた拳をほどいた。
「頼んだぞ」
ワカナはその隙に最後の転移を発動させ、姿を消した。
益の回廊でどれほどの時間がかかったのか、誰にも分からなかった。分かっているのは、ワカナが再び姿を現したとき、アラユの頭のそばにある小さなイヤピースの機器がすでに震え始めていて、風霊鳥の歌を途切れ途切れの断片で響かせていたということだけだった。
アラユの鋏は即座にぴんと張り詰め、その甲羅にはこれまで見たことのない光沢が浮かんだ。まるで甲羅の下の筋肉までもがその歌によって編み直されたかのようだった。彼は鋏を二度開閉させた。その力は以前よりも明らかに重く、そして安定していて、全身の甲羅がそれに合わせてかすかに震えを発した。
サチが静かに手を伸ばし、俺の指を強く握った。ユウキは勇気の剣を胸の前に横たえ、その刃がかすかな赤い輝きを帯びる。ワカナの顔はまだ少し青ざめていたが、それでもにっこりと笑って安心させるような身振りをしてみせた。フェアリーが俺の肩に降り立った。翅はもう震えていなかった。
「勢い、十分だ」
セバスティアンが、遠くで大きくなっていく灰色の輪郭を見つめながら言った――守護者五号、風の山のボスであるあのゴーレムだ。
アラユは体を回転させ、その輪郭に真正面から向き合い、両方の鋏を前に伸ばした。甲羅がわずかな光を反射している。
「行く」
その声は低かったが、彼がこれに賭けているすべてを物語る重みがあった。
ゴーレムの巨大な輪郭が急速に迫り、はっきりとしてきて、大きくなっていき、俺たちの目の前の空虚をほぼ埋め尽くしていった。
アラユが巨大な鋏を振るった!
俺たちは全員一斉に上へと弾き飛ばされ、その同じ瞬間、俺たちが纏っていたすべての勢いが彼へと注ぎ込まれた。
アラユは、俺たち全員で積み上げてきたその勢いのすべてを纏いながら、激しく叩きつけた――
その轟音が俺たちに届くよりも先に、すべてが目もくらむ白い光に呑み込まれた。




