第206話 また? 本当に?
俺はニャリクとフェアリーを抱えたまま息を整え、ゆっくりと地面から体を起こした。あの一連の衝突のせいで四肢が痛んでいたが、それでも無事に切り抜けられたことに安堵していた。
「みんな大丈夫か?」
俺は叫び、周囲から返ってくる声に耳を澄ませた。
ワカナはプルートゥンシャの腕の中から起き上がった。顔は青ざめていたが無傷だった。アラユは何度もユウキを庇いながら転がった末にようやく止まり、二人ともいくつかの擦り傷はあったが大したことはなかった。サチとマファガイスも互いに支え合いながら何とか体勢を立て直していた。
俺は一人ひとりを数えていき、少しずつ落ち着きを取り戻していった。
「プルートゥンシャ、大丈夫か?」
俺は急いで彼のところへ駆け寄って確認した。分厚い甲羅に覆われた体には、いくつかのはっきりとしたひびが入っていた。特に背中は、明らかにそこで衝撃を受けたものだった。
「なんとか命拾いした」
プルートゥンシャがゆっくりと体を動かしながら、苦しそうな声で言った。
「今回は持ちこたえた。もう一回同じことがあったら、俺はもう終わりだ」
「これ、全部私のせいで、こんな酷い怪我させちゃった」
ワカナがしゃがみ込んだ。声に罪悪感が濃く滲んでいる。彼の背中に入ったひびを丁寧に確認した。
「これは俺自身が選んだことだ。自分を責める必要はない」
プルートゥンシャは首を振り、ゆっくりと体を起こしたが、その動きは以前よりも明らかに遅かった。
俺は彼の傷ついた甲羅を見つめ、感謝の念が湧き上がってくるのを感じながら、他のみんなの人数確認を続けようとして、次の瞬間に固まった。
「セバスティアンは?」
みんなが顔を見合わせたが、誰もしばらく言葉を見つけられなかった。
「俺を投げ飛ばしてから見てない」
背筋に寒気が走り、俺は急いで周囲を見渡して彼を探した。
「あそこだ!」
ニャリクが不意に少し離れた場所を指さした。声に警戒が滲んでいる。
俺たちは駆けつけると、セバスティアンが出来たばかりの陥没穴の縁に横たわり、ゆっくりと苦しそうに体を起こそうとしているのを見つけた。彼の両手はすでに巨大な鋏へと変わっていて、右の鋏は地面に深く突き刺さり、左の鋏は細かいひびの網に覆われていた。明らかに、大地に叩きつけることで二人分の衝撃をまとめて受け止めた結果だった。
「セバスティアン!」
俺は急いで駆け寄り、彼を支えた。
「なんとかまだ生きております……」
セバスティアンが喘ぎながら言った。声には本物の疲労が滲んでいたが、それでも相変わらずの落ち着きを保っていた。彼はひびの入った鋏を小さく振ってみせ、苦笑を浮かべた。
「地面を殴ったところ、その反動で左手が壊れかけましてございます」
俺はそのひどく損傷し、蜘蛛の巣状のひびに覆われた鋏を見つめた。完全には砕けていなかったが、明らかにひどく傷ついていた。
「これはかなり治療に時間がかかりそうだな」
俺は心配しながら言った。
「マスミ様が粉々になるよりはずっとましでございます」
セバスティアンが無理に笑みを浮かべた。声には後悔の色一つなかった。
「老友、自分の体を賭けにかけたのか」
「ヘヘ、この命、まだ三回分の賭け金は残っておりますよ」
彼はまだ無事な右の鋏と脚を指し示した。
イヤピースの中のコメントが一気に流れ込んできた。
『セバスティアン、本当に命懸けだった』
『ギリギリだったな、みんなよくやった』
ワカナが真理の鏡から通気性のある医療用テープを取り出し、歩み寄って巻き広げながら、セバスティアンの鋏に何重にも巻きつけていった。
「ああ、少し楽になりました」
セバスティアンがワカナに優雅にお辞儀をした。
俺はセバスティアンが立てるよう支え、そこでようやく周囲を見渡す余裕ができた。ゆっくりと、それまで確かに感じられていたはずの足元の地面が、正体のはっきりしない無重力感を帯び始めていた。
「この感覚……」
胸の中で何かが激しく引っかかった。
あの断続的な上昇気流が三度目、何の前触れもなく噴き出し、足元から凄まじい力が真上へと突き上げ、すでに疲れ切った俺たちの体を再び空へと激しく巻き上げた。
「まさか!」
ワカナの叫び声が轟く風の音に混じった。
俺は強く歯を食いしばった。これまでにない恐怖が湧き上がってくる――あの必死の連鎖衝突で勢いを逃がした後、セバスティアンの巨大な鋏はすでに形を保てないほど砕けていた。俺自身の瞬間移動が回復しているかどうかも分からない。もし同じ真空落下にもう一度直面するなら、俺たちの誰にも、生き延びるための手段は何一つ残っていないだろう。
「もう一度これを乗り切れるはずがない!」
ユウキの声には珍しく恐慌が滲んでいた。彼女は自分に残ったわずかな力を見下ろし、顔を青ざめさせた。
案の定、その気流は同じように不意に途切れ、一瞬にして辺りにはまた不気味な静けさが降り、あの摩擦のない真空が再び俺たちを包み込んだ。
「そんな……」
俺は自分の体が何にも支えられないまま地面へと落下していくのを感じた。もがくための力すらほとんど残っていない。
そばにいたワカナが反射的に俺の手をしっかりと掴んだ。
周囲に散らばる仲間たちも同じように空中にいて、誰もが同じ絶望の表情を浮かべていた――今回は、誰も何一つ思いつけなかった。
イヤピースの中のコメントが一瞬静まり、それから口々に流れ込んできた。
『まさか、また同じことが……』
『この状態でもう一度持ちこたえられるはずがない』
『誰か、何か考えて』
『これは本当に絶望的に見える』
『みんな耐えられるのか』
俺は迫ってくる地面を強く見つめた。体は自由落下でどんどん加速している。これまでにない無力感が湧き上がってきた。今回は、瞬間移動にせよ互いにぶつかり合って勢いを逃がすことにせよ、俺たちが持っていた選択肢はすべて前回で使い果たしてしまっていた。
俺たちはこうして、まったく抵抗できないまま、ますます近づいてくる地面へと落ち続けた。
瞬間移動の力はもうそろそろ再使用可能になっているはずだ。
だがそれを使って一体何ができる?
俺はすでに心を決めていた――一番大切な仲間のところへ転移して、死ぬなら、せめてその人と一緒に死のう。
「サチとユウキ、どっちの隣で死ぬべきだと思う?」
俺は絶望的な声でワカナに尋ねた。
「お前、今本当に頭おかしくなった?」
ワカナが俺の額を思いきり叩いた。
彼女には本当に何か案があるのか?
「こんな時は当然、観の門に転移――いや、違う――益の回廊に転移だよ」
ワカナが俺を見つめながら叱りつけるその様子は、まるで馬鹿息子を説教する母親そのものだった。
「でも……それって見捨てて逃げるってことじゃ……」
俺は海民たちのほうを見た。もし俺たちだけが臆病に益の回廊へと逃げ帰り、セバスティアンたちを見捨てて死なせてしまえば、乙姫様との同盟もおそらく終わってしまう。
「本当に分かってないな、お前は。友達を見捨てて死なせるつもりなんて、一切ないから!」
ワカナが苛立たしげに言い、また俺の肩を叩いた。




