第203話 地に縛られて
泥と根の即席の鎧に包まれたまま、俺たちはよろよろと戦場へと向かった。あの馴染み深い低気圧は相変わらず辺りを覆っていたが、もう耐え難い痛みにはならなかった。
「やっと来たか!」
アラユが遠くから俺たちを見つけ、明らかに肩の力を抜いた。紫がかった赤茶色の大きな鋏には大小の擦り傷が刻まれ、片方はわずかに垂れ下がっていて、かなりの痛手を受けているのが分かる。
プルートゥンシャの灰白色の甲羅にも、いくつかの深いひびが入っていた。彼は荒く呼吸していたが、それでもしっかりとその場に立ち続け、退く気配は微塵もなかった。
セバスティアンの触角は力なく垂れ下がり、体のあちこちに薄い痣が見えた。それでも俺たちが無事に戻ってきたのを見ると、疲れながらも心からの笑みを浮かべた。
「マスミ様、ようやくお戻りになりましたか。この間、なかなかの試練でございました」
「戦いはどうだった?」
俺は彼らの怪我を確認しながら尋ねた。
「お恥ずかしい限りでございます」
セバスティアンが苦笑しながら首を振った。
「この老いぼれ、八百年余りを生きてまいりましたが、その積み重ねで得たのはレベル142の修練のみ。この間、あいつを直接押さえ込むことすらできませんでした。せいぜいその攻撃を食い止めて、マスミ様に少しの時間を稼ぐのが精一杯でございました」
その一言が重く響いた。
レベル142――俺には想像もつかない高みだ。セバスティアンは八百年以上を生き、その間に積み上げた力は、俺たちの手が届く範囲をはるかに超えているはずだった。それでもそれほどの力をもってしても、このゴーレム相手に成し得たのは「食い止める」ことだけ。押さえ込む余地すらなかった。
「つまり、あいつの強さはレベル142をはるかに超えてるってことだ」
ユウキが鋭く息を呑み、深く眉をひそめた。
「セバスティアンでさえそこまでしかできないなら、私たちは一体どうすればいいの」
複雑な衝撃が湧き上がってきた。これはそもそも数を積み重ねれば勝てるような戦いではなかったのだ。このゴーレムの存在そのものが、おそらく通常の強さの評価の枠組みから外れている。
「三人とも、本当によく耐えてくれた」
俺は彼らの怪我を見て、同情の念とともに、彼らから滲み出るしぶとさも感じ取った。
「ここからは俺たちが引き継ぐ」
俺はピクシーのタトゥーを発動させようとし、空に昇って戦況を見渡そうとしたが――何も起こらなかった。
「あれ?」
俺は固まり、何度か試してみたが、あの馴染み深い浮遊感はまったく訪れなかった。
「どうしたの?」
サチが不安そうに尋ねた。
「飛べない」
俺は眉をひそめた。
「私も……この泥の鎧が重すぎるし、それに……この大地、何か風の魔法を弾く力を持ってるみたい」
フェアリーがよろめきながら俺のそばに来た。
「大地だけじゃない……」
ワカナは目を閉じ、ピクシーのタトゥーの効果を感じ取ろうとしていた。
「そう、大地だけじゃない……」
ニャリクが眉をひそめた。
「空気もだ……」
彼は翅を羽ばたかせたが、その力の入り具合が奇妙に強く見えた。まるでシーソーの片方の重しが急になくなったかのようだった。
「空気か……」
俺は周囲の空気に丁寧に意識を集中させた。手を振ってみて分かった――空気があまりにも薄すぎて、ほとんど存在しないに等しかった。
それこそが本当の核心だった。
「この泥の鎧の重さも要因だろうけど、もっと根本的な問題はたぶん、ここの空気が薄すぎることだ――飛行っていうのは、羽ばたきにせよピクシーのタトゥーの力にせよ、押しのける空気が十分になきゃ成り立たない。ここはほぼ真空状態だ。この鎧がなくても、たぶんどのみち飛べなかった」
「つまり……」
ワカナの顔が青ざめた。彼女も何度か試してみたが、同じように反応がなかった。
「この泥を脱いでも、問題は解決しないってこと?」
「たぶんそうだ」
俺は歯を食いしばりながら頷いた。より深い無力感が湧き上がってくる。この制約は決して泥の鎧の一時的な代償なんかじゃなかった。この空気の抜き取られた戦場が、最初から用意していた天然の障壁だったのだ。
ユウキも歯を食いしばりながら試してみたが、同じように何も起こらなかった。彼女はほぼ滞留したその空気を見下ろし、苦笑した。
「本当にここでは運任せもできないみたいだね」
ニャリクも何度か翅を羽ばたかせてみたが、空中でかすかにふらつく程度で、すぐに地面へと重く落ちた。
「俺ももう飛べないみたいだな。せいぜい少し跳ねるくらいしかできない」
フェアリーも同じように厄介な状況にあった。その薄い翅は泥と根でしっかりと縛られ、まともに広げることすらできなかった。
「これじゃ……何の役にも立てません」
イヤピースの中のコメントが一気に流れ込んできた。
『え、みんな飛べなくなったの!? これは大問題だ』
『ゴーレムの攻撃パターンでさえ読みにくかったのに、制空権なしでどうするんだ』
『これは残酷すぎる代償だ!』
『みんな気をつけて、これからは地上戦だけになる』
『これは本当にチームワークが試されそう』
その巨大なゴーレムは、まるで罠にかかった獲物を見つけた狩人のようだった。文様が刻まれた頭がゆっくりと俺たちのほうを向き、それまで安定して脈打っていた淡い青色の光が、より速く明滅し始めた。
「俺たちが飛べないって、あいつ気づいてる!」
ユウキがそのゴーレムの反応を警戒しながら見つめた。表情がさらに曇っていく。
案の定、ゴーレムは分節した全身を振り回した。その動きは以前よりもさらに自由奔放になっていた――もう上からの一撃を警戒する必要がなくなったからか、攻撃範囲が大幅に広がり、重い一撃が俺たちの立っている場所へと激しく薙ぎ払われた。
「散れ!」
俺は叫んだが、地上でもたつきながら転がってかわすことしかできなかった。もうあの軽やかで楽なかわし方には頼れない。
その薙ぎ払いは地面に深い溝を刻み、砂埃があちこちに舞い上がった。もし間に合って転がっていなければ、まともに巻き込まれていたところだ。
「本当に真正面からの殴り合いになったってことか」
ワカナが歯を食いしばりながら無理やり体を起こし、武器を強く握りしめた。
「みんな固まって、互いをカバーしろ!」
ユウキが鋭く叫び、一行の最前線に立って、剣術でゴーレムの注意を引きつけようとした。
サチはそのすぐそばに寄り添い、翠甲羅を高く掲げて、より脆い仲間たちを背後に庇った。風纏う爪の四本の機械の腕は相変わらず機敏に機能していて、この戦いにおいてまだ完全に稼働している数少ない装備の一つだった。
「この陣形、前よりずっと支えるのが大変」
サチが喘ぎながら言ったが、それでも歯を食いしばって耐え続けた。
アラユも再び気を引き締め、傷ついた鋏を引きずりながら、側面からゴーレムの攻撃を押さえ込もうとした。
「前はまだお前たちが上から気を引いてくれてたのに。今は全部近接戦だ。この戦い、厳しいな」
プルートゥンシャも重い体をゆっくりと動かし、自分の分厚い甲羅で一行の側面を守ろうと、即席の防御線を作った。
マファガイスは相変わらず静かに死角を探し続けていたが、仲間たちの空からの援護がない分、動き回るのがずっと難しくなっていて、何度もゴーレムの攻撃に捕まりかけた。
俺は戦場を自由に暴れ回るそのゴーレムを見つめ、深い無力感が湧き上がってきた。かつて生き延びるために頼っていた飛行という優位がない今、この戦いはこれまでのどんな戦いよりも厳しく危険なものになっていた。
イヤピースの中のコメントも緊張の色を帯びていった。
『これガチで厳しそうだ』
『空からの支援なしで、攻守両方の難易度が倍増した』
『みんなどうか耐えて』
『このゴーレム、長引くほど手強く感じる』
『何か新しい打開策見つかりますように』
「みんな気をつけろ、また来るぞ!」
ユウキが鋭く叫び、ゴーレムの重い一撃をかろうじて受け止めた。その衝撃で腕が痺れる。
俺は歯を食いしばり、知恵の書を強く握りしめながら、完全に制空権を失ったこの戦いを見つめた。もし早く新しいやり方を見つけられなければ、この純粋な消耗戦は最終的に、俺たちをこのゴーレム相手に完全に擦り減らしてしまう。
「このままじゃ続かない」
俺は自分に呟き、相変わらず完璧な状態を保つその巨体に視線を鋭く据えながら、頭を絞ってわずかな突破口の可能性を探った。




