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倒した敵は俺の力になる 〜魔物だらけのダンジョンを攻略しながら、ドロップ品を配信で売って一気に億万長者へ〜  作者: 上部乱
巽の塔ー巽為風

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第196話 毒に侵されて


一行は騒ぎの発生源へと急いだ。近づくにつれ、あの空気の薄く倦怠感のある質感がますます際立ってきて、一息吸うたびに見えない膜を通しているかのように、肺が満たされない感覚があった。


「ここだ」


俺は着地して周囲を見渡し、そこで固まった。


目の前の光景は想定していたものとはまるで違っていた。巨大な生き物か、激しい戦闘の跡でも覚悟していたが、目に映ったのは地面に倒れて動かないピクシーが何体か、そのそばに同じように硬直した蟑螂とアリの死骸が転がっているだけだった。まるで生命力が一瞬で抜き取られたかのようだった。


「これって……」


サチがしゃがみ込み、一体のピクシーの体を丁寧に確認した。


「吹き飛ばされて墜落死したんじゃないと思う。自力で飛べるはずだし、高く巻き上げられても着地くらいは制御できたはず」


「確かに」


ワカナもしゃがみ込み、その体をじっくりと観察した。


「それに横たわり方も、落下したようには見えない」


ユウキも膝をついて丁寧に検分し、ピクシーの手足と翅を確認した。


「骨折もないし、衝突や墜落の痕跡もない。それは除外できる」


「じゃあ実際どうやって死んだの?」


サチは眉をひそめながらその体を丁寧に調べていたが、不意に手を止めた。


「体が少し腫れてる。思ったよりずっとぷっくりしてる感じ」


「腫れてる?」


ワカナが身を乗り出して覗き込んだ。


「毒かもしれない」


ユウキがさらに詳しく検分しようとしゃがみ込み、表情を真剣にした。ピクシーの瞼を持ち上げ、腫れた箇所をいくつか丁寧に押してみる。その動きは手慣れていて、専門家らしい慎重さがあった。


「この全身の腫れ方、血管の透過性を損なうタイプの毒素っぽい。体液が漏れ出して組織の間に溜まってる感じ」


「なんかすごく専門的だね」


ワカナが感心したように彼女を見た。


「以前似たような中毒の症例を見たことがある。特定の毒蛇や毒虫がまさにこういう効果を持つんだ」


ユウキは確信を込めて頷き、ピクシーの肌を隅々まで丁寧に確認した。


「何かに噛まれたか刺されたかしてるはずだ」


しばらく探していたが、彼女は眉をひそめた。


「でも噛み跡も刺し傷も、どこにも一つも見つからない。小さな穴すらない」


「じゃあ噛まれて毒を受けたわけじゃないってこと?」


サチが困惑しながら尋ねた。


「傷がないなら、たぶん毒素は接触や注入で体内に入ったわけじゃない」


ユウキは考え込みながら言い、それから何かに思い当たったように周囲の空気を見上げた。


「もしかして……吸い込んだのかもしれない」


「毒ガス?」


背筋に寒気が走り、一気に思い当たった。ここまでずっと感じていた、あの空気の薄く倦怠感のある質感のことを。


「この辺りの空気、最初からずっとおかしかった。もしかして、俺たちには感知できない何かのガスがこの辺りにあるんじゃないか?」


「それなら説明がつく」


ユウキが確信を込めて頷いた。


「接触の必要もない。十分な量を吸い込むだけで、この全身の腫れが起きる」


そのとき、俺の視線が不意に、少し離れた場所にある印象的な形に引き寄せられた。


それは巨大な石碑だった。この荒れ果てた土地に高く聳え立ち、優に三、四メートルはある高さで、その表面全体が深い灰色をしていて、複雑な模様や記号が隙間なく刻まれている。整然とした列に並び、古めかしく厳かな雰囲気を漂わせていた。


「あれ何?」


ワカナが目を見開いた。声に驚きが滲んでいる。


「何かの石版のように見えます」


セバスティアンが警戒しながらその巨大な石を観察した。声に用心深さが滲んでいる。


「あの模様、何かの文字か紋章のように見えますな」


「こんなもの、なんでこの荒野に突然現れるんだ?」


アラユが不快そうに眉をひそめた。紫がかった赤茶色の大きな鋏を胸の前できつく組んでいる。


「あまりにも場違いすぎる」


「ここまでの道のりで、こんなものには一度も遭遇していません」


プルートゥンシャも慎重に口を開いた。声に重々しさが滲んでいる。


「間違いなく何かがおかしゅうございます」


俺はその石碑を見つめた。かすかな既視感が浮かび上がってくる。その形は、歴史の教科書で見た古代の法典――ハンムラビ法典のようなものを思い起こさせた。巨大な石板一枚に文字がびっしりと刻まれ、何かの法や布告を記録するために使われるものだ。


「これって何かの装置とか、仕掛けとかなんじゃないか?」


俺は思いついたことを口にしてみた。


「装置?」


サチが困惑しながら聞き返し、石碑とそばの死んだピクシーたちを交互に見た。


「つまり、これがあの死因と関係あるかもしれないってこと?」


「分からない」


俺は首を振り、その石碑に近づいて、刻まれた密な記号を丁寧に観察した。


「でもこんなところにこんなものが現れること自体、無視できないほど怪しい」


「マスミ様、お気をつけを」


セバスティアンが警戒しながら注意を促した。


「この老いぼれとしては、しばらく距離を保って、軽率な行動は控えることをお勧めいたします」


俺は足を止め、石碑から数歩の距離を保ちながら、その外見を丁寧に観察した。石板全体はぴくりとも動かず、まったく静止していて、表面の記号は光を受けてかすかに輝いていたが、生命の気配はまったく感じられず、敵が持つはずの圧迫感もなかった。


「これ、敵っぽい感じがしない」


ユウキも近づき、眉をひそめながら観察した。


「敵ならせめて何らかの敵意を発するはずだ。でもこの石碑は、むしろ……純粋な装飾か、記念碑みたいな感じがする」


「じゃあこれ、あの死んだピクシーたちと関係あるの、ないの?」


ワカナが食い下がった。


誰もその問いに答えられなかった。


ニャリクが勇気を出して石碑に近づき、その周りを一周旋回して、あらゆる角度から観察した。


「刻まれてるこの記号、俺の知ってるどんな文字とも違う感じだな」


「単なる単純な装飾模様かもしれない」


マファガイスが珍しく口を開いた。相変わらず簡潔だったが、声には慎重さが滲んでいる。


「その性質について、結論を急ぐことはできない」


俺は手を伸ばし、その石碑の冷たい表面に軽く触れてみた。指先に、硬く生気のない質感が伝わってくる。ごく普通の石と何ら変わりない。


「反応なしか」


俺は息を吐いたが、困惑はさらに深まった。


「もし本当に何かの装置なら、活動の兆候くらいはあってもいいはずなのに」


「もしかしたら、単なる遺跡で、この攻撃とは何の関係もないのかも」


サチが推測したが、すぐに首を振った。


「でもそれなら、実際に何がこのピクシーたちを死なせたの?」


イヤピースの中の視聴者たちも、この謎めいた雰囲気の中で推測を口々に語り合っていた。


『これ絶対怪しい、たまたまここにあるわけない』

『でも本当に何もしてなさそうにも見える』

『毒ガス説、結構説得力ある気がする』

『この石碑自体がガスの発生源だったりして?』


俺は周囲を見渡した。言葉にしがたい不安が胸に湧き上がってくる。この静かな石碑以外、この辺りには他に怪しいものは何もなかった。戦いの痕跡もなく、何かが潜んでいる気配もなく、ただこの荒れ果てた土地に、見えない毒に包まれて、奇妙に腫れ上がった遺体がいくつか静かに横たわっているだけだった。


「みんな、油断するな」


俺は静かに警告した。視線は石碑から離さない。


「これが何であれ、俺たちがまだ気づいていない何かが、間違いなくここにある」


「じゃあどうする?」


ワカナが不安そうに尋ねた。


俺は反応を示さない、それでいてどこか背筋がざわつくような不気味さを漂わせるその石碑を見つめた。複雑な予感が湧き上がってくる。まるでこの目の前の静けさが、嵐の前のほんの束の間の凪であるかのようだった。


「まずは安全な距離まで下がって、慎重に様子を見よう」


俺は判断を下した。声に用心深さが滲んでいる。


「これが敵かどうかに関わらず、迂闊に近づくのはあまりにも危険だ」


みんなはゆっくりと後退していったが、誰一人としてその石碑から一瞬たりとも目を離さなかった。まるで誰かが目を逸らした瞬間、その静かな石板が本性を現すとでも言うかのように。


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