第194話 目なら腐るほどある
「見つからないなら、目の数を増やせばいい」
俺は歯を食いしばりながら決断した。
「何をするつもり?」
ユウキが興味深そうに尋ねた。
「数で補う」
俺は深く息を吸い込み、待機していた何匹かのピクシーを呼び出した。
「益の回廊と観の門に行って、風霊鳥とピクシーの部隊を連れてきてくれ。はっきりした標的が見つからなくても、これだけ数を出せば何か手がかりが見つかるはずだ」
ピクシーたちは声を揃えて答え、その場から姿を消した。数瞬後、閃光とともに大群のピクシーが次々と飛び出し、空を密に埋め尽くしていく。翡翠色の翅が混沌とした気流の中で、流れるような光の霞を織りなしていた。すぐ後には数十羽の風霊鳥も飛び出し、その澄んだ歌声を重ねながらあらゆる方向へと散開し、空間の隅々まで掃討していく。
「まだ足りない」
俺は別のピクシーに命じた。
「炊事場に行って、飛翔昆虫の群れも連れてきてくれ」
そのピクシーも姿を消し、また別の閃光とともに、羽ばたく嚙骨蟑螂の群れが噴き出し、繁殖期真っ只中のシロアリやアリの群れも合わさって、周囲の空間を密に埋め尽くすほどの数となり、辺り一帯をほぼ覆い尽くす捜索網を形成した。
「こ、これは多すぎる!」
ワカナが空一面を埋め尽くす虫の群れを見つめ、思わず一歩後ずさった。
「うお、こりゃすごい光景だな」
ニャリクが近くで感心したように口を鳴らした。
「あと一つ」
俺は最後のピクシーに目をやった。
「漸の台に行って、樹妖も助っ人に連れてきてくれ」
そのピクシーが出発すると、間もなく低く安定した地響きが続き、根と土塊で編まれた樹妖が何体もゆっくりと現れ、太い枝のような手足を地面にしっかりと突き刺した。
「こいつら、前は小さな苗木だったのに。しばらく見ないうちに、こんな木サイズにまで育ってたなんて!」
ワカナが嬉しそうに言った。
「この樹妖たちって何ができるんだ?」
アラユが新たに到着した部隊を興味深そうに観察した。
「大地を操れる」
俺はそう説明し、樹妖たちに指示を出した。
「この四人を固定してくれ、簡単に巻き上げられないように」
樹妖たちは静かに作業を始め、地中から土塊を操って、プルートゥンシャ、アラユ、マファガイス、セバスティアンの足元に一つずつ重い岩を積み重ねていき、即席の重しを作って、彼らをしっかりとその場に固定した。
「これで風がまた噴いても、少しは反応する時間が稼げるはずだ」
俺はこの即席の安全策を見て、満足げに頷いた。
「これはずいぶん安定した感じがいたしますな」
プルートゥンシャが土に包まれた下肢を動かしながら、安堵の色を声に滲ませた。
すべての準備が整うと、俺は空一面のピクシー、風霊鳥、蟑螂、シロアリたちに命令を出した。
「全面捜索、異常があればすぐ報告しろ!」
その号令とともに、あの密集した群れが一斉に散開し、あらゆる方向を丁寧に掃討していった。ピクシーたちは空の隅々を軽やかに縫うように動き、風霊鳥は翼を広げて旋回しながら、風の音に混じる異音がないか耳を澄ませた。蟑螂たちは地面を這い、触角を震わせて地形のかすかな変化を感じ取り、シロアリとアリは地中の裂け目に潜り込み、その下に隠れているものがないか丁寧に探っていった。
イヤピースの中のチャットが一気に流れ込んできた。
『規模やばすぎ、虫の軍隊まで動員してる』
『マスミ、空全体を掃討する気か』
『樹妖で海民の戦士たちを固定するの、天才的発想』
『敵はまだ見つからないけど、少なくともだいぶ安全になった感じ』
『これだけ徹底的に捜索すれば、そのうち何か見つかるはず』
俺たちは辛抱強く待ち、その密な捜索部隊が広大な荒野を少しずつ掃討していく様子を見守った。時間が過ぎていき、時折ピクシーや風霊鳥が戻ってきて報告するものの、これといった手応えはなかった。
「主様、こちらは異常ありません」
一匹のピクシーが戻ってきて報告した。
「こちらもです」
別のピクシーが風霊鳥とともにすぐ後に戻ってきた。声には落胆の色が滲んでいる。
蟑螂とシロアリからも次々と報告が届いたが、下の地面も同じように静まり返っていて、怪しい巣も、トンネルも、生き物の痕跡も何一つ見つからなかった。
「どうしてこんな……」
ワカナが独り言のように呟いた。顔全体に困惑が浮かんでいる。
「これだけの数で探してるのに、何かしら見つかってもいいはずなのに」
「もしかして、そもそもこの辺りにいないとか?」
サチが推測した。
「それはないだろうな」
ユウキが首を振った。声に確信が滲んでいる。
「この気流のパターン、あまりにも安定しすぎてる。何か固定された場所に紐づいてるはずだ。むしろ、俺たちの捜索の仕方そのものが、根本的に方向を間違えてる気がする」
俺は空一面でひたすら捜索を続けながらも、毎回何も得られずに終わる部隊たちを見つめ、頭の中により不穏な考えが浮かび上がってきた。
もしこのフロアのボスを、そもそも永遠に倒せないとしたら?
答えは実のところ単純だった。いつでも撤退して、みんなを無事に観の門まで連れ帰ることができる。この上昇気流は結局のところ誰かを殺すほどのものではない。慎重に対処すれば、全員無傷で立ち去ることもできる。
だが撤退した後は?
俺たちは二度とこれより先へは進めなくなり、ベルゼブブの真の姿の覚醒を止めることもできなくなる。このフロアの試練は、俺たちと最終目標の間に、どうしても避けられない形で立ちはだかっている。
そして次に浮かんだ考えが、胸の中の寒気をさらに深めた。
もしかしたら、俺たちはこのフロアのボスを本当に倒せないわけではないのかもしれない。攻撃能力を一切見せていないところを見ると、実際の強さもそこまで大したものではないのかもしれない。だが、そもそも見つけられないのだとしたら、それは本当に倒せないのと何が違うというのか?
「不可能」と「見つからない」は、まったく同じ結末へと辿り着く。俺たちはここに閉じ込められたまま前に進めなくなり、ベルゼブブの脅威は迫り続け、俺たちにはそれに対して何もできない。
その考えに背筋が冷えた。これまで戦ってきたどんな相手も、どれだけ強くても、少なくとも「見える敵」だった。十分な時間をかけて観察し、考え抜けば、必ず弱点を見つける方法があった。だが今回の敵は、俺たちの理解の枠組みそのものの外側に存在しているように思えた。俺たちを倒す必要すらない。ただ完全に姿を隠し続けるだけで、俺たちを打ち倒すのとまったく同じ結果が得られてしまう。
「マスミ、どうしたの?」
サチが俺の表情に気づき、心配そうに尋ねた。
俺は首を振り、その重い気づきをひとまず胸の奥に押し戻した。これ以上みんなの士気を下げたくはなかった。
「なんでもない、次にどうするか考えてただけだ」
そのとき、あの馴染み深い震動がまた地面から立ち上ってきた。
「また風が来る!」
フェアリーが警告するように甲高く叫んだ。
今回は樹妖たちが事前に海民の四人を固定していたため、気流が噴き出した瞬間、彼らはあの強い引力を感じつつも、以前のように簡単には空へと巻き上げられなかった。ただ体が揺れ動くだけで、かろうじてその場を保っていた。
「効いてる!」
アラユが嬉しそうに叫び、周囲の大地を鋏でしっかりと掴んで踏みとどまった。
飛べる残りの俺たちも、その隙を使って空気の様子を丁寧に観察し、この噴出の過程から何か手がかりを掴もうとした。気流の方向、強さの変化、さらにはかすかな音が混じっていないかまで。
それでもなお、空一面の部隊の助けを借りても、この噴出を最初から最後まで自分の目で見届けても、敵の実際の姿を示す痕跡は一つも見つけられなかった。
風はまた不意に途切れた。海民の四人は揺らいだものの、今回は大地の固定のおかげで実際に落下することはなく、なんとか持ちこたえた。
「今回は少なくとも吹き飛ばされずに済んだ」
プルートゥンシャが安堵の息をついた。
「それでも、この敵が一体何者なのか、まだ何一つ分かってない」
俺は相変わらず静かに見えるその荒野を見つめた。複雑な苛立ちが胸に湧き上がってくる。
俺たちはこの部隊の助けを借りて防御をずっと強固にすることができ、海民の戦士たちが気流に巻き上げられて命を危険に晒すことはなくなった。だが核心の問題――敵がどこに潜んでいるのか、そもそもどんな存在なのか――は依然としてまったくの謎のままだった。
「少なくとも今はだいぶ安全になったよ」
サチが前向きに捉えようとした。
「これでもっと安心して前に進める」
「それは確かだな」
俺は頷き、依然として熱心に捜索を続ける空一面の部隊を見つめた。胸の中に諦めの色と、それでもいくらかの安堵が同時に湧いてくる。
「この守りがあるだけで、少なくとも一つの心配事は片付いたことになる」
イヤピースの中のコメントも安堵の息をついた。
『敵はまだ見つからないけど、少なくともみんなだいぶ安全になった』
『この防御態勢、普通に有能』
『この敵、正体が気になりすぎる』
『安全第一、答えは後回しでいいよね』
俺はその部隊に捜索態勢を保たせたまま、俺たちについてくるようにゆっくりと前進を続けさせた。この敵の正体という謎を解き明かすまでには、まだかなりの時間がかかりそうだと分かっていた。




