第166話 誰にも見えない光速の攻撃
俺たちは物陰に身を潜めたまま、空の正体不明の物体に対処する方法を必死に考えていた。
「まずはゴキブリを一匹、偵察に出す」俺の声には冷徹な計算が滲んでいた。
ユウキは何も言わなかった。あいつが一体どうやって俺たちを攻撃しているのか突き止めるためには、死を覚悟した偵察役が必要だと分かっていたからだ。そうしなければ、誰も何も分からないまま俺たち全員がここで死ぬことになる。だが、もし俺がゴキブリを送るのを止めれば、その役目は結局、風靈鳥かピクシーに回ってくることになる。
ふむ……どんなに優しく公平な人間でも、生き物の見た目によって扱いに差をつけてしまうものだ。
俺は自分の肉を割いて鳩に与えるような悟りきった聖人じゃない。だから現実的には、飛べる何かを死なせるつもりだった。ゴキブリを召喚し、それから何気なく、もう一つの遮蔽物の陰にいるワカナのほうを見た。
彼女は俺に向かって大きく両腕でバツ印を作った。
その目にはゴキブリに対する嫌悪がありありと浮かんでいたが、それでも彼女は命を無駄に使うようなタイプでもなかった。
「じゃあお前の作戦は何なんだよ?」俺は呆れて両手を上げたが、その動きで火傷した手のひらが引っ張られ、新たな痛みが走った。
「あたしには作戦があるの!」彼女は大声で言い返してきた。
彼女は小麦粉を放り出すと、再び真理の鏡を操作した。鏡の中から次々と機械部品を取り出し、あっという間に小さな説明書に目を通しながら、器用に部品を組み立て始めた。
ちょうどその時、また別の正体不明の攻撃がやってきて、今度はピザの中心を貫いた。生地は瞬時に黒く焦げて丸まり、そばに立っていた消防士の半纏の裾も焼け焦げ、その下の焦げ茶色の皮膚が露わになった。
「急がないと!」ユウキが緊張した様子でワカナを見つめながら言った。剣を握る手がプレッシャーでかすかに震えていた。
ワカナはできる限り急いで作業を進め、額から流れる汗が鏡の表面に絶え間なく滴り落ちていた。
三発目の攻撃が来た。今度は誰もいない場所に命中し、遮蔽物になりそうだった道端の木を跡形もなく焼き貫き、その奥の地面にこぶし大の穴を焦がして開けた。深さは俺の前腕ほどもあり、穴の縁の土はまだジュウジュウと音を立てて煙を上げていた。
あれが何であれ、俺たちの正確な位置は把握していないようだった。威力は絶大だが、命中精度は悪い。
「これはある種の点集中型熱攻撃だと確認できる。攻撃の間隔もかなり長め。おそらくチャージか放熱に時間が必要なんでしょうね。レーザーとか……」ユウキは冷静にその穴を観察していた。
「レーザー?光線なんて一切見えなかったぞ!」俺は疑わしげに、自分の焦げた手のひらをもう一度見ながら言った。
「レーザーは光だけど、途中に散乱させるものが何もなければ、まったく見えないのよ」彼女はワカナが取り出した小麦粉の袋に目をやり、何か思いついたようだった。
「ワカナがやってること、実はかなり危険な賭けね……」彼女は本物の慎重さを滲ませながらそう言ったが、その声には感嘆の色も混じっていた。彼女は俺のほうを振り返った。
「そのゴキブリは生かしておいて。おそらくサチが、あれの攻撃の正体をもうワカナに教えてるはずだから」
「今言ってたレーザーってやつのことか?」俺は半信半疑ながら、すでに召喚していたゴキブリを解除した。
「たぶんね」
「サチが知ってるってことは……」
「予言で見たんでしょうね」ユウキは確信を込めてそう言い、リモコンの操作に集中しているサチのほうへ目をやった。
その頃には、ワカナが鏡から取り出した部品の組み立てを終えているのが見えた。
二機のラジコンヘリコプター。機体は雑に塗装されていて、プロペラが陽光を受けて金属の光沢を放っていた。
それぞれのヘリコプターには小麦粉の袋が積まれていた。袋はすでに半分ほど破られていて、開口部から白い粉が漂い出し、ローターの振動でかすかに揺れていた。
サチとワカナはそれぞれリモコンを握り、指を操縦桿にかけて緊張していた。
ヘリコプターは真っすぐに上昇し、廃墟の静けさをローターの甲高い音が鋭く切り裂いた。その途中で、正体不明の物体が再びティファニーブルーの光を放った。
一機のヘリコプターのローターが直撃を受け、機体は激しく制御を失ってあちこちに回転しながら飛んでいった。地上のワカナは本気で悔しそうな表情でリモコンを地面に叩きつけた。あの瞬間彼女がどんな罵り言葉を吐いていたのか、聞こえる距離じゃなかったのが少し残念だ――きっと面白かったに違いない。
ヘリコプターのローターの軸は、燃えるどころか一瞬で蒸発してしまい、金属の蒸気が白煙と混ざり合いながら空中に散っていった。
小麦粉が空を埋め尽くした。白い粉が細かい雪のようにゆっくりと舞い落ち、周囲の崩れた壁や瓦礫を覆っていった。
サチはもう一つのリモコンを手に前へ進み出た。その顔には決意が浮かび、遮蔽物は一切なく、長い髪が風になびいていた。
彼女はヘリコプターを、正体不明の物体の近くを斜めに横切るように飛ばした。ワカナのヘリコプターがすでに大量の小麦粉を撒き散らしていたところに、サチのヘリコプターも斜めに飛ばしたことで、空全体が真っ白になり、霧のような靄に包まれた。
その物体は今度こそ標的をようやく捕捉したようで、明確な意図をもって焦点を絞り込んだ。再びかすかな青い光が走った。
攻撃が来る!
理屈では、それが一撃でサチを殺せるはずがないと分かっていた――彼女は百三歳まで生きる運命なんだから。だが、彼女が傷つく、あるいは危険にさらされる姿を見ることは、俺にはとても耐えられなかった。
俺は不安に押しつぶされそうになりながら、物陰から飛び出した。
俺が物陰を出た瞬間、空が爆発した。
小麦粉が空気中に満ち、無数の可燃性の微粒子があらゆる場所に浮遊していた。レーザーはそのすべてを一気に発火させ、空中に漂う粉塵がビームのエネルギーを散乱させながら同時に吸収し、光は発射源を離れたほとんど直後に拡散し遮られ、俺たちに届く前にその威力を失っていった。
上にいたあいつにとってはさらに悪いことに、レーザーが小麦粉の雲の縁に最初に当たった地点で爆発が発火し、ほとんどあの物体の真横で炸裂した。長い間じっと動かなかったその黒い点が、オレンジ色の炎に丸ごと呑み込まれ、熱の衝撃波が俺たちのほうへ押し寄せて、周囲の瓦礫や崩れた壁の破片を揺らして落とした。
その物体は炎に包まれたままそのまま真っ逆さまに落下していった。太い黒煙の柱を引きながら、遠くの荒野へと墜落していった。
「やった!」ワカナが興奮して飛び上がった。先ほどまでの悔しそうな様子はすっかり忘れていた。
サチの両脚が力を失い、その場にへたり込んだ。手からリモコンが滑り落ち、九死に一生を得た余波で声が震えていた。「こ、怖かった……」
ユウキが慌てて駆け寄って彼女を支え、感嘆のこもった声で言った。「よくやったわ。見事な一手だった」
俺はサチのもとへ駆け寄り、しゃがみ込んで彼女の様子を確かめた。無事だと分かってようやく安堵の息をついたが、その拍子に火傷した手にまた鋭い痛みが走り、思わず歯の間から息が漏れた。
フェアリーが俺の肩に降り立ち、遠ざかっていく黒煙をゆっくりと見つめながら言った。「主様、もし本当にサチのところまで間に合ってたら、多分あの爆発にも巻き込まれてたよ」
俺は苦笑いしながら首を振り、ワカナの手の中の、今は空になった鏡へと目をやった。「ところで、あの小麦粉とラジコンヘリコプター、一体どこから調達したんだ?」
「真理の鏡ってほとんど何でも買えるんだよ、知らなかったの?」ワカナは腰に手を当て、すっかり満足げな様子で言った。自分がやってのけたことのどこがおかしいのか、まったく思っていないようだった。
かつてトウモロコシだった消防士が歩み寄り、地面にまだ散らばる白い粉を見つめながら、感心した様子で言った。「なるほど、小麦粉にはこういう使い道もあるんですね。今日は勉強になりました」
俺は遠くで消えかけている黒煙を見つめながら、まだ疼く左手を握りしめたが、気持ちはまったく落ち着かなかった。あれが敵の見張りだったのか、それともまったく別の目的があったのか、その答えはおそらく、残骸を見つけ出してみるまで分からないだろう。




