第165話 正体不明の空からの攻撃
黒い点はどんどん大きくなっていった。まるで写真編集ソフトの拡大ツールで、誰かが少しずつズームしているのを見ているかのようだった。
動かないままなのに、どんどん大きく――いや、近づいてきていた。その静止のしかたは異様で、一切の震えすら感じられず、俺は今や、一体何がこいつを空中に留めているのかという純粋な疑問すら抱くほどだった。
俺は目を細め、より詳しい姿を捉えようとした。
静止――いや、降下している――その正体不明の飛行物体が、灰色の空を背景にくっきりと際立つ、かすかなティファニーブルーの光を放った。まるで宙に浮かぶ宝石のようだった。
胸に不吉な予感が走った。
「気をつけろ、攻撃が来るぞ!」俺はすぐさま叫んだ。
攻撃が来ることは分かっていたが、それがどんな形で来るのかまったく見当がつかず、俺はただそのブルーの光を凝視することしかできなかった。全身の筋肉が張り詰めていた。
次の瞬間、左手のひらの端に鋭い痛みが走った。俺は慌てて手を上げて確認した。
手のひらの端の肉が丸ごとえぐり取られていた。血は出ていなかった。傷口は完全に焼き固められていて、焦げた縁からはまだかすかに煙が立ち上っていた。
あまりに一瞬の負傷で、恐怖すら追いつく暇がなかった。
「なん――ぐああああ!熱い!」
自分が本当に傷ついたと認識した瞬間、ようやく痛みが脳に届いた。
頭が混乱で真っ白になった。傷の深刻さが一瞬で全身の力を奪い、俺はどうにもならず膝から崩れ落ち、背中に一気に冷や汗が噴き出した。
「一体何の攻撃だ……当たった瞬間すら見えなかった!」俺は歯を食いしばりながら皆に警告を叫んだ。おそらく顔は苦痛で歪んでいたはずだ。
「今すぐ物陰へ!」ユウキが俺のそばに駆け寄って肩を掴み、建物のほうへ引きずっていった。その動きには一切の迷いがなかった。
サチは急いでワカナのもとへ向かい、何か聞き取れないことを言いながら彼女を引っ張り、二人はすぐに崩れた壁の陰へと姿を消した。
フェアリーはエンヴェルのそばへ飛んでいき、消防士姿の食料部隊とあとの三人に指示を出して、彼を倒れたトタン板の陰へと引きずり込ませた。その動きは慌ただしくも驚くほど速かった。
コメント欄は混乱に包まれた。
『マスミの手!!!今当たったの?』
『ワカナ、カメラすごい揺れてる、何が起きてるの』
『うそでしょ、この戦闘一気にエスカレートしすぎ』
『みんな物陰に隠れて、撮影より優先して』
『今の音すごく痛そうだった、マスミ大丈夫かな』
ワカナはスマホを強く握りしめたまま、崩れた壁と土埃の間で映像を揺らしながら、抑えた震えの滲む声で言った。「みんな、ちょっとやばいかもしれない、ちょっと集中させて!」
彼女はスマホをピクシーに預ける勇気もなかった。それをしたら、空からの攻撃の生きた標的にしてしまうかもしれないと恐れていた。
空の正体不明の物体は再び静止したようで、ブルーの光もそれとともに消えていった。先ほどの一撃は、明らかに膨大なエネルギーと準備を要する、避けようのない速さの攻撃だったのだろう。
どうやって俺に命中したのかまったく分からなかったが、幸い攻撃の間隔は短くなかったので、少なくとも一息つく余裕はあった。
手の傷は重度の火傷のように見えた。手のひらの端の失われた部分は完全に炭化していて、焦げた組織が次々と剥がれ落ち、その下の生々しい暗赤色の肉が露わになっていた。
指を自由に曲げることすらできなかった。手のひらの筋肉をわずかに動かすだけでも、炭化した傷口の縁が引き裂かれるように痛んだ。
まず薄黄色の体液がにじみ出て、それから血が、炭化した肉の亀裂から湧き出るように溢れ、手首をゆっくりと伝い落ち、土埃にまみれた地面に滴り落ちていった。
フォッグシェル・サラマンダーの組織、妖精の秘釀蜜、あのエインヘリャルに変えた軍医……頭の中で、この傷を治すためのあらゆる手段が駆け巡った。
パニックが押し寄せてこようとした時、自分に残された選択肢を一つひとつ思い出すことで、少し落ち着きを取り戻せた。まだ道が残っていること、絶望に完全に追い詰められたわけではないことを知ると、恐怖が少し和らぎ、目の前のことにきちんと対処できるようになった。
俺はようやく落ち着きを取り戻した。今なら敵をきちんと観察できるし、この先どうすべきかもきちんと考えられる。
何であれ、準備にかかる時間は長そうだが、実際の攻撃自体は一秒にも満たない時間で終わっているようだった。
俺たちはほぼ十分近く身を潜めていたが、そこで二度目の攻撃が来た。
音もなく、光もなく、何かが飛んできたり撃たれたりした様子もまったく見えなかった。俺はただ、エンヴェルのそばに立っていた焼き芋の腹に、きれいな穴が貫通しているのに気づいただけだった。その穴の縁は、俺の傷とまったく同じように炭化していた。同時に、彼の目の前にあった遮蔽物にも対応する穴が開いていて、その縁からはまだ煙が立ち上り、焦げた金属の鋭い臭いを放っていた。トタン板は瞬時に強烈な熱で溶かされたかのように歪んで丸まっていた。
くそ……一体どんな攻撃がここまでの威力を持ってるんだ?
俺は不安な気持ちで周囲のみんなを確認した。
これまでのところ被弾したのは焼き芋だけだった。彼は自分の腹に開いた穴を悲しげに見下ろした。周りのアルミホイルは黒く焦げて丸まっていたが、傷そのものは致命的ではなさそうで、かつてふっくらとしていた体に小さな凹みができただけだった。
「ご主人様、私は大丈夫です、この傷は……まだ我慢できます。残りの部分はまだ食べられますから」焼き芋は無理に笑みを作ろうとしたが、その声には明らかな落胆が滲んでいた。
ユウキは警戒しながら周囲を見渡し、声をほとんど囁くほどに落として言った。「あの貫通の仕方、普通の武器とは思えない。むしろ……」彼女は言葉を切り、眉をひそめたまま、続きを言わなかった。
「何かのエネルギー兵器か?」俺は歯を食いしばりながら彼女の言葉を引き継いだ。その拍子に傷にまた鋭い痛みが走り、思わず低い呻き声が漏れた。
「何であれ、一撃でここまでの被害を出す攻撃なら、ここでいつまでも隠れ続けるのは解決策にならないわ」ユウキは勇気の剣を握る手に力を込め、鋭い目を、依然として空にじっと止まっている黒い点に向け続けた。
コメント欄も緊張感に包まれていた。
『焼き芋まで撃たれた、この威力おかしいでしょ』
『こんな攻撃できる武器って何、人間が作れるものじゃない』
『待って、これってラスボス的な何かに遭遇してるの?』
『マスミの手大丈夫かな、すごく心配』
『みんな落ち着いて、あれだけ仲間がついてるんだから大丈夫だよ』
サチはワカナの手をしっかりと握りしめていて、ワカナのほうは真理の鏡の表面から一瞬たりとも目を離さなかった。
俺は、俺たち全員を冷たく見定めているかのように空に静かに浮かぶあの黒い点を見上げながら、負傷した左手を握りしめた。焼けつくような痛みを堪えながら、次にどうすべきか頭の中で必死に考えを巡らせた。
俺はもう一度サチとワカナのほうを見た。ワカナは頭を下げて真理の鏡をスクロールしていて、まるでオンラインショップを見て回り、店ごとに真剣に値段を比較しているかのような表情を浮かべていた。何度か指を滑らせた後、彼女が取り出したのは……薄力粉の袋?
「ワカナ?何やってるんだ?」俺は驚きと困惑が入り混じった目で彼女を見た。この生死のかかった瞬間に、どうしてまだ食材を漁る余裕があるのか、まったく理解できなかった。




