第159話 焼きトウモロコシと焼き芋
俺たち五人は、あの四人の勇者たちが誰かを救い出してくるのを、燃え盛る現場の外で待っていた。
その間も、ドローン攻撃による爆発が街の至る所で近く遠く響き渡り、轟音が次々と重なりながら、足元の地面をかすかに震わせていた。空は焦げたオレンジ色と灰色が入り混じった奇妙な色に染まっていた。
ワカナはカメラを炎に向けたまま、低い声で言った。「みんな、今、何人かの仲間が出てくるのを待ってるところ。もう少しだけ一緒に待ってて」
コメント欄はまばらに流れていた。
『この待ち時間、緊張感すごい、ワカナも安全にね』
『今の爆発めっちゃ近くなかった?みんな本当に大丈夫?』
『あの中にいる人たち、誰であれ無事だといいけど』
『上の人、本気で敵国の人間の無事を祈ってるの、落ち着いて』
『誰であろうと命は命でしょ、そこで揉める意味ある?』
「あの人たち、本当に大丈夫かな?」サチは駆け回る救助隊員たちを見つめながら、不安をにじませた声で言い、服の裾を強く握りしめていた。
ユウキは拳を握りしめ、関節が白くなっていた。「これはこの国が自分で招いた惨状よ。戦争を始めて、世界中をこの穴に引きずり込んだのはあいつらなんだから」
「でも……この中には子供やお年寄りも巻き込まれてるはずで……」ワカナは遠くを逃げ惑う人々を見つめながら、ためらいの滲む声で静かに言った。
「それでも、私たちが手を出すわけにはいかない!」フェアリーの口調は珍しく強く、羽根もぴんと張り詰めていた。
「それって、あまりに酷じゃない……」ワカナは目を伏せ、小さく呟いた。
ユウキは目をぎゅっと閉じ、深く息を吸い込んだ。「もし私たちの力を侵略した側の国のために使ったら、あいつらはその分浮いた人員と資源を何に使うと思う?侵略をさらに進めるだけよ」
「うん……言いたいことは分かる。この街を救うために手を出すつもりはない――」
俺はユウキを見た。彼女の理屈は理解できた。それでも――
「――だけど、目の前で苦しんでる人を見たら、それでも俺は動く」
そう言った瞬間、目の前で石油タンクが一つ爆発し、蓋が空高く吹き飛んだ。技術者らしき人物も、まるでポップコーンのように蓋と一緒に空へ舞い上がり、手足を激しくばたつかせていた。
「こんなことを目の前で見て何もしないでいたら、俺は自分の人間性を失っちまう気がする」俺はすぐさまピクシーのタトゥーを起動させ、空中まで飛んで彼を受け止めた。風を切る音とともに、服が激しくはためいた。
着地すると、俺は彼を地面に降ろした。彼は呆然とその場に座り込み、九死に一生を得た衝撃で目はまだぼんやりとしていた。
「消えろ。お前の指導者に、その強欲な侵略をさっさとやめろって伝えとけ」知恵の書の力のおかげで、俺は今やロシア語で流暢に罵ることができるようになっていた。言葉が口をついて出た瞬間、俺自身、鋭くも心地よい解放感を覚えた。
彼はそれを聞いた瞬間、はじかれたように立ち上がって走り去っていった。脱げた靴を拾う余裕すらなかった。
コメント欄が一気に沸いた。
『マスミ、今のロシア語!?いつの間に習得したの』
『あのキャッチめちゃくちゃスムーズだった、空中でひょいって』
『今の悪口、意味なんだったんだろ、誰かロシア語分かる人いる?』
『上の人、訳さないほうがいいと思う、口調だけでヤバさが伝わってきた』
『マスミって根はお人好しだよね、結局手を出しちゃうんだから』
サチとワカナは感謝のこもった目で俺を見つめ、ユウキも、満点以上の答案を見る教師のような、認めるような眼差しを向けてきた。フェアリーは頬を膨らませ、俺のお人好しぶりに少し苛立っているようだったが、それ以上は何も言わず、諦めたようなため息をついただけだった。
その後もさらに石油タンクが次々と爆発を起こし、遠くに炎の花が咲いていったが、どれも俺の手の届く範囲を超えていた。
胸の中には依然として落ち着かないものが残っていたが、俺はそれ以上誰も救いには行かず、ただ唇を強く噛みしめながら、空一面に広がっていく火の海を見つめていた。
俺たちは待った……今はもう、あの四人の勇者が出てくるのを待つしかなかった。
しばらくして、焼き芋の香りが漂ってきた。甘くカラメルのような香りが、タンクの亀裂からゆっくりと立ち上ってきた。化学物質の焦げる鋭い臭いの中では、その香りはどこか場違いなようでいて、不思議と深く心を落ち着かせるものだった。
「この匂い……」サチが空気を嗅ぎ、目を輝かせた。
「出てきた!」ワカナがすぐにスマホを掲げ、徐々にはっきりと形を結んでいく影にカメラを向けた。
コメント欄も興奮に満ちた。
『あなたたち信じられない、本当に食料部隊で救助を成功させるなんて』
『上の人落ち着いて、本当に誰か救えたのかが問題でしょ』
『出てくるところ、早く見たい』
俺たちは、トウモロコシと焼き芋が、見たことのない誰かを運び出してくるのを見つめた。
二人ともすでに焼きトウモロコシと焼き芋の姿へと変わっていて、その甘い香りが、燃えるタンクの刺激臭を完全に覆い隠すほど濃厚だった。思わず深く吸い込んでしまうほどだった。
トウモロコシは自分の皮を剥いで、その男の下に即席の担架として敷いていた。広い葉が大きく広げられ、まだ煤で顔を汚し、服が何箇所も焼け焦げた意識のない人物を包み込んでいた。
焼き芋のほうは、自分のアルミホイルで男を包み、炎の直接の熱から守っていた。ホイルの縁はわずかに反り返り、炎の残り火をかすかに映していた。
「中にはたくさん人がいて、誰を助ければいいのか分からなくなりそうだった」焼き芋は自分の体についた灰を払った。その乾いてぱりっとした皮が、食べられない部分を完全に閉じ込めていて、わずかに割れた部分からは金色に焼けた中身が覗き、湯気とともに溶けた砂糖のような香りを立ち上らせていた。
その香りを嗅いだだけで、まるで自分の舌にあの濃厚な甘さがコーティングされたような気がして、俺は思わずごくりと唾を飲み込んでしまった。
「彼のすぐそばで泡が弾けたのを見たから、この人がエンヴェルのはずだよ」トウモロコシは男を降ろすと、その場に膝をついた。動きは明らかに苦しそうだったが、声はしっかりと澄んでいて、葉の先端がかすかに震えていた。すでに多くの力を使い果たした証だった。
トウモロコシの上半分はまだふっくらと黄金色に輝いていて、一口かじれば甘い果汁が弾けそうな見た目だった。かすかな焦げがついていて、バーベキューソースを少し添えるだけで、塩気と燻製の組み合わせが夢のような味になりそうだった。
だが下半分はすっかり真っ黒に焦げ、残った皮は黒く縮れて脆くなっていて、鋭い焦げ臭を放っていた。自分の皮を剥いで担架にしたことで、彼は火への耐性のほとんどを失ってしまっていた。
彼は真剣な目で俺を見上げた。
「もしよろしければ……この命、食べ物として終わらせていただきたいです」
俺は喉が締め付けられるのを感じながら頷き、まだ食べられる粒を彼から摘み取った。一粒一粒が俺の拳ほどの大きさだった。とても一人で食べきれる量ではなかった。
俺は象徴的に一口だけかじった。果汁が瞬時に舌の上で弾け、焼けた香ばしさとトウモロコシ本来の甘みが広がった。俺はその目の前で、彼が芯だけの姿へと消えていくのを見つめた。
彼は微笑み、目を閉じ、動かなくなった。
コメント欄は一瞬静まり返り、それからゆっくりと言葉が浮かび始めた。
『こんなに感動していいものなのか、相手はただのトウモロコシなのに』
『この世界の生と死のあり方って本当に奇妙だけど、なんだかじっと見てると美しく感じてくる』
『いきなり感情揺さぶってくるのやめてくれ』
『ゆっくり休んでね、偉大なるトウモロコシの勇者』
それから俺は知恵の書の力を使って、彼をエインヘリャルへと変えた。
一筋の光の後、目の前には江戸時代の火消しのような服装をした若者が立っていた。重厚な耐火性の半纏を肩に羽織り、腰には鳶口を差し、その表情は厳かで揺るぎなかった。
俺は彼にトウモロコシを一本手渡した。彼はまるで褒美を賜る侍のような敬意を込めてそれを受け取り、丁寧で正確な動きで食べ始めた。
サチはその一部始終を見て目をかすかに赤くし、小さな声で言った。「ありがとう……」
ワカナも目の端を拭いながら、少し声を詰まらせて言った。
「あんな犠牲を見せられたら、感情移入しないほうが無理だよ」
ユウキは黙ってその光景を見つめ、剣の柄を握る手に力を込めながらも、何も言わず、ただ小さく頭を下げて敬意を示した。
さあ……残るはハルーミとパン生地のコンビ、そしてマルコだけだった。
俺はまだくすぶり続けるタンクの亀裂を見つめた。黒煙が途切れ途切れに立ち上っていて、俺の胸の中では希望と不安がせめぎ合っていた。拳を握りしめながら、ハルーミとパン生地からの知らせを待ち続けた。




