第147話 テーブルの後片付け
レベルアップの後、俺はステータスパネルに目を通した。
戦いの熱はまだ両腕の中で踊っていて、雷はまるで燃え尽きていない残り火のようだった。
あの未割当の28ポイントをどうにかしなければならなかった。
これまでは「予備として取っておこう」という考えで、ずっと手をつけずにいた。
だが戦闘の激しさが増していく中で、その場でポイントを振り分ける余裕なんてまったくないことに気づいていた。
俺の戦闘スタイルも次第に形になってきた今――
そろそろきちんとステータスの振り方を計画すべきだろう。
反応 34
筋力 32
霊感 36
運 34
俺は深く息を吸い込み、割り振りを始めた。
まず、ポイントの半分を反応に充てた。
反応 48
戦場において、俺は部隊全体を繋ぎ止める中心的な存在だった。
敵を直接殲滅することよりも、生き延びることのほうがずっと重要だった。
反応が上がった瞬間、視界が鋭くなり、周りの動きが半拍遅れて見えるような感覚があった。
配信のコメント欄。
『マスミ:生き延びたい』
『反応特化型の魔法使いビルド!』
『このステータス振り、めちゃくちゃ実用的じゃない?』
次に、残りの十四ポイントを筋力と閃きに3対4の割合で振り分けた。
筋力 38
霊感 44
近接戦闘に直接持ち込まれる可能性も完全には排除できないので、そちらにもいくらか振っておく必要があった。
それに、自分の主な攻撃手段のほとんどが化身や魔法系の武装から来ていることにも気づいていた。閃きはもう少し上げておいたほうがいい。
運については……
俺たちのパーティーには、あの幸運な女の子、サチがいる。
彼女が俺を愛し続けてくれる限り、彼女の運は俺の運でもあった。
しかも彼女は、百三歳のおばあちゃんになるまでずっと俺を愛し続けるつもりらしい。
そこまで長生きできるかどうか、俺自身にも分からなかったが……
配信のコメント欄。
『サチ:百年愛してる❤』
『マスミ:俺、そこまで長生きできるか分からないんだけど……』
『運ステータス=彼女』
すべて調整し終えた。
これはゲームじゃないから、極端だったり見栄えのいい振り方を狙う必要はなかった。
生存と実用性が最優先だった。
新田真澄 レベル22
経験値 65,443,000 / 209,715,200
HP 1,480 / 1,480
MP 510 / 510
反応 48
筋力 38
霊感 44
運 34
俺は速度重視の魔法アタッカーの道を歩んでいくことになる。
さて、次は――ドロップの処理をしなければならなかった。
そう考えていたちょうどその時――
厨房の扉の外から、陽気な老人の声が響き渡った。
その声はまるで食事時を告げる正午の鐘のようで、壁までもがかすかに震えた。
フィヨルニルの巨大な姿が入ってきた。
彼は俺たちのそばに立ち、普通の大きさのヘイムダルとの対比が際立った。
その光景は、まるでまったく縮尺の違う二つの模型を無理やり同じ画面に押し込んだかのようだった。
そのことが少し気になった。
ヘイムダルは俺の疑問に気づいたようだった。
彼は笑みを浮かべ、あの金色に輝く歯並びを見せた。
「俺はあそこまで大きくなれないんだ」
彼は肩をすくめた。
「あいつの母親はヨトゥンヘイムの巨人だったからな」
ヘイムダルが実際に彼を「あいつ」と呼んだ……
配信のコメント欄がすぐさま盛り上がった。
『巨人:あいつ』
『ヘイムダル:あいつが育つのをずっと見てきたんだよ』
『世代の上下関係、めちゃくちゃすぎるだろ!』
「うむ――約束通り、ここの害虫は片付けてくれたようだな」
フィヨルニルは陽気に歩み寄りながら、荒れ果てた厨房を見回した。
彼の後ろには、大勢のエインヘリャルの戦士たちが列をなしていた。
どうやら、彼が以前料理として食べてしまった食料部隊たちも、エインヘリャルとして元に戻されたらしい。
戦力を増強するための、なんとも奇妙な儀式だ……
配信のコメント欄。
『食べる=仲間になる?』
『どういう変な強化方法だよ』
『食料部隊:私たちは食べられるエインヘリャルです』
フィヨルニルはテーブルを覆う食料部隊たちを見て眉をひそめ、首を振った。
「ああ、もったいないな――お前たちのやり方は乱暴すぎた。すっかり汚れてしまって、もう食べられないじゃないか」
テーブル中の食料部隊たちは互いに抱き合って悲しみ、ため息をついた。
中には自分の頭を抱えて泣き出す者までいた。
「これからは、こいつに従うんだ」
フィヨルニルは笑みを浮かべ、俺を指さした。
柔らかな光が俺と食料部隊たち全員を包み込んだ。
主従関係が移ったようだった。
「私たちは新しいグルメの糧となることを誓います」
食料部隊たちは一斉に片膝をついた。
配信のコメント欄。
『マスミ:俺、いつからグルメになったんだ?』
『食料部隊:私たちはあなたの食材です』
『このパーティー、どんどん変になってくな』
「それから……」
フィヨルニルは俺に近づき、一歩――テーブルのほうへ足を踏み出した。
やめてくれ、頼むから。
あの大きさで乗ってきたら、俺たち全員がぺしゃんこになる。
そう思った瞬間、彼の体に光が走った。
全身が縮んでいき、俺たちと同じくらいの大きさになった。
先ほど外でフレイヤに付き従っていた時と同じ姿になっていた。
俺は再びヘイムダルを見た。
彼はまたあの金色の歯をちらりと見せた。
「忘れるな、あいつの父親はヴァニルの出だ」
ヴァニルの姿になったフィヨルニルは、ずいぶん若く見えた。
彼は俺のほうへ歩きながら、周りの食料部隊たちに向かって大きな声で言った。
「お前たちをこの若者に引き渡すが、その前に、私からの最後の命令を聞いてもらおう」
食料部隊たちは全員、敬意を込めて彼を見つめ続けた。
「さっさとこのテーブルと厨房の掃除をするんだ。宴は終わったんだから、厨房と食堂をきれいに洗い流せ!」
彼は笑みを浮かべながら、食料部隊とエインヘリャルたちが片付けを始めるのを見守った。
食料部隊たちは一斉に動き出した。
床を拭く者、テーブルを拭く者、潰れた害虫の死骸をゴミ箱に掃き入れる者。
何人かのエインヘリャルは、壊れたテーブルの脚の修理まで始めていた。
俺も自分の従者たちを呼んで手伝わせた。
観の門からゴブリンたちを、ボカ・デ・クペからギャングたちまで連れてきて、掃除に参加させた。
配信のコメント欄。
『ギャング:俺たち今、清掃会社です』
『ゴブリン:プロなんでね』
『この厨房の掃除、モンスターと戦うより疲れる』
フィヨルニルはくすりと笑った。
「ああ、お前に手伝いを頼んで正解だったな」
俺も笑みを返した。
彼は俺が手伝ってやっていると言ったが――この戦いを通して俺たちが得た成長は、払った代償よりもずっと大きかった。
「さて――お前への報酬について話そう」
フィヨルニルの表情が真剣なものに変わった。
彼は俺に向かって手を差し出した。
「拾っただろう?堕天使の魂の欠片を」
「あ、はい」
俺は慌てて、不穏な気配を放つあの半透明の黒い結晶を取り出した。
結晶は陽光の下で深い赤色にきらめいていた。まるで何か呼吸をしている臓器のようだった。
「中孚堂を通ってきたなら、恐ろしいほど高レベルなロブスター男に会っただろう?」
彼は結晶を俺から受け取った。
「セバスチャン?」
ユウキが鮮明に思い出したようだった。
「ああ、その名前で間違いない」
フィヨルニルは俺の胸を軽く叩いた。
すると俺の胸に、本当に穴が開いてしまった。
俺たち全員が、まだ激しく脈打っている俺の心臓を見て、呆然とした。
配信のコメント欄。
『?????????????』
『心臓、開封の儀!』
『マスミ:俺、なんでまだ立ってられるんだ?』
「七百年以上前、マナナン・マクリルの力を借りて、あいつはリヴァイアサンを封印した。あの時、マナナン・マクリルはあいつに、まさにこれと同じことをしたんだ――」
彼は片手で俺の心臓を掴み、強く握りしめた。
俺はその場で意識を失った。




