第120話 我が名は荒淫な王
カードを何回戦か遊んでいるうちに、シロアリを倒したことで入ってくる経験値の通知が止まった。
僕は食料部隊に、通路の入口を塞いでいた土を取り除くよう指示を出した。
僕の支配下の害虫たちは、しっかり入口から離れた場所に避難させてあった。
この殺虫スモークはシロアリを殺せる――こちらの害虫たちの肺に入っても、同じくらい致命的だ。
穴が開いた瞬間、鋭い化学薬品の臭気が漂い出てきた。
近くにいた何人かの食料部隊が数歩後退りして、鼻を覆い、顔を背けた。
モチ米腸詰めは口元を手で押さえ、小さく呻いた。
「この臭い……アリの体液より刺激強いですよ……」
「だから口を閉じてろって!」
隣のゴボウが自分も目を細めながら言った。
僕は突風の魔法を使って、殺虫スモークをさっき開けた上の通気口へ流していった。
あの白い霧は気流に乗ってゆっくりと立ち昇り、通気口の暗闇の中へ消えていった。
皆、スモークが完全に流れ去るのを待った。誰も口を開かなかった。聞こえるのは数人の小さな咳の音だけだった。
殺虫スモークが消えた後、僕はさっき焼き殺したシロアリを何匹か復活させた。
そして巣の奥へ偵察に行かせた。
シロアリたちは穴に入った瞬間、闇の中へ消えていった――入口で触角が一瞬ピクピクと動いたかと思うと、すぐに見えなくなった。
同時に、アリの一隊にシロアリの巣へ続く通路を広げさせた。
あの巣の奥には、僕がぜひとも連れて帰りたい人物がいる。
片手で命令を出しながら、もう片手で他のみんなと一緒に座って、お菓子をつまみ、飲み物を飲み、のんびりカード遊びをしていた。
カードが手から手へと回る。食料部隊は次第にルールを覚えていき、何人かは打つのが速くなり、しかも段々と派手な動きを見せ始めていた。
モチ米腸詰めは引くたびに隣の人の手元をちらちら覗いていたし、ゴボウは自分の番が来るたびにカードを高く掲げていた――他の人にもまる見えだということに、たぶん気づいていない。
「ゴボウさん、なんでそんなに高く掲げてるんですか?」
ニンジンが聞いた。
「そうしないとよく見えなくて」
彼は微塵も疑っていなかった。
「僕からもよく見えますよ」
「……」
この光景を見ていたら、自分が今、深い地下のアリの巣の中にいることを、危うく忘れそうになる。
ワカナはと言うと、完全に姉御モードに切り替わって、ゲームのリズムを支配していた。食料部隊の誰かが負けると、肩を叩いて「気にしないで、もう一回やろう」と励ました後、全員の手札を一枚ずつ刈り取っていく。
フェアリーはその傍らで壁にもたれて見物していた。時折顔を伏せて、ピクシーの秘醸蜜を一口ずつ含んで体力を回復させていた。顔色はだんだん良くなってきている。
ユウキのカードの打ち方は、戦闘と全く同じだった――一手一手を見極めてから出すし、勝っても大騒ぎしない。
ワカナはユウキの戦い方に、思わずコメントせずにいられなかった。
「あんた、戦ってる時より、カードしてる時のほうが怖いんだけど」
「そう?」
ユウキは自分の手元を見つめたまま、ゆっくりと一番下のカードを場に出した。
ワカナは一拍止まって、自分のカードを見て、それからユウキを見た。
「……これ、わざと私が出すのを待ってから、その一枚出した?」
「うん」
「あんた、戦場でもカード台でも、本当に手強いね」
ワカナは手札を投げ捨てた。
「ありがとう」
ユウキは自分の取り分を整えた。表情は相変わらず大きく動かなかったけれど、口角がほんのわずかに上がっていた。
ちょうどその時、前のアリの部屋へ通じる通路が貫通した。
ダイアガストロポッドのムカデと大量の食料部隊、害虫部隊が、波のように次から次へとこの空間に押し寄せてきた。
ムカデが入ってくる時、通路全体が揺れた。食料部隊は道を空けて、まず彼を通した。
ムカデは部屋を見回し、地面に車座で座ってカード遊びをしている僕たちを見つけると、触角をピクピクと動かした。
何を意味しているのかは分からないけれど、驚いているように感じた。
彼は隅に身を丸めて、ちぎれた脚の節を体の脇に寄せ、他の脚で体を支えて、複眼で僕たちをじっと見つめていた。
焼きジャガイモが最後尾から入ってきて、一歩入った瞬間、部屋全体を見渡した。
その視線は僕たちの一団に一瞬留まり、それから僕たちの前のカードに、それから周りに座って一緒に遊んでいる食料部隊の輪に注がれた。
彼は驚きと咎めるような口調で言った。
「我が主、まだお仲間が一人見つかっていないと仰っていたのでは?」
「ああ、そうだった」
ちょうど僕の手に、ジョーカーが一枚来ていた。
ジョーカー一枚、ハートの六が一枚。
僕は表情を動かさずに、ワカナの指がジョーカーへ伸びるのを見ていた。
「それなのに、こんなところで……遊んでいらっしゃる?」
咎めるような口調に、僕の集中が少し乱れた。
「ああ、サチのことなら……」
呼吸のせいか口調のせいか、分からない。
僕の視線がジョーカーに一瞬留まった――きっとそれをワカナに見抜かれた。
気づいたら、ワカナが笑みを浮かべて、人差し指でジョーカーの縁をなぞり、僕と目を合わせていたずらっぽくにやりとしていた。
それから一瞬で、薬指と小指の間でハートの六を挟み取った。
「捨て札――上がり!」
笑いながら身を寄せてきて、僕の襟を引き開け、カタツムリすら赤面しそうな勢いで首にキスをした。
僕は全身が硬直した。
カードが一枚、手から床に滑り落ちた。拾う気にもならなかった。
「サチは一番心配のいらない子だよ。あの子の寿命、まだ最低でも八十五年あるんだから」
顔を真っ赤にしながら、僕はワカナの――セクハラに耐えていた。
たぶん彼女は、僕の首にまるごと三ヶ月くらい貼り付いていた――
焼きジャガイモのショックを受けた顔は、もはや取り返しのつかないところまで来ていた。
その隣で、ゴボウとニンジンは揃って顔を背け、別の何かを見ているふりをしていた。
ゴボウの耳の付け根がほんのり赤くなっていた――彼の構成成分を考えると、それが物理的にあり得るのかどうかは、僕には判断つかなかったけれど。
ユウキは静かに自分のカードを伏せると、負けてられないという顔で歩み寄り、僕の首のもう片側にキスを落とした。
フェアリーは僕たちのことを丸二秒見つめた後、手をぎゅっと握りしめていた。明らかに――参加したいのに、他の二人を押しのける体力が残っていない、という顔だった。
ワカナがふんと笑って、手を伸ばしてフェアリーを僕のほうへ引き寄せた。
そして首の真ん中――鎖骨から喉仏までの一帯を、この可愛らしいピクシーに譲ってくれた。
はあ。このジャガイモの目には、今の僕は淫蕩王にしか映ってないんじゃないか。
これ以上、この印象を深めさせるわけにはいかない。
僕は焼きジャガイモに向き直って、できるだけ声を落ち着かせた。
「ジャガイモ卿、次はシロアリの巣に乗り込んで掃討します。部隊の準備、お願いできますか」
焼きジャガイモは僕を見つめ、それから蛭みたいに首にくっついている三人の女性を見て、何も言わず、ただ力強く頷いた。
「我が主の命のままに」
彼は背を向けて、食料部隊に隊列を組ませ始めた。指揮の速さと威厳に、さっきまでカード遊びをしていた食料部隊の面々が、一瞬で真剣モードに戻った。
僕は心の中で、これ以上追及してこなかった彼に感謝した。
「はいはい。カードはここまで」
僕は咳払いをして、気まずさを抱えながら命令を出した。
「戦闘準備。もうすぐまた踏み込むよ」
食料部隊はカードを片付けた。何人かはまだ顔に笑みを残していたけれど、動きはもう整然としていた。
焼きジャガイモは胸の前で腕を組んで頷いた。表情が何段階か真っ当な方向に戻った。
たぶん、僕が命令を出した瞬間にみんなが本気で準備を始めたことで、彼の「我が主は淫蕩王」という顔がいくらか和らいだのだろう。
ただし、いくらか、だ。
主力部隊のほとんどが到着したのを見て、僕は吸血鬼みたいに首に貼り付いていたワカナを引き剥がした。
彼女は半歩下がって、自分の襟を整え、いかにも満足げな顔をしていた。
ただし、口は別のことを言っていた――
「まだお腹いっぱいじゃないからね」
「私も……」
真面目なはずのユウキまで、声をぼんやりさせて言った。
「私も……まだ……欲しい……」
フェアリーが負けまいと割り込んできた。
「……分かった、分かったから、これは後でね」
僕は三人を何とかなだめるしかなかった。
「今はもっと大事なことがあるんだ――」
僕はメッセージのアワアワ銃を取り出して、サチに向けてメッセージを撃ち出した。
「サチ、今どこにいる?こっちはもうすぐ片付くから、迎えに行く準備をしてる」
泡はメッセージを乗せてふわふわと漂い始めた。
何も考えずに、てっきりアリの巣の外へ向かって飛んでいくものと思っていた。
そうじゃなかった。
その泡はあろうことか、さっき僕がアリに掘らせた穴のほうへ飛んでいった――上へ、巣の外にある、僕がまだ足を踏み入れていない世界へ向かって。
僕はその場に立ち尽くして、数秒間その穴を見つめていた。
泡はもう穴の上の闇の中に消えて、見えなくなっていた。
「どういうこと?サチは台所にいないの?」
不意打ちすぎて、頭が追いつかなかった。
ワカナとユウキも手を止めて、同じ方向に目を向けた。
「上に向かった?」
ユウキの声に困惑が混じっていた。
「あれってフィヨルニルの縄張りじゃないの?」
ワカナの表情が引き締まった。
「サチがどうしてそんなところに……」




