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倒した敵は俺の力になる 〜魔物だらけのダンジョンを攻略しながら、ドロップ品を配信で売って一気に億万長者へ〜  作者: 上部乱
巽の塔—風火家人

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第105話 第一回アリ群との会戦


追いかけてきたヤスデを片付けたことで、戸棚への道を阻むものは何もなくなった。


あの巨大なムカデが僕たちの後ろをついてきて、ゆらゆらと揺れながら木の足を登ってくる。赤と黄の胴体が木の上に長い跡を刻んでいた。ヤスデの従者たちが先頭でちらちらしている。まるでロバの鼻先にぶら下げた人参みたいだ――あ、でもこの言い方はニンジンに文句を言われそうだ。


大部隊は戸棚の縁に沿って素早く登っていった。


『風の香讃』の加護を受けて、隊全体の速度がさっきより数倍速くなっていた。カタツムリ大隊の滑る音、カニの足音、根菜たちの歓声が混ざり合い、戸棚の木の足の周りに響き渡った。


途中でいくつかの半開きの引き出しを通り過ぎると、逃げ惑うシミが何匹か見えた。


あの銀白色の小さな虫たちは僕たちを見るなり、引き出しの奥へと潜り込んだ。あまりに素早くて、反応する間もなかった。


「益虫様はあいつらには興味ないんですか?」


僕はふと聞いた。


「シミは確かに害虫ですが、紙や布といったものしか食べません。食料への脅威は比較的小さいんです」


老昆布が説明した。


「益虫様が主に始末するのは、炊事場に直接害をなすやつらですから」


なるほど。


この世界の「益虫」と「害虫」の分類は、完全に食料部隊を中心に作られた秩序なんだ。考えれば考えるほど面白くなってきた。


戸棚の開いた扉に到着した。


戸棚の中には重なり合った食器類、大きなお菓子収納ボックス、大きなフルーツバスケットがあった。


お菓子ボックスとフルーツバスケットはどちらもひっくり返っていた。


陶磁器の破片があちこちに散らばっている――もちろんここでの「あちこち」は、僕たちが見慣れたサイズではない。割れた茶碗一つが、普通の乗用車ほどの大きさだ。


この視点から見ると、戸棚の内部はまるで竜巻に一掃されたばかりの街みたいだった。斜めに倒れた皿は崩れた高層ビル、散乱した茶碗の破片は崩壊した城壁、クッキーやキャンディーやグミの包み紙は吹き飛ばされた家のように、あちらこちらに転がっていた。


「うわ……これは……」


思わず息を呑んだ。


「主人!あそこが蟻の巣の入口です!」


ダイコンが遠くを指さした。


指さした方向に目を向けると、戸棚の一番奥の隅、壁の亀裂から黒い長い行列が途切れなく這い出してきていた――アリの行軍だ。整然と戸棚の中央へ向かって進んでいて、一匹一匹が中型犬ほどの大きさがある。


ユウキが見えた。


白い陶磁器の皿の上に立ち、勇気の剣を振りかざしながら、まるでステージの中心で踊るアイドルのように華麗な剣技を繰り広げていた。


赤い剣光が白い皿の上に反射して、皿全体が炎に包まれているようだった。一振りするたびに、剣気が長い弧を描いていた。


その周りには、押し寄せるアリだけでなく、僕が送り込んだゴキブリの従者たちも群がっていた。


ゴキブリの群れとアリの群れが入り乱れて戦っている。


黒いゴキブリの群れと濃い茶色のアリの群れが白い皿の周りで絡み合い、まるで二本の黒い川が激突しているような光景だった。


そしてユウキは……


僕の記憶とは違い、今は正統派の大剣の剣技を使っているようだった。


あの剣の使い方を、ちゃんと練習したんだ。


勇気の剣を手に入れたばかりの頃、彼女は竹刀みたいに剣道のやり方で扱うしかなく、この剣の本来の力を引き出せていなかった。でも今は一太刀ごとに、この両刃の長剣のための動きになっていて、振りの滑らかさがまるで別人だった。


「ユウキ、いつの間にこんなことを……」


思わず呟いた。


ユウキの周囲は波のように押し寄せるアリで埋め尽くされていた。


アリの形をしているとはいえ、この大きさはもう狼の群れだ!


アリが何重にも取り囲み、一番近くにいるやつらが顎を開いて噛みつこうと何度も試みている。


一匹が剣に噛みついたが、ユウキは刃をひねって、そのアリの口ごと抉り取った。


そのアリは声もなく痙攣し、下顎と顔の半分を斬り落とされ、そのまま後ろに倒れた。


別の一匹がようやく隙を見つけてユウキの足を挟んだが、彼女はスッ、スッと二度剣を払っただけで――アリは首と胴体が離れ、大顎も同時に断ち切られた。


「すごい……」


思わず低い声で唸った。


傍で見ていた根菜の食料部隊も皆、目を丸くしていた。


「あの女戦士、強すぎる……」


ニンジンはフォークを握る手も忘れていた。


「こんな剣術、見たことない!」


ビーツの葉っぱが興奮でぶるぶると揺れた。


外側のアリが腹を持ち上げ、ユウキに向けて蟻酸を噴射した。


黄褐色の液体が空中に細い水柱をいくつも描く。あれはかなり腐食性が高そうだ――アリ特有の攻撃方法だから、侮れない。


ユウキはその都度頭を下げてかわすか、手の剣を振って毒液を空中で弾き飛ばした。


動きは鋭く正確で、一つ一つの回避が絶妙なタイミングだった。蟻酸が届いたとしても、せいぜい足元の磁器の皿に落ちて、ジュウジュウという音を立てるだけだった。


アリ群の攻撃は密集していたが、ユウキは受け流しながらも一撃一撃、着実に反撃した。


彼女を取り囲むアリの数が急速に減っていく。


最初は百匹を超えるアリが狼の群れのようにユウキを囲んでいた。


それなのにこの勇敢な女性は、十分もかからず全部片付けてしまった。


きれいに並んだアリの死骸が足元に輪を作り、まるで不気味な祭壇の円陣みたいだった。


「本当にすごい!」


ダイコンが感嘆した。


「そうそう!」


ニンジンも力強くうなずいた。


アリの死骸の輪を作り終えると、ユウキはすぐ次の戦場へ向かおうとした。


ところが、よろめいた。


ほんのわずかなよろめきだったが、僕はちゃんと見た。


もう一度目を向けると、彼女の靴がボロボロになっていた。


さっき斬首したアリもただでは死ななかったらしく、少なくともユウキの片方の靴を引き裂いていた。


ユウキは悔しそうにしゃがんで、靴を脱いだ。


裸足で行くつもりらしい。


「ユウキ!」


僕は大きく呼びかけた。


「マスミ!」


彼女は喜色満面でこちらを見た。


あの明るい目が一瞬で輝き、久しぶりに見る笑顔が顔いっぱいに広がった。ほこりと血でまみれた顔を見て、胸がちくりと痛くなった――この間ずっと一人で踏ん張ってきたんだろう。


僕はすぐに彼女のそばへ駆け寄り、手には今手に入れたばかりの隠密の壁伝いブーツを提げていた。


「靴が壊れたんだろ、これを履いて」


ブーツを手渡した。


「また新しい武装を手に入れたの?今度は何が変わったの?」


彼女は笑いながらそのブーツを眺めた。


「えっと……」


言いにくかった。


「なかなかおしゃれなデザインじゃない」


彼女はウインクしてみせた。


「ナメクジが変化した武装なんだ」


正直に言った。


「あははは、それは気持ち悪い!」


口ではそう言いながら、嫌がる素振り一つ見せずにブーツを履いた。


足を何度か踏みしめて、感触を確かめた。


「あれ?これけっこう面白いね。ちょっとくっつく感じだけど、動きの邪魔にはならない」


「ゴキブリが変化したやつじゃなくてよかったでしょ」


彼女は腰にぶら下げた隠密の地雷砲を笑いながら見た。


「でもこっちはそうでしょ!」


地雷砲を彼女の目の前に出した。


「しかもそのブーツと合わせるとセット効果があるんだよ」


「うわ最悪!このセット気持ち悪すぎる!」


笑いながら地雷砲を受け取った。


あれこれ手に取って眺めながら、口では嫌そうにしているのに、その目がきらきらと輝いていた――「今すぐ試したい」という興奮が全然隠せていない。


「気持ち悪くても、地雷でアリを相手するのにはちょうどいいはずだよ」


もう一丁の地雷砲を取り出して、アリの大群が来る方向へ向けて発射した。


カチ、カチ、カチ――


地雷が一つずつ皿の上の隙間に落ちていき、ほこりや食べかすの中に半分埋まった。落ちて数秒もしないうちに、アリが踏んだ。


ドドドドンッ。


数え切れないアリが一瞬で吹き飛んだ。


アリの体の破片があちこちへ飛び散り、濃い茶色の体液が白い皿に飛び散った。その光景はかなりえぐかった。


「かっこいい!」


ラディッシュが後ろで叫んだ。


「主人のこの武器とあのお姉さんの剣術が合わさったら、もう無敵じゃないですか!」


ニンジンが興奮して叫んだ。


ユウキは地雷砲を眺めながら、今すぐ使ってみたそうな目をしていた。でもまた口を開いたときは、まず仲間のことを気にかけた。


「仲間を見つけたよ。ワカナはあそこにいる」


水晶のグラスの後ろを指さした。


指さされた方向に目を向けると、ワカナが大勢のぶるぶると震えるグミたちの前に立ち、手にバーナーを持って、前方のアリの頭上へ火炎を放射していた。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


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