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国守の愛 第3章 red eyes ・・・・  作者: 國生さゆり    
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シーン11 詰問室



  シーン11 詰問室


 「お前、サヤを振ったんだって?聞いたぞ。あきらめずにサヤはお前を誘い、それをお前はすご剣幕けんまくで怒ったんだってな。ああ見えてサヤはいい女なんだぞ、かわいそうに。あいつは今も俺たちをバックアップしてくれてるし、お前の2重っぷりも板について来たし、それもとおからず、サヤのおかげ様じゃないのか?フレミング、サヤは流石さすがだよな」スパルタンが鼻歌でも歌うように、宗弥を挑発ちょうはつする。



 「なぁ、そんなデタラメよく思い付くな。子供じゃないんだから、言いたい事だけ話してんじゃないよ。学級会じゃないんだからさ。スパルタン、俺の質問に答えろよ。生物兵器は本当にあるのか⁈」宗弥は冷静な口調で言い返す。



 鏡裏の小部屋から見ている要はやりきれない。コロンブスがスパルタンの打つ打電に気づかないはずがない。それをわかった上でスパルタンは宗弥にメッセージを打ち、宗弥に道化どうけを演じさせている。右隣りに立つファイターに要は視線を移す。ファイターは鋭い目で、宗弥をにらみつけていた。



 ニタリ顔をスパルタンに向けた宗弥が「それで、俺が関わっているというその計画は、どの国から援助を受けて工作活動してるんだ?お前は、どうせまた、使われてる立場なんだろう?」と聞くと、「お前もな」と返したスパルタンに宗弥は「いや、そうじゃない。俺は今も国家のものだ」と宣言するように言う。聞いたスパルタンは小馬鹿にしたように笑い、指先で机を叩き始める。



 “ コロンブス、また一人優秀な隊員をお前は見殺しにしている“と打つスパルタンは「そうなのか。ショックだな。まっ、除隊してもお前には医師免許があるから、他の奴らとは違って優雅に暮らせるしな。闇診療の手引き、俺がしてやろうか、こんなとこでくすぶってるより、重宝ちょうほうされるぞ。いい稼ぎにもなるしな」と宗弥に言いながら、なお“ コロンブス、金の算段さんだんは出来たか“と打ち、違うコードを打ち始めた。宗弥への打電だ。



 宗弥が「なあ、せめて、ちょっとしたヒントをくれよ。朝の9時からもう4時間だ。あんたみたいなおっさんと顔を突き合わせてるのも、俺がどんなにいい奴だとしても、正直キツい」と言い、「そうか、だったら話を変えよう。お前の彼女、元気か?」と聞いたスパルタンに、宗弥は平然と「ああ。今も乖離かいり状態で研究どころじゃないがな。どうしてBみたいな奴に、富士子の薬品投与をまかせたんだ。乖離原因の大きな要因よういんはBの過剰投与だ。あの状態の富士子をかの国に連れて行ったとしても、液体デイバイス技術は取得できなかったはずだ」動揺など微塵みじんも感じさせない平凡な声で尋ねる。



 「それが目的だったからだよ。あんな国に技術を渡してみろ。何に使うかわかったもんじゃない。壊れてよかったんだよ。あのお嬢ちゃんは」と言ったスパルタンに、宗弥は「それじゃお前とサヤの身に、危険がおよんだだろう?」と聞く。「だから、Bに投与を任せた。あいつに致死量を打つ根性はない。あっ、もうあの世に行ってるから、過去形にしなくちゃだな。富士子が死んでなければ、俺たちに火の粉は飛ばない。馬鹿なのか?先が思いやられる」スパルタンが軽口を叩く。



 その会話を指の関節部分が白くなるほどに、拳を握りしめて聞いていた要は身をかがめ、PC前に座るトーキーに「スパルタンがコードを変えて、フレミングに“red eyes“と打った。なにか出たか?」と聞く。すでに本陣スパコンで検索していたトーキーは「これです」と画面を指差ゆびさす。



 読んだ要は一瞬にして表情を凍らせ[送る。イエーガーからコロンブス。スパルタンがフレミングにred eyesと打電しました。ユーラシア大陸で発生したウィルス性の疫病えきびょうの通り名がred eyesです。コロンブス、盾石富士子さんの母、久美子さんも同じ症状で亡くなっています。だからアメリカ情報士官は富士子さんの血液を欲しがった]と入れると、[了、妊娠中の発病だった。富士子さんは完全な抗体を持っている。red eyesを兵器化したという事か。至急、調査させる]とコロンブスから入り、“ 完全な抗体“ と聞いた要は“ = 狙われる“ と早くも連想でき、愕然がくぜんとする。



 初めて触れた情報にファイター、チャンス、トーキーは要の顔を凝視した。その視線の中、要は[送る。イエーガーからコロンブス、red eyesの件をチームで共有しても宜しいでしょうか?]と入れ、背後のせわしさがれ聞こえるコロンブスから[承知した。そうしてくれ]と返信が入った。




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