『死霊術のすゝめ』
あの後数10分ほど店員さんの愚痴を聞き、無事に『死霊術のすゝめ』を購入することができた。いや、無事と呼ぶべきかはさておくが。
『死霊術のすゝめ』はかなり分厚くボリューミーだ。パラパラっとページを確認すれば、A4サイズの頁が約500ページほどある。
これで殴れば人を簡単に殺せるだろう。
ということでさっそく読ませていただこう。場所はイベント前にリーゼと来た喫茶店だ。念のため表紙にはカバーをかぶせて、何の本かはわからないようにしている。
ちなみに前回と同じように『ジャンボ王城パフェ』を注文した。本を読むからね。甘いものがあると頭がよく回るから。ちゃんと美味しいし。
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まず初めに。本書には『すゝめ』とあるが、実際に「〈死霊術〉を使用しろ」と伝えるための本ではない。
というのも、おそらく本書を拝読する方はご存じであろうが、〈死霊術〉と言うスキルは唯一神を信仰する人類、そしてその本元たる教会によって使用を固く禁じられている。
その理由としては「死者を愚弄している」と言うことが挙げられる。〈死霊術〉は死体を利用するスキルであるため、「死者の尊厳を著しく乏している」というわけである。
著者自身としてはこれに否を唱えたいところではある。なぜならスキルは唯一神が創りだしたものである。ではなぜ唯一神はこのスキルを創ったというのか。
本来であればこちらの考察をしたいところではあるが、残念なことにそのようなことをすると著者が教会に叱られてしまうため、控えることとする。
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ふむ。ここら辺はさっき店員さんに聞いたことと同じようなことだな。
私が知りたいのはここからだ。
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まず初めに、〈死霊術〉で呼び出されるスケルトンあるいはゾンビには自己というものが存在しない。いうなれば「よくいう事を聞く人型のゴーレム」と言ったところだろう。
「死ね」と命令すれば死ぬし、「雑草をむしって」と言えばむしる。死の命令すら受諾することを考えるに、恐らく彼らの受諾しない命令は存在しないのではないだろうか。
無論、ステータス、スキルの関係で行えない物事は対象外とするが。
なぜ自己がないのか。著者が考察するに、これは「生前の個人を構成する要素が足りないため」であると思っている。
〈死霊術〉で手に入る骨格は、どれほど大きな生物を倒そうとも最大で10%しか手に入らない。その10%でスケルトンを作成しても、個人を構成するにはあまりにも足りない。なぜならスケルトンを召喚するために必要な骨格は100%で、その内訳には他者も含まれているのだから。
そのためもし自己のあるものを召喚したいのであれば、一個体で100%の骨格を採取するしかないだろう。まぁ、不可能であろうが。
とはいえ〈死霊術〉を手にした人間はほとんどおらず、サンプルが非常に少ない。何千、あるいは何億と魔物でも人でも倒して試せば、100%の骨格を入手することもできるかもしれない。
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