おばちゃん
ふぅ、癒された。
追い込まれた結果結構思考が支離滅裂になっていた気がするが、これからはいつもの私のはずだ。
スライムを飼うって何?力加減ができないとすぐにつぶれてしまう存在を飼って何をどうするというのか。普段から連れて行けるわけでもないのに。すぐに死んでしまうわ。あほか。
そんなことより〈死霊術〉だろうと、久しぶりに本屋にやってきた。『死霊術のすゝめ』を買うのだ。
お値段脅威の10万越え。『太陽系を模る砲』を作ってからそろそろ残金がやばいぞ。早く情報を売らせてくれ。今ならおまけで〈死霊術〉ものせちゃう。
「これください」
「……これかい。こんな本を買うとは物好きだね。知らないかもしれないから教えてやる。〈死霊術〉は外法だよ。もし万が一使うところを教会の人間にでも見られたら、地の果てまで追いかけられて殺されるよ」
ほ~ん??話変わってきたか。もしや表に出せない系のスキルでは?いや、厳しいのが教会だけなら場所を選べば使えるか?
「……あんたの居る世界がどうかは知らないが、この世界の人間は絶対に教会で定められてる唯一神を信仰してる。例外なんて産まれてから人と関わったことのない世捨て人か、生粋の物好きくらいだよ。だから誰に見られてもあんたはおしまいだ。死ぬまで死ぬ思いをするだけさ」
ほならもう無理やないけ!せっかく強そうなスキルで楽しみにしてたのに……。
しかもこの流れだと、この本を買っても買わなくてもどちらにせよやばいやつ認定されるし。
てか本を買おうとしている状況自体がヤバい?店員さんが教会に垂れ込んだら終わりか……ゲーム的にどうなるのかはわからないけど。
「……」
「まぁ落ち着きな。あたしは何にも言わないよ。なんせあたしは例外の一つ、生粋の物好きだからね」
「あ、そうなんですか……」
「そうだとも。それにあたしは教会が嫌いだ。そもそも教会が〈死霊術〉を目の敵にしていることがおかしいんだ。すべてのスキルは唯一神が創り与えたものだというのに、なんで〈死霊術〉だけ例外で禁じなけりゃならないんだい?唯一神が創ったということは、それは必要と言うことだよ。それをやれ尊厳がうんたら道徳がうんたらとばかばかしい!唯一神を信じるあんたらが信じなくてどうするのさ!必要だから唯一神は〈死霊術〉を与えたんだ。死んだものを生きているようにするなんてまさに神の御業だろうに。むしろあたしは死んだら〈死霊術〉で使ってほしいね。あのタヌキどもに教えてやるのさ!神の御業の心地良さってやつをね!それに────~~~」
や、やべぇスイッチ入った。近所のおばちゃんのマシンガントークがかすんで見えるレベルで一生話続けている。これいつまで続くんだ?
あとこのおばちゃん、多分昔教会と何か関わりを持っていた人でしょ。あのタヌキどもって、そんなの内部の人間じゃないと知らないことだろうし。
これも何かの伏線か?覚えておこう。




