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第四章(1)
その日、皆人は最悪だった。
朝から千草に伊吹がいなくなったことで散々問い詰められ、学校では学校で授業に集中できず「どうした、神埼? 保健室行くか?」と心配される。放課後になればスポーツドリンクのボトルを忘れたことで、顧問の都合で臨時に部活が休みになった剣宮に町中を連れ回され。人前でアイスクリームを食べさせ合わされた上に、最後には「気持ちが入ってない」とダメだしされる始末。
「……たくっ。何なんだよ」
適当にカバンを部屋の隅に放り投げ、そのままベッドに倒れ込む皆人。
「ギャアギャア」
耳を打つ荒々しい雄叫びに、皆人が面倒臭げに視線を窓に向ける。
窓を蹴破らんばかりに叩く黒い影。
「九王かっ!」
小さく叫び、ベッドから跳ね起きた皆人が急いで部屋の窓を開ける。
「おい、九お……」
窓を開けた瞬間、部屋の窓を叩いていた鴉は直ぐにどこかへ逃げて行ってしまった。
「…………」
無言のまま、大空へと飛んでいく鴉を睨めつける皆人。
夕暮れに羽を赤く染めた鴉は二本脚だった。




