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第5話 前世の自分達

「ねえ凪、あたし達はここから逃れられるのかな?」

『大丈夫。きっと大丈夫だよ。あたし達は逃げれる。ここから逃げるの』


明かり一つ窓一つない部屋に二人の少女はいた。

少女達の話す会話は、穏やかなものではなかった。

それ以前に、この部屋が穏やかではないだろう。


少女たちの周りには、数十人もの人がいた。

もうすでに人としての活動はしていない。

いわゆる死体という奴だ。


二人の少女は数十人の死体の中での唯一の生き残り者だった。


どうしてこんな自体になっているのか、それは少女の体の傷が物語っていた。



「あたし達は逃れられるの?」

少女はまた凪という少女に尋ねた。


『逃げられるよ。大丈夫。だからあたし達は生きてるのよ。そうでしょ?沙希』

凪という少女は沙希という少女に答え返した。


真っ暗でお互いには顔が見えない。見えないけど確実に二人は向き合っている。

まるで相手の顔が見えているかのように、相手の顔を見ている。



二人の少女はずっと話ていた。

話ていた。というよりかは、沙希という少女の一方的な質問に凪という少女が慰めるかのように答え返していただけだ。

どこから見ても少女が話す会話ではない。


二人は向き合っていた。

お互いに顔をしっかりと見つめ。

だが、二人とも、どんな会話をしても無表情だった。



暗いくらい部屋の中、少女たちには感情というものはないのだろうか。

沙希という少女の質問は、悲しいものばかりだった。

だが沙希は、悲しむも、涙を流すもなかった。

凪も、ただひたすらに慰めるかのように答えていただけだった。

慰められているのに、沙希は口元を緩めることをしなかった。



暗いくらい部屋の中、光が指した。

光が指したかと思うと、数人の男性が入ってきた。


男達は白衣をきている。実験をする人のようだった。


少女たちは暗いくらい部屋から解放された。

男たちに誘導され、ある部屋へと別々に入れられた。

その部屋はさっきとは違い、光にあふれていた。

少女たちは暗闇から光があふれる部屋にきたにも関わらず、目を細めることもなく仰向けに寝かされるのを、されるがままにしていた。

まるで、もう慣れているかのように・・・




「凪、これを他人のこと。なんて思わないでね。これは確実に貴女のこと。いえ、あたしたちのことなんだから」

『僕たちのこと?』

「・・・僕って一人称やめない?」


沙希は僕の一人称を否定した。

たぶんそれはさっきの凪という少女と関係がある。

他人のこと。と思わないでね。

これはもしかしたら・・・僕達の前世。

初人生の僕たちのことなのかもしれない。

恨みをはらすために僕達はここにいるの?

恨みをはらすために僕はこの人生を繰り返してるの?



「凪聞いてるの?あたしにもそんなに時間ないんだからね。前世を見せただけでも結構大変だったんだから・・・」

『僕は僕。例えあれが前世でも、僕は生まれ変わるたびに変わる』


僕は認めたくなかった。

この能力を・・・

もう5回も味わっているこの能力。

性格が変わる。名前も変わる。

それが僕に冷静さを与える。



「凪貴方が今みたのは、あたしたちの前世。今の貴女の名前と、さっきの名前を比べてみて」

『僕の名前は今回は凪。さっきの前世・・・凪。後、沙希も沙希だった・・・わかってたけどこれはどういうこと?あたしは名前が変わるはず、なのにどうして?』


そう、あたしは生まれ変わって、記憶があっても。

名前は絶対に変わってた。


「凪、今の凪は初人生の凪と全く同じなの。性格も名前も、何もかも全てが一緒なの。だから、あたしって呼んでほしい・・・」

『僕が僕って言ってるのは、ある人生のときからなの。僕は今まであたしって言ってた。言ってたの。でもね、ある子に・・・』


話すの?話すべきなの?僕がどうして僕って言ったのかを。

あれは思い出したくもない。

強制的だなんて・・・


「凪、言わなくてもいいよ。あたしには貴女のことなんでもわかるから。知ってる。あたしは貴女がどうして僕っていうか知ってる。でも、だからこそあたしって言ってほしい」


僕が僕って言うようになったのは、ある人生のときに、僕はすごく男っぽかった。

それで、すごくいじめられっこで、一人だった。

そんな僕をいじめてた奴に「男のくせにあたしなんて気持ち悪い」そういわれた。

今あいつらがいるわけはないけど、僕はあいつらのことが忘れられなくて・・・


『僕はもうあたしなんて言えないよ。だって・・・知ってるんだったらわかるでしょ?あたしが何で嫌なのかを』

「初人生の凪はこんな小さなことは気にしなかった。最後まで前向きで、あたしを励ましてくれた。どうして凪が覚えていないのかはわかるよ。覚えていないんじゃなくて、消されたから」

『消された?』


僕の記憶は消された。

誰に?

さっきの凪に何かをしようとしてた男たちに?

でも、どうして記憶を消す必要があったの?

もしかして凪に能力を持たせたのはあいつらなの?

「続きみていく?」

『凪と、貴女の・・・』

「凪と貴女じゃなくて、あたしと貴女でしょ?」


やっぱり凪はあの男たちによってこうなったのか?

でもあれは僕でも、今の僕じゃない。

いつも性格も名前も何もかもが変わるはず、それなのに何もかもが一緒なんてありえない。


『凪のころの人生を見せて』

「素直じゃないね・・・でもごめんね。今はこれでおしまいみたい。また来るよ」


沙希は僕の目の前から姿を消すと、目覚ましの音が頭に響いた。

目を開くと、あたしは目覚めたらしく、自分の部屋が視界に入った。

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