補習は辛い件について(仮)
かおるは現在、学校にて補習を受けていた。
なぜ彼が補習を受けているのかというと、テスト前に一週間も休んでしまい、それがテストにかぶってしまった。
幸い、インフルエンザであったので、出席停止となり休んだときのテストは後日受けることができたが、その点数は散々なもので、ほとんどが赤点となってしまった。
なので、その補習をかおるは受けている。
補習ではテストと似たような問題を、最終的に最低でも60点が超えないと合格とはならない。
それを、テスト後の放課後一週間勉強してから受ける。今週は、その勉強期間だ。
かおるは、時計の時刻を見た。
時刻は午後5時前、5時になれば補習が終わるので、後もうちょっとだ。
「おい!」
その声とともに、かおるは竹刀で頭を叩かれる。
「余所見しないで、プリントを解け!」
「はい!」
補習の間、その教室では監督官としての教師がいる。そして、今日の教師は学校で一番怖いといわれている榎本先生だった。
なぜか、彼はいつも竹刀を持ち歩いている。化学の先生なのに・・・。
キーンコーンカーンコーン
補習の終わりのチャイムがなる。
やっと終わった。
「おい! お前ら、来週からはテスト形式だからな。必ず、60点は超えるように、わかったか!!」
「はい!!」
補習を受けているのは全員で8人、その全員がまるで軍隊かのようないい返事をする。
かおるは帰り支度をして、教室から出た。
せっかくのハルカがいない間のゲーム時間が、この一週間パーだ。
それがかおるにとって、一番辛いものだった。
ハルカは、かおるが倒れている間、看病に付き添ってくれていて、勉強する時間なんてそんなになかったはずなのに、きっちりといい点数を取っていた。そのときに言われたのが
「普段からちゃんと勉強してれば苦労なんかしないわよ」
だった。ぐうの音もでなかった。
「ふー」
壮絶なあの日から、かおるは正子とあまり話をしていない。
一度、屋上に呼び出されてそこでお礼を言われた。多分、向こうも気を使っているのだろう。それからは特に接触してはきていない。といっても、学校で顔を合わせることはあるので、そのときは挨拶くらいはするが。
なんでも、あの日を境に宮内さんの中二病行動はなくなったらしい。
なぜなのかは、わからないが、何か本人にも思うところがあるのかもしれない。格好も包帯だらけではなくなっている。他の2人は変わりがないが・・・。
かおるが、校門を出ようとしたときに、後ろから話しかけられる。
「やあ、久しぶりだね」
「良太郎・・・」
良太郎は微笑む。
彼は今、制服を着ていた。それは、この学校ではなく、別の学校のものだった。
「ちょっと、話でもしない?」
- - - - - -
「二週間ぶりだね」
「もうそんなになるのか、なんか、時間がたつのが早いな」
「はは、何おじいちゃんみたいなこと言ってるんだよ」
場所は、学校近くのファミレスだ。
時刻は5時半、かおるは先ほどハルカに、遅くなるかもと連絡を入れておいた。返信は「死ね」だった。
「宮内家は、その後大丈夫なのか?」
「ああ、それなら、なんとかしているよ。まあ、いろいろとやることはあるから大変だけどね」
「そうか、それならよかった」
沈黙が起きる。
気まずい。
かおるの身としては、彼らとの関わりを拒否した身だ。向こうもそれを重々承知しているからの重い空気だ。
「その、体のほうは大丈夫?」
「ん?ああ」
おそらく、漆黒の力の行使によるダメージのことを言っているのだろう。なにせ、そう言ったのはかおるだ。
しかし、事実は違う。あれは、インフルによるもので、漆黒の力の行使によるダメージはほとんどなかったのだ。
後々わかったのは、漆黒の力を使っての弊害は免疫能力が低下するということで、病気に係りあやすくなるということだとわかった。その免疫の低下は、そこまでではなく。まあ、体調が悪いときくらいまでしか落ちないらしいというのが、ベルゴの結論だった。
まったく、体がどうのこうのと言ったのはベルゴのほうだ。変な心配を起こさせてくれてはた迷惑なやつだ。
といっても、この特別な状況は、この土地にいるときのみらしいが・・・。
「大丈夫だよ」
「そうなんだ。それはよかったね」
沈黙が続く。
2人は黙々と、運ばれてきたパフェを食べていた。
しかも、良太郎は食べるのが早く、もう二つ目に移っていた。いつのまに二つ目を頼んでいたのか疑問だが、頭が痛くならないのだろうか?
三つ目のパフェが終わるころに、良太郎が口を開いた。
「その・・・、今日君を呼んだのは他でもないんだ。頼む事がある」
来た。
「悪いけど、異能力関係なら、俺は協力できないよ? もう力は使えない。というか使わないほうがいいらしいから」
半分嘘である。使えなくはないが、できれば使わないほうがいいのは事実。
良太郎には悪いが、これは仕方がない。
ハルカを危険に巻き込まないようにするには、まず自分が危険に巻き込まれないようにしなければ・・・。
なので、力を使えない。と印象付けるほうがいい。できれば力を失ったことにしたいが、流石にそこまでは心が痛むのでできないが。
「それは、わかっているんだよ」
「じゃあ、なんの頼みなんだ?」
「その、お嬢さんのことで・・・」
「宮内さん?」
「うん、彼女の重大なことについての相談なんだ・・・・」
良太郎の顔は真剣だ。
「第二部開始だね。また、少し日常が始まるよ」
「蛇足にならないといいけどな」
「補習を受けている人には言われたくありません」(作者)
「なんだと!!」




