まさかの件について(仮)
「良太郎さん、竹市さん」
そういわれて2人が反応する。
「今から言う言葉を、宮内家当主の遺言として、お願いできるかしら」
2人が首肯する。
「宮内の人間は、本来から雷を使った一族なの。その力と己の力を使ってレヴィアタンは竜へと姿を変えることができた。だから、彼女がいなくなっても正子は力を使うことができます。それに、私の力・・・といっても大したものではないけど、それを付加するので、おそらく正子が宮内家の中で唯一、雷の力を行使できる人間として残ることになるでしょう。この子には残酷な話しかもしれないけど、将来はこの子が当主になり、この土地を治めなければならない。でも、まだ早い、だから、私が亡き後はかおるさん、あなたがこの土地の管轄理事補佐の役割についてくれないかしら? 当主は努が代理で務めて、将来正子がその役目に似合う存在になるまででいいの。それまで、正子の矛となって欲しい」
その言葉に、清、良太郎、竹市がかおるの反応をうかがう。
「申し訳ないですけど、物騒なのは勘弁です。それに、俺はもうこの力を使えない。体が持たないんです」
かおるは、申し訳なかった。
力を使えるなら、協力くらいは惜しまないつもりではあったが、ハルカのこともある。変にこの世界と関わりを持ってしまえば、彼女に迷惑が関わるかもしれない。だから、元から今回だけだと決めていた。
「そう」
「大丈夫です!」
竹市が言う。
「俺が、必ず、この土地の盾となります。成長して、この男よりも強くなります!」
「俺も、もっと精進します。情報戦では絶対に負けないようになります」
良太郎も言う。
清は2人を交互に見る。
「それなら、あなた達に宮内家のことは任せます。この後の後処理もお願いしますね。大変だろうけど、あなた達はまだ若い、未来がありますから、精進してください。それと、努は少し頭が固いところがありますから、彼の支えにもなってください。特に良太郎さん、あなたは貴重な存在です。これから大変だろうけど、負けないでね」
「はい」
その後、清は様々な人事についても、的確に指示をした。
流石、悪魔に意識を乗っ取られていたとはいえ、体の中から当主として長年、宮内家を見てきた人であるとの印象をかおるは受けた。
もしかしたら、レヴィアタンは優秀な当主であったのかもしれない。
「レヴィアタンとは、長い間一緒にいたから、彼女の力とともに行くというのも感慨深いものね。あの子、最後には自分の嫉妬に打ち勝つことができていたらいいのだけれど」
そこで清は人呼吸置く。
「それじゃ、かおるさん。お願いしても?」
「わかりました」
かおるは、清と正子の間に入る。
その3人を採り囲むようにして黒雷が現れる。
「行きますよ」
かおるが、清の体にふれ、正子にも触れる。その瞬間、大きな雷光に包まれる。
ー - - - - -
目が覚めると、そこが病院であることはすぎに認識できた。
部屋の中には四つのベッドがあり、その中の三つのベッドが使われている。
正子はゆっくりと体を起こす。
体中が痛かったが、なんとか体を起こすことができた。
「ふー」
長い夢を見ていた気がする。
何が悲しいような、怒りが込みあげてくるような長い夢。
そう、祖母がすべての黒幕であった。
そこでふと思う。
自分は死ぬ運命であったのではないか?
しかし、自分は生きている。
そして、この胸にある温かみ。
正子はそれですべてを悟った。
祖母が、本当の祖母がわたしを助けてくれた。
ということを・・・。
正子はゆっくりとベッドを降りる。
点滴をつけている台車を引いて、横のベッドえと向かう。そこには、篠原 としこがいた。そして、その隣には川瀬 たかこがいる。
2人とも無事でよかった。
ガラガラガラ
扉が開く。
「ああ、起きたんだねお嬢さん」
「はい」
「2人も無事だったんですね」
良太郎と、後ろについてきていた竹市は正子のベッドの横にある椅子に座る。
正子も自身のベッドに腰かけた。
「2人とも、実は氏宮病院の中のここ第二病棟で治療を受けていたみたいなんだ」
「そうだったんですね。あの、家のほうは大丈夫ですか?」
「ああ、それなら」
あの後、迷路に飛ばされていた四人の人間が戻ってきた。
その後、それぞれの後処理が行われることとなった。それは清の言葉を元に行われ、かなり迅速の行われた。
分家に対する対応は竹市 新之助が代表として行った。
そのことを、良太郎と竹市は、正子に説明した。
「そうなんですね。ご迷惑をかけました。」
正子が頭を下げる。
「いえいえい、大丈夫ですよ」
竹市があわてて言う。
「それにしても、もう、一週間もたったんですね」
「そうだね」
「その、かおるさんは、今は?」
正子はかおるに非常な選択を託してしまったことを申し訳なく思っていた。それを、できれば謝罪したかった。
「彼とは会ってないよ。あの後、彼は一人で帰っていったんだ。疲れたって言ってね。その後、俺らからは接触していない。あまり、関わらないほうがいいかなってね。向こうから来るまでは待ってようと思ってね」
「そう・・ですよね。それと、上野という人物も祖母、いやレヴィアタンが用意した人物なら、彼も事情を知っていたのでしょうか?」
「いや、よりリアリティを出すだめに、彼は本当にこの土地を奪う気でいたよ。だから、彼は何も知らない。逃げたみたいだけど、その後彼がどうなったのかわからなかった。彼には本当に申し訳ないことをしたよ。それに、あの漆黒の力の偽者もどう手に入れたのかわかなかった。レヴィアタンが作ったものではなく。誰かが上野に授けたのはわかっているんだけど、詳細はもう・・・、でも、もう大丈夫だと思うよ。彼もかおるに力を持っていかれちゃったしね」
「そうですね」
正子は窓から空を見上げた。
快晴のいい天気だった。
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「ごほ! ごほ! ごほ!」
「まだ、熱下がらないわね。もう体調悪いのにどっかほっつき歩くからよ」
「いや、後押ししたのハルカだよ」
場所は井上家
かおるは、現在高熱で苦しんでいた。これは、あの激しい戦いがあった日、家に帰ってきて倒れてしまい。それから続く高熱である。
(インフルエンザがまさか、こんなに辛いものだったとは)
かおるが、あの戦いのときに感じていた体の疲労は、力の行使による消耗のせいではなく。このインフルエンザのせいであった。
その証拠にかるが家に帰ってきたことにいは、体の半分にまで広がっていた紋様が今は、右手甲にまで納まっていた。
ベルゴが言うには、なんでも、この土地の霊脈だかなんかのおかげで、漆黒の力の行使による、体へのダメージが軽減されているらしい。
あの戦いでレヴィアタンが言っていた。彼女の体の限界はただの清の寿命のことであったそうだ。
といっても、ダメージがないわけではなく。
かおるは、あの戦いでのダメージによる。免疫低下で季節はずれのインフルエンザになったわけだ。
「ハルカあ、しんどい」
「もう、わかったから」
「ハルカあ」
「もう、うるさい!」
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「あらあら、レヴィアタンも残念だねえ、あんなインフルやろうにやれらるなんて、せっかく偽の黒炎を貸してあげたのにさあ、もっと有効活用しないとねえ」
そこには、フードをかぶった人物が、かおる達の様子を遠くの屋根から窓を通してみていた。
「今度は、どんなことを起こしてくれるのかな暗黒廠雲皓」
第一部 完
「やっと、更新でも第一部完だね!」
「長い道のりだった!」
「第二部も途切れずに始まりますのでよろしくお願いいたします! 第二部でも一旦落ち着いた話になります」




