力がわいてくる件について(仮)
「うらぁああああああああああああ!!」
「はああああああああああああああ!!」
二人の男の両拳が、お互いの顔面にヒットする。
「くっ!」
「ごほっ!」
二人の男は、その反動により、お互いに吹っ飛んだ。
一人の名は、稲垣かおる。
最愛の人物、井上ハルカを救うために、この土地の戦争を起こし、そして、今、その決着を着けようとしている。
彼の力は大罪の力、つまり人の罪を背負い戦っている。
そして、もう一方は、これまでの戦いのすべての元凶であり、最凶の神、天邪鬼。
彼は、自分の欲望のために、この土地の混乱をもたらし、井上ハルカの体を乗っ取った。
そして、今、彼も自分の尊厳を守るために、稲垣かおると対峙し、勝利を欲している。
「やるじゃないか・・・・、坊ちゃんのくせに・・・」
かおるの口からは血しぶきが流れていた。
力の差は歴然、最初はかおるの一方的な展開だったが、後に天邪鬼の一方的な展開となった。
しかし・・・・。
(どうなっている・・・・・・)
天邪鬼は混乱していた。
自分の力、神の力のほうがやつより完璧に上位なはず。
それを示すように、先ほどまでは、相手の攻撃は天邪鬼にはまるで効かなかったし、逆に天邪鬼の攻撃は、まるで子供と大人のように大ダメージを与えていた。
それなのに・・・。
天邪鬼は自分の顔に触れる。
そして、口の端にも触れた。
先ほどの攻撃で口の中が切れて、軽く血が出てきている。
ダメージの差でいえば、相手のほうが確かに大ダメージで、こちらは、それにくらべれば大したものではない。
だが、確実に天邪鬼にダメージを与えはじめていた。
(力が上昇しているというのか・・・・?)
「なんだよ。変な顔して・・・」
稲垣かおるは笑っている。
それが、天邪鬼にすればとても不吉なものだった。
早く決めてしまわなければ・・・。
今の状況は天邪鬼にそう思わせる。
「ふん!」
天邪鬼は全身に力をこめる。
「お遊びは終わりだ。一気に決めさせてもらう!」
「そう、あせるなよ」
「!!」
次の瞬間、天邪鬼は不意の攻撃を受ける。
顔面にかおるの拳を受けて、彼は横に吹っ飛んだ。
(いったい・・・何が・・・?)
天邪鬼は体制を整えて、稲垣かおるを見る。
彼は天邪鬼の近くに転位してきたわけではない。
それならば、天邪鬼がその気を感じ取れるはずだからだ。
いきなり目の前に現れた・・・。
ダメージはそれほどではないのはもちろんだったが、頭の中の混乱は膨らむ。
天邪鬼に不意の攻撃を成功させた、稲垣かおるは、そこから追撃を加えるわけでも、何かを言うわけでもなく、ぼうっと、精気をいきなり失ったような顔をしていた。
それが、また不気味に感じる。
「おっと、危ない危ない」
精気が戻った。
かおるは、苦笑いを浮かべる。
「この世界じゃ、すぐに副作用がきちゃうのか・・・、参ったな」
稲垣かおるは、そういうと、神に向かって手を向ける。
すると、そこから、魔弾が出現し、それが神を襲ってきた。
「そんなもの効かん!」
「それはどうかな?」
「何?」
魔弾、は天邪鬼の周りで爆発する。
その威力は今までの黒雷炎よりもすさまじく、天邪鬼の体を震わせた。
「くうううううう!!!!」
そして、周りが爆風により見えなくなる。
(煙幕のつもりか!)
先ほどの魔弾は、稲垣かおるが使える力ではないはずだ。という疑念は今は棚に置いておいて、天邪鬼はすぐに周りの煙幕を腕を横に振り吹き飛ばした。
「何?!」
だが、次の瞬間、目の前にかおるが現れる。
(気が読めなかった?)
そして、そのまま稲垣かおるの拳が天邪鬼の顔面を襲う。
「なめるな!!」
天邪鬼はかおるに、クロスカウンターを放つ。
二人の拳が交錯し、互いの顔面に突き刺さる。
「「うあおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」」
二人の周りを大きな衝撃波が包んだ。
そして大爆発が起きる。
****
「貴様にいったい何が起こったというんだ・・・・・」
爆発が終わり、天邪鬼とかおるはお互いの距離が五メートルという位置に立っていた。
「さあな。なんだか知らないけど、力がわいてくる」
「貴様はそんな力を使えなかったはずだ・・・」
かおるは、先ほどから、自身が今まで使ったことのない力を使っていた。
最初に天邪鬼に不意の攻撃を食らわした力は、上野の力である時間停止の力、それにより、相手の懐に飛び込んだ。
しかし、時間間隔が現実とは違うこの空間では、その副作用である。時間の加速が始まってしまった。
それは、辺りの景色が何倍もの速さで流れるというもので、それにより、かおるは精気の失った顔をしていた。
これは時間を停止させた時間だけ進む。
そして次に使ったのが、孝子やアリスの魔法、これに自身の力を付加したものだった。
その爆発から相手の懐にとびこんだときには、トシコの陰の力を使い、自身の気配を完全に消した。
「なんか、使い方が頭の中に入ってんだよ。みんなの力が自身の中に入ってくるみたいな感じだな」
「なんだと?」
「まあ、なんかわからにけど、今なら勝てる気しかしねえよ」
かおるは微笑んだ。
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。




