お坊ちゃんな件について(仮)
「うらあああぁあああ!!」
「効かん!」
かおるの拳が、天邪鬼の顔面にヒットする。
しかし、天邪鬼は顔色一つ変えない。
「ふん!!」
かおるの顔に天邪鬼からのクロシカウンターがぶち当たる。
「グぁっ!!」
かおるが軽く吹っ飛んだ。
この空間には壁がないために、どこまでもとどまることなく飛ぶ。
そして、100メートルは軽く吹っ飛んだと思われたところで漸く最高点に達し落下し始める。
「テレポート(転位)・・・・・」
かおるは、転位し、地面に背中からではなく足からゆっくりと着地する。
(いきなり、強くなりすぐだわー)
かおるは、自身のダメージをヒール(回復)により回復させた。
彼は、言魂の力を、口にしなくてもある程度使用できるようになっている。
だが、言葉にしたほうが精度がいいのは変わらない。
「どうだね? ここまでやれば、貴様のような、腐った脳みそでもやっと理解ができるだろう? 到底、自分の力では我に勝つことなど不可能なのだ」
天邪鬼がいやらしく微笑む。
「これが、神とだたの人間の差だ。例え、どれほど力を得ようとも人間が我らの域に達するなど不可能! ははははははははははは!!」
「はんっ!」
かおるは、相手の言葉を一笑する。
「典型的なやつだな。自分の地位に胡坐をかいて、ふんぞり返る。本当にしょうもないやつだな。天邪鬼!」
「何・・・・?」
「お前はただ、神という地位に誕生したに過ぎない。成り上がって神になったわけでも、神の中で努力したわけではない。ただ、自分の欲望を満たすためだけに自らの力を行使してるに過ぎない。ってことはだな・・・」
かおるはそこで息を吐き、吸った。
「ただのボンボンのお坊ちゃんと代わりないってことだよ! つまり、大したことねえってことだ!!」
指を突き出し、かおるは声高らかに言う。
これで、相手が怒りだそうが、切れだそうが何をしようが関係がない。
思ったことは言わせてもらう。
こんなところで我慢しても仕方がないし、それに、相手の全力をねじ伏せてこそ、本当の意味でハルカを取り戻すことができる。
「貴様・・・・・・・」
天邪鬼の眉間にしわがより、額に血管が浮き出る。
「はは! 怒るってことは図星だってことだろ? やってやるよ! 来いよ! ぼっちゃん!」
「貴様は殺す! そして、貴様の仲間もすべて殺す! 地獄で自らの愚かさを悔いるがいい!!」
「地獄に行くのはお前だ! 神が地獄に行くのかどうかはしらんけど、お前が地獄行きだ! ボケ!!」
2人のこぶしが、ぶつかり合う。
****
「ごふっ!」
かおるの体がはねる。
そして、口からは血が流れていた。
「かおるさん!」
「かおる!」
「かおるさん!」
正子、トシコ、孝子の3人が駆け寄る。
「大丈夫なんでしょうか?」
正子の懇願するような顔が、八つの枢要罪に訴えかける。
「こればっかりは信じるしかないね。多分、今、中で彼は天邪鬼と死闘を繰り広げているはずだよ。唯一神が天邪鬼の力を彼と対等にしたといっても、それは神と人を同じ土俵に上げただけ、自力の力は変わらない。今、彼は、あの江良昌樹と同等か、それ以上の敵と戦っている。そして、それに勝利することでしか、この子は助けることができない・・・・・・」
「そんな・・・」
正子とて、それくらいのことは理解している。
しかし、そういう言葉で出てくるほど、深刻な状況だった。
かおるの体は先ほどから急に、暴れ始めた、まるで、精神の中での戦闘による負傷が、現実世界にも反映するかのように、彼の体はぼろぼろとなっていく。
正子は、かおるの手を握った。
そして、トシコたちを見る。
「力を・・・、わたし達じゃ、何も力になれないかもしれないけど、力を送ろう!!」
「正子・・・、そう・・・だな。そうだ! かおるに力を送ろう!」
「はいですわ! わたくしたちは、彼に救われたんですもの! 力くらいどれほどでも送りましょう!」
正子はアリスも見る。
「そうね。私も救ってもらった身だもの・・・」
正子たちは、各々手を握り、自分の力をかおるに送る。
それが、意味があることなのかはわからない。だが、意味がると信じて行う。
何事も信じることに意味があるのだ。
異能力とはそういうものだ。
「なんかやってますよ。努さん、俺が天使相手にするんで、努さんもあっちいってもいいですよ」
「それなら、君が行ったほうがいいんじゃないか? 君は彼の補佐みたいな者だろう?」
「まあ、そうっすけど、なんか恥ずかしいじゃないっすか、野郎が野郎の手を握るとか」
上野は苦笑いする。
「そんなことないさ。友情だよ」
努が微笑む。
「友情ねえ・・・」
上野は炎で天使を焼く。
すると、後ろから新たな天使がやってきた。
それを努が吹き飛ばす。
「ほら、早く行かないと、出遅れるぞ?」
上野は恥ずかしそうに、頭の後ろをかく。
「・・・、仕方ないなあ、まったく世話のかかる大将だ」
上野はかおるに向かって走り出す。
「やばそうだったら、すぐに言ってください! すぐに戻ってきますから!」
努はそれに笑顔で返した。
彼は、辺りの天使をすぐに吹き飛ばす。
「ここまで見えていたのか? 良太郎君・・・」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。




