いきなりの登場な件について(仮)
「ふざけるな!」
天邪鬼の叫び声が響く。
神の顔、正確にはハルカの顔が、これまでの余裕を吹き飛ばし困惑の表情をしていた。
「神の力だぞ? それを人間ごときが・・・」
「霊脈の力は神のために力じゃない」
「何?」
かおるが、天邪鬼に右手を向ける。
「とりあえず・・・」
黒炎が天邪鬼に対して伸びて、神を拘束した。
「霊脈の本当の力は、神が人に対して恵みを与えるために作れられたものだ。それを勝手に解釈し直すな」
かおるの声は普段の彼の元と異なっていた。
それに、天邪鬼は驚きを隠せない。
「ま、まさか・・・、貴様は・・・」
かおるの体が発光する。
霊脈を移動させて、その力のほとんどお手中に収めたことによって、彼の力はある一定領域を突破した。
それにより、彼の体は巫女と同様の形態となる。
「ゆ、唯一神・・・・なのか・・・?」
かおるは天邪鬼のその声を聞いてにやっと笑った。
「そうだ。我は唯一神だ。随分と勝手なことをしたようだな。天邪鬼」
「そ、そそそそんな・・・・・!!!!!」
かおるにかかったのは、この世をすべる唯一の存在、唯一神だ。
「貴様は度が過ぎたようだな。天邪鬼・・・」
「唯一神が、ただの小さな土地のごたごたに出てくるというのか!! それは世界の秩序を乱す行為だぞ!!」
天邪鬼は精一杯の抵抗を見せる。
「自分を棚に上げて、よく言う・・・」
かおるの手が、天邪鬼の頭に触れた。
「我が出て来てたのは、多少この人間の力になってやろうと思っただけど、何、貴様ごときと直接戦おうとは思わん。我の目的は他にあるからな」
「な、なん・・だと?!」
「では、存分に戦え」
かおると、ハルカの体の両方が発光する。
そして、その光が辺りを盛大に包んだ。
******
「貴様の狙いはこれか・・・」
天邪鬼は今、完全にハルカから魂をはずされ、あるところにいる。
そして、そこには、天邪鬼以外にももう一人いた。
「お前の、本当の姿はそれか・・・」
相手は天邪鬼に微笑みかける。
「随分と、美男なんだな。俺はてっきりもっと醜いやつなのかと思ったぞ」
相手の名前は稲垣かおる。
そして、この場所は彼の精神体の中であった。
「我と直接対決で決着を決めるつもりか?」
「ははは」
それに、かおるは手を腰に当てて笑う。
「そうじゃねえと、こっちにお前をよこしたりしないだろ。まあ、まさか、唯一神が手助けしてくれるとは思ってなかったけどな」
唯一神が力を貸してくれたおかげで、かおるは自身の力を無理に使用することなく、つまり、力を温存して天邪鬼と対峙することができていた。
かおる達が、いや正確には唯一神が行ったことはこうだ。
霊脈起点である、ハルカの胸にあるそれを移動させ、完全にコントロールを奪う。
そして、その力を天邪鬼本体に集中するようにする。
そうすれば、天邪鬼の魂が強大になりすぎて、ハルカとの体と拒絶反応が起きる。
そうなれば、天邪鬼の魂は一旦彼女の体から出るよりほかはない。
そこで普通なら、神の魂は、それだけで存在が可能なので、無害になり自然の中にまた戻ることになるが、それでは、またハルカの体が狙われる可能性があるし、それに、彼女の本当の姿を取り戻さないといけない。
つまり、神の魂と、ハルカの魂が今融合してしまっている。
それを分裂さして、元の魂を彼女に返す。
それまでやって、やっと彼女を救ったことになるわけだ。
「本当は、巫女と同様の体となって俺の中にお前を入れるために、もっといろいろと面倒なことがあったんだがけど、それは全部唯一神が一足飛びでやってくれたみたいだな。やっぱり神様ってのはそうじゃないと、人の願いを聞き入れてもらわないとな」
天邪鬼の魂の姿は、綺麗な美男子であり、着ているものも上品な着物だった。髪は長く、それを後ろで結っている。
まるで、平安時代から出てきた安倍晴明のようだった。
「我から、どうやって、あの娘の魂を切り離すつもりだ?」
「それも、なんか、いろいろとやってくれたみたいで、とりあえず俺がお前をぶったおせばいいみたいだな」
「ならば、我はここで、貴様の魂をさらに喰ってやれば、あの唯一神から逃れる可能性があるということか」
「それは、まあ、どうなんだろうな? 正直、あの唯一神をこの身に宿した者としては、無理な気もしないことはないけど、でも、とりあえず俺とガチバトルする以外に、お前が生き残る道はないよ、多分」
「そうか」
天邪鬼は辺りを見渡した。
精神世界。
そこは、辺りがすべて白で覆われている。
一体どこからどこまでこの空間が広がっているのかもわからないし、どういう構造をしているのかも判断できない。
天邪鬼は自分の力を確認した。
本来の自分の力、庇護の力だ。
人を守り導くために力・・・。
(力までは奪わなかったみたいだな・・・)
つまり、唯一神は人間と戦い、敗北しろといっているわけだ。
それによって、天邪鬼の何かを変えたいのだろう。
すべての神のトップに君臨する最大の存在。
「くそったれが・・・・」
天邪鬼は言葉を吐き捨てた。
(いいだろう。やってやるではないか。だが、貴様の思い通りになどならん! こやつを倒し! 貴様も倒す!!)
「本当にいきなりの登場だね」
「俺もびっくりしたわー」
「作者何、考えてるんだろうね?」
「まあ、馬鹿だからほっとこう」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。




