見る影もない件について(仮)
「いい攻撃だったよ」
正子の全力の攻撃ではあったが、それは残念ながら、八つの枢要罪には通らなかった。
正子は後ろを確認する。
かおる達はなんとか、社の中に入ることができたようだった。
「あらら、彼を取り逃がしてしまった。これだと、私が後で怒られるよ。君達やってくれたね」
「ハルカさんの子供時代のお写真をこの間見ました。あなたそのものでしたよ。その顔をしたあなたにそんな口調で話されると不思議な感じがしますね」
正子は笑った。
小さな、それに可愛らしい少女を相手にしている現実が少しおかしかった。
しかし、その気持ちをすぐに落ち着ける。
「ですが、今回ばかりは容赦はしません! 本物の彼女を取り戻すためにも、あなたにはこの先には行かせない!」
「ふーん、そう。なら、私も本気でいくよ!」
「雷竜の衣!」
「全力生成!!」
雷を纏った正子と、全身にあらゆる武器と防具を纏った八つの枢要罪がぶつかる。
2人の攻防はお互いのぎりぎりと掠めていく。
「はああああ!!!」
正子が巨大な雷撃を八つの枢要罪に放った。
それを八つの枢要罪がかわす。
「俺の存在を忘れてもらっちゃこまるぜ」
八つの枢要罪は後ろにいるトシコに驚きの顔を向ける。
トシコの忍者としての特性、陰。それにより、トシコは気配を隠し、相手の隙ができるのを待っていた。
「忍術・火炎斬!!」
トシコの手から炎の剣が出現し、それを八つの枢要罪に向かって振りかざした。
「くっ!」
八つの枢要罪は体を捻り、トシコの攻撃をなんとかかわす。
「今だ!!」
そのときトシコが叫んだ。
「マジカル・イリュージョン!!」
その瞬間、辺りの景色が変わる。
八つの枢要罪は自分がいると思っていた場所よりも30メートルほど位置が違うことを認識した。
そして、その30メートルズレたところは孝子がいた場所だ。
「マジカル・マジカル・エクスプロージョン!!」
孝子の周囲に巨大な魔方陣ができる。
そしてその中心に八つの枢要罪がいる。
「全方位からの攻撃ならどうですわ?」
魔方陣が発光し、八つの枢要罪を包んで大爆発を起こした。
ドガアアアアアアーーーアアーアアアーアアアーアン!!!!!
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「着いたよ」
かおると竹市と、竹市に背負われた岡本が、社の中にある霊脈起点にたどり着いた。
その霊脈起点の中心に、岡本を下ろすようにかおるは指示する。
「よし、竹市君、それじゃあ、ここに結界を張ってくれ」
竹市はかおるの支持に従い、岡本と彼の周りの霊脈起点と思われる多きな魔方陣に結界を施す。
かおるは岡本の近くにいた。
「じゃあ、行くよ」
かおるは岡本の体に触れる。
今、かおるは八つの枢要罪との距離が近い。
つまり、漆黒の力を使うことはできない。今、彼は普通の人間ということだ。
八つの枢要罪の力を封じる範囲はおそらく半径500メートルほど、今現在江良さんがいる場所なら、彼女の力が及ぶ距離ではない。
「すべえの理の中に存在する善なる心よ。その姿を我に見せ、そして我の言を聞け、誰にも染まらぬその力、今我の手を持って、黒き魂の輝きを施さむ・・・・」
岡本の体が発光し、その中から一つの白く輝く塊が出てくる。
「それは?」
「天使の魂だ。これを解して霊脈起点を破壊する」
かおるはそういうと、その塊の中に手を突っ込んだ。
そして、その中をまさぐる。
「竹市君、この魂を結界で抑えてくれ」
「わかった」
結界が白い魂を拘束する。
「よし、それじゃあ、行くよ!」
かおるはその白い塊の中で何かを掴んだらしく、力を入れているようだった。
それに呼応するように、白い塊が膨張しようとしてくる。
竹市はそれを、結界で膨張しないように抑えていた。
「はあああああ!!!!!」
かおるの叫び声が響く。
そして、白い塊の膨張が途中で止まった。
「やったなのか?」
「うん、そうだね」
そういって、手を抜きだした腕は血だらけだった。
「お、おい!」
「霊脈起点を破壊したんだ。これくらいで済んだのは運がよかった。早いとこ、彼女から離れて治療しないとな」
霊脈起点は、時空間にある。
かおるは、その特別な時空間に対して、岡本の天使の魂を使うことで干渉して、その扉を開いた。
そのためには、もちろん力がいるわけだが、今の彼には力が使えない。
そのために、自身の周り結界で覆ってもらい、生身の人間として、それに干渉した。
それにより、拒絶反応を示した魂は爆発をしようとしたわけだ。
そして、中にある霊脈起点をかおるは握りつぶした。これにより、半数の霊脈起点を破壊することに成功、まず第一段階クリアというわけだ。
その代償として、今、かおるの腕はプレスにでもかけられたかのごとく、つぶれて、かつての腕の見る影もなかった。
「上野がいれば、彼にやってもらえたんだけどな。まあ仕方ないや」
かおるは脂汗を出しながら笑った。
「とりあえず。さっさと離れれば、力を取り戻してそれを直せるんだろ?」
かおるはうなずく。
「なら、さっさと行くぞ!」
竹市は、岡本を背負い。かおるに肩を貸しながら、その場から急いで走っていった。
「ボロボロだね」
「まあ、俺がんばってるよなあー」
「もっとがんばらないと」
「ええー」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。




