全力を最初から出す件について(仮)
「まさか、ぞろぞろとこれだけ増えるなんてね」
八つの枢要罪が微笑む。
正子が、かおるに振り向く。
「大丈夫ですか? かおるさん」
「うん、みんなのおかげで、大丈夫だよ」
それに、かおるは笑顔を返した。
「まったく、かおる! お前は馬鹿だぜ、全部最初から話してもらえればよかったのによお」
「そうですわよ! それでしたら、最初からわたくしたちは、あなたの力になりましたのに、といっても、わたくしは最初から、かおるさんを信じていたので、渋っていたのは、正子たちですけどね」
「おい! 孝子、てめえ、それは言わない約束だろ!」
かおるの前には今、正子、孝子、トシコに、さらに先ほどの攻撃を凌いだ防壁と、彼女達をここまで転移させてくれたアリスの五人が立っていた。
先ほどまで2人で多くの天使から逃げていたのが、いきなりの大所帯だ。
「まったく、危なかったぜ」
上野が笑った。
「一応、最後に聞くけど、本当にみんないいのか? 俺の我がままに付き合ってもらっても」
かおるが、最後の覚悟を確かめるために聞いた。
「ええ、大丈夫です。父から詳細を聞きましたし、宮内家の今後についても大丈夫ということなら、かおるさんの力となる他はありません」
迷いをぬぐいきれない正子の元にやってきたのは、彼女の父、宮内努だった。
彼は、今までの行動の真意を彼女に話した。
かおる捜索に関して不許可を出したり、彼女に対してきつく当たっていたのは、宮内家を常に監視している神をだますために演技であり、彼が最初から良太郎側、つまりかおる側であったこと、さらに、彼は清が亡くなったときに大罪としての力が目覚めたことなどをだ。
そして、戦争に関しても、宮内家の中で人間としてその自我と保ち、天使と成り果てていない人間については、全員がかおる側に付くことを宣言した。
それにより、正子の不安事項はなくなった。
「そうか、なら、ここは頼める?」
「もちろんです!」
「ああ、任せとけ!」
「やってみせますわ!」
3人の少女が力強い返事をする。
かおるは竹市のほうを見た。
「竹市君、君は俺と付いてきてくれ、君の防壁の力が霊脈を破壊する上で大事だ。上野とはここで別れないといけないからな」
「わかった。任せろ」
そして、今度は上野を見る。
「上野・・・」
「ああ、わかってる。とうとう江良と戦うときが来たって事だろ? あの八つの枢要罪の話だと、もうすでに前線に出てるらしいからな」
「ああ、だから、アリスさんにそこまで送ってもらってくれ、アリスさん、頼めますか?」
「もちろんよ。予想通り私の力は使えるみたいだからね」
アリスも、良太郎の眷属になった身、つまり、大罪悪魔から派生する力で自身の能力を取り戻した。
しかし、彼女が使う力自体は、大罪悪魔の力ではなく。純粋にアリスが手に入れた力だ。
だから、彼女はその力を他の眷属とは違い、使うことができるわけである。
「頼みます。後で、宮内さんたちの援護もよろしくおねがいします! じゃあ、みんな無事で!」
かおるは、走りだした。
八つの枢要罪が、かおるに向かって、無数の攻撃を仕掛ける。
「させるか!」
しかし、その攻撃を、かおるの隣を走る竹市が防壁で防ぐ。
防壁に攻撃が辺り、爆発音と、爆風が巻き起こる。
「まずは、防壁のやつからかな」
八つの枢要罪は、近接戦闘を仕掛けるために、かおるに向かって走り出した。
その動きは、常人を遥かに越える動きで、かおるはそれを見て、やはり、体にも何か細工をしているんだと理解した。
「させません!」
かおる前に、全身を雷で包んだ正子が割り込んでくる。
正子が、八つの枢要罪の雷撃を放つ。それを八つの枢要罪が、軽く体をスウェーしてかわし、正子との距離をとった。
「忍法・霰撃の術!」
距離をとり、加速してさらにかおるを追撃しようとした八つの枢要罪の上に、無数のクナイが降ってくる。
八つの枢要罪は、大きな大砲を手に生成し、クナイに向かって発射した。
爆発と共に空がクリアになり、周りにクナイが落ちる。
「マジカル・バースト!!」
しかし、休む間のなく、今度は孝子が、八つの枢要罪が2人を相手にしている間に溜め込んでいた魔力弾を、八つの枢要罪に向かって放ってくる。
「超生成!!」
八つの枢要罪は先ほどよりも巨大大砲を作り出し、それを孝子の攻撃に向かって発射する。
2つの巨大な攻撃がぶつかりあい、その場が大きな爆風に包まれ、視界がさえぎられた。
その中で、正子は目に雷撃をためて、八つの枢要罪の動きを観察する。
(動いていない)
それを確認すると、手を広げる。
「あらゆる災難を振りほどくための力を我に与えたまえ・・・・、雷撃の章・最終章! 雷撃墜砲!!」
正子に落雷が落ち、それを両手にためた手を相手に向ける。
そして、そこから巨大な雷撃が向かっていった。
「はああああああああ!!!!」
雷撃は辺りの地面を削り、風を起こして向かっていく。
「超絶生成!!」
それに気が付いた八つの枢要罪は、自身の周りに巨大な対ミサイル用の防壁を作り出す。
それに正子の攻撃が直撃した。
「いい戦いになってきたね」
「これから戦いが続くみたいだぞ」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。
「ほう」




