十年前の姿な件について(仮)
「大罪悪魔?」
宗孝がその言葉に反応する。
その言葉は宗孝は聞いたことがある。
宮内清も大罪悪魔であったという、うわさを聞いたことがある。
七つの大罪の悪魔をその身に宿した人間、その力は、すべての異能力の中でも最高位の力。
その力を手に入れた者は、その時代で必ず名を残すことができると聞いた。
その力を直接見るのは初めてかもしれない。
しかし、清と同様の圧力を感じたということは、彼女もそうであったということだろう。
「驚くのも無理はないね。私は最近目覚めたんだけどね」
「はあ・・・」
まさか、宮内家の人間が2人ともそうであったとは・・・。
しかし、その力を持ってしても敵の力は強大・・・。
「あの江良っていうのは、いったい、何なんですか?」
「すべての力を上回る存在、すべての勝利を約束された存在だ。聞いたことがあるだろう?」
「まさか・・・」
これも大罪悪魔と同様に聞いたことがある存在。
そして、それよりも幻の存在。
どの時代においても英雄となるべき存在。
物語においての主人公補正、それが現実世界で備わっている存在。
世界を救う救世主・・・。
「超えし者?!」
それに努がうなずく。
「そんな相手が本当にいたなんて」
江良さんは、こちらを見たまま、動かない。
その顔は、まるでこちらを観察しているようだった。
「まさか、ベルゼブブが出てくるとは考えてなかったわあ」
江良さんが、首をこりこりとして近づいてくる。
「怖気づいたかい?」
努が宗孝に振り向き、微笑む。
「まさか」
それに宗孝は笑みを返した。
こんなチャンスは二度とないだろう。
宗孝は本来、強者との戦いを望む性分だ。
川口家当主という看板を背負ってからは、その気持ちはできるだけ抑えてきた。
だが、こんな好機はないだろう。
(ここまで来たら、やってやる!)
<><><>
「ここが四つ目か・・・」
上野とかおるは石段を見上げた。
「なんで、石段の上に転移しなかったんだよ」
「座標をミスったわ」
「はあ・・・・・」
四つ目の霊脈起点は、この土地にある彦ノ神社にある。
そこは、200段以上の石段の上にある神社だ。
「お前、これ再転位してくれたりしないのか?」
「それをすると、それこそ場所がまたばれるからな。それは駄目だわ」
かおるは、上野に軽く言った。
上野はそれにため息を一つ漏らす。
「俺、こいつ背負って二百段は流石に死ぬわ」
「じゃあ、岡本は浮かせよう」
かおるが上野に背負われている、岡本に手をかざした。
すると、岡本の体が浮く。
「お前・・・、それ早くしてくれよ」
「いやまあ、・・・・ね」
「ね、じゃねえよ」
上野とかおるは、ゆっくりと石段を上がりだした。
「これさ、俺達も飛べば楽に行けるんじゃねえのか?」
「まあね。飛ぶ?」
「頼むわ。俺の流石にしんどい」
かおるは2人の体も浮かす。
そして、石段の上を軽々と上がっていった。
石段を上がりきると、そこに大きな神社の社が見えてきた。
2人は地面に降りる。
「あそこの中か」
「中にある神棚のところに、隠し扉があって、そこをあけるとその中にあるみたいだ」
かおるは顔をしかめながら言った。
自身の中にある良太郎の記憶から、その情報を呼び覚ます。
「これで、やっと半分だな」
霊脈起点を四つ破壊する。つまり七つのうち、半数以上を潰すことで、江良昌樹を英雄から引きずり下ろすことができる。
それでも、圧倒的力を彼は持っているが、それにより対抗することが、少なくともできるようになる。
まずは、これが、神殺しのために必要な第一段階だ。
「それは困るな」
そのとき、社の中から巫女の格好をした少女が出てくる。
その少女に、かおるは見覚えがあった。
「江良昌樹は、天邪鬼の最大の矛であり盾だ。その力を半減させられるということは、やつにとってはそれはもう大被害だよ」
「君とは、久しぶりだね」
かおるは微笑む。
相手の顔は初めて見た。
これまで、相手はフードを眼深にかぶり、顔を見せては来なかった。
それにしても、こうしてみると、懐かしさが湧き出てくるのは、人の性だろう。
「久しぶりだね。かおる・・・」
その顔、声、すべてがあの頃のままの姿だ。
本当に神は、ひどいことをする。
そこにいたのは、彦山に飛行機が墜落したときの、井上ハルカの姿・・・。
つまり、六才の頃の彼女の姿だ。
小さな、体にパッチリとした目、7月に見た夢で出てきた彼女と同じ姿だ。
「君は、ハルカなのかい?」
「そうではあるし、そうではない。それが真実だね」
「難しいことを言うね」
「私は、確かに、十年前のときの井上ハルカの体と、その精神だよ。でもそれは君が知っている井上ハルカとは、この十年でまるで変わってしまった。だから、どうなんだろうね?」
彼女は微笑む。
天邪鬼は、事故があったときに、ハルカからその精神と体を複製した。
そして、それにあるものを付加したのだ。
こういうときに、かおるに対しての脅威とするために・・・。
「君が出てきたということは、江良さんも前線に出ているってことだね」
子供ハルカは笑顔を向けてきた。
「さぞ、かわいい姿なんだろうね」
「そうだな」
「うわあ、かおるロリ好きなんだ」
「やめろ!」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。




