一方では忙しく、一方では暇な件について(仮)
「戦争開始時間になりました」
高岡が、川口宗孝にそう告げた。
「よし、では行くか」
宗孝は宮内家所有の土地の西にて、自らの部隊を待機させていた。
彼はその部隊の先頭に立つ。
「よし! 皆のもの!! ようやく戦争の時間だ。この中に本当の戦争を体験したものはいないだろう! それは私も同じだ。誰もが初体験の戦場だ! だが、川口家の中にそんなことで臆するものがいないことは私は知っている。勇敢に戦え! そして最後まで戦え! それが私からの最後の言葉だ! では、行くぞ!!」
宗孝は、宮内家の土地に向かって手に持っている旗を振った。
それと同時に、川口家からの一斉攻撃が土地の結界に降り注ぐ。
最初こそ、耐えていたその結界も、序所にダメージが蓄積されていき、薄くなっていく。
「後、もう少しだ!!」
宗孝が叫ぶ。
結界は宮内正子が中心となって張っているものだ。
だが、もし計画が上手く行き。彼女がこちら側についていたとしたら、結界は通常よりも薄くなっているはず。
そして、この攻撃はすべての隣接している土地からも行われている。
つまり、結界がダメージを受けて薄くなると、他のところの結界がカバーに入ろうとする。
ということはどこかが大きなダメージを与えることができれば、すべての場所で結界が弱まるということだ。
高岡はその様子を、後方から見ていた。
彼の能力は付加魔法に属する能力。
彼個人の力は残念ながら普通の人間とそんなに代わりはない。
宗孝は意外にも前線で指揮を執っている。
彼は後方から指示を出すタイプだと思っていたので意外である。
極道の世界だからこその光景なのかもしれないな。と高岡は思った。
一方、東に位置する場所にいる木藤家でも同様に攻撃がなされていた。
こちらの当主である木藤茂正は後方から指示を出していた。
といっても、こちらは生身の人間が攻撃をしているわけではない。
木藤家は人形を作り出す一族。
そして、その人形を榎本の力で戦闘向けに改良した。
つまり、今結界を攻撃している者は人間ではなく。すべて人形。
そして、それを後ろから操っているのが木藤家の人間ということになる。
榎本はそれを木藤茂正の隣で見ていた。
「かなり削られてきましたね」
榎本が茂正に言う。
彼も数十体の人形を今、駆使している。
「おそらく川口家がかなりダメージを与えてくれているんでしょうね。あそこは物騒だから」
茂正は苦笑いしながらいった。
人形を操るためには、細く細かい魔法糸を使わないといけない。
これは誰でも扱えるものではなく。
木藤家の血筋でなければ操ることは困難だ。
通常ではそれを人形から、遠くても200メートルほどの距離までしか伸ばすことができないのだが、榎本の電気信号系の改良により、その距離は飛躍的に伸びた。
人形にケーブル方の魔法糸を接続するアダプターをつけることによって、単純な距離を伸ばすとともに、移動距離が長くなるたびに、それをさらに繋げる電波基地的なものをおくことで、さらにそれを伸ばすことができるようになった。
つまり、魔法糸をいくつも繋げることをしているわけだ。
榎本は自身の周りを見る。
全員が、小さな空間の中に入り、人形から送られてくる映像を見ながら操作している。
榎本はそれを見て、まるでコックピットでロボットを操縦しているみたいだなと思った。
「もうすぐだ!」
そのとき、結界が崩壊した。
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「結界が崩壊したみたいね」
隠れ家にて杉村がそういった。
「そうみたいですね」
「さてと、私達の出番はまだかな」
「出番楽しみにしてるんですか?」
「そんなわけないじゃないわ。ただ、ここでじっとしているのも暇だなあってね」
「はは、確かに」
場所は、かおるたちの隠れ家。
杉村と中田はそこで、かおるが転位するのを見届けてからは、各土地との連絡係としてそこで待機をしていた。
彼らはそのための人員だ。
戦闘要員としての力がそこまでない彼らは、戦場に出ることはしない。
「結界が破られたってことは、もうすぐ天使との戦闘が始まるってことよね」
「そうでしょうね。でも天使ってどんな感じなんですかね?」
「それは羽と、頭の上のリングがあるんじゃないの?」
「そんなやつらとは戦いたくないもんですね」
結界を破って所定に位置まで行けば、それぞれから連絡が入る流れなので、それまでは二人とも暇ということになるわけだ。
「天使は手ごわいわよ」
そのとき、通信室に、アリスが入ってきた。
「あら、もう終わったの?」
「ええ」
「宮内さんたちはどうするんですか?」
中田がアリスに聞く。
それにアリスは微笑んだ。
「あの人が来たから、少し混乱してたけどね。今話し合ってるから多分大丈夫よ。時間には間に合うと思うわ。私もそろそろ気合入れとかないといけないわね」
「アリスさんはやつと対峙しても力が使えるかもしれないんでしたっけ?」
「ええ、私が良太郎から授かった力は、元の力が戻る力。つまり、今の私は本来の力を使っているにすぎないから、漆黒の力を媒介に使っているわけじゃないからね。おそらく大丈夫よ」
「忙しいのは嫌だなあ」
「これ、作者ちゃんと、状況把握して書いてるのかな?」
「そんなわけあるわけないじゃん」
「え!?」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。




