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【変身ヒロイン×アイドル】煌坂★パステリズム(煌戦隊★キラリンジャー) 修行譚  作者: おおたこ
第2章

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17/26

第17話:新曲披露! 狙われた晴れ舞台と私たちの絆!

【アバン】


「――よし! 赤点回避のギリギリ答案用紙も過去の話! 今日はいよいよ、私たちの『新曲発表お披露目ライブ』だよーーーっ!」


鏡の前で、パステルピンクとシルバーの新しい衣装を広げながら、咲が跳ねるように叫んだ。

金髪のポニーテールがぶんぶんと揺れて、キラキラしたラメのリボンが踊っている。


「咲、着替えながら跳ねないで。生地が突っ張って縫い目が痛みます」

葵が呆れ顔で注意しつつも、自分の新しい衣装……鮮やかなパステルブルーのジャケットの袖口を、少し照れくさそうに整えていた。


「だってさぁ! 16話であんな地獄のテスト合宿を乗り越えたんだよ!? 36点で踏みとどまったんだよ!? 叫びたくもなるってば〜!」

「自慢できる点数ではありませんが……まあ、こうして全員でステージの裏に立てていること自体は、評価すべきですね」


「ふふ、新しい衣装、すごく可愛い……! 胸元のリボン、五人の属性カラーになってるんだね」

桃が桃色のスカートの裾をふわりと広げて、姿見の前でくるりと回る。

「へっ、フリフリすぎてちょっと落ち着かねぇけど……踊りやすさは抜群だな」

翠が緑色のショートジャケットの襟を正しながら、不敵に口元を上げた。


私――煌坂茜は、手元の【炎】の属性キーをそっと撫でてから、新品の赤地の衣装に腕を通した。


地獄のフィジカル特訓、山奥合宿、生放送の失態、数千のカゲノコ軍団との死闘、そしてテストの赤点危機。

いろいろありすぎた。泥を啜って、白目むいて笑われて、全員でボロボロになって。

だけど、そのたびに手を取り合って立ち上がってきたからこそ、今、この胸の中に溢れている熱さは本物だって胸を張れる。


「みんな、準備できた?」


私が振り返ると、四人が最高の笑顔で頷いた。


「今日の新曲『キラメキ・リコネクト』……客席のみんなに、私たちの最高の煌めきを届けよう!」


「「「「「おーっ!!」」」」」


円陣を組んで手を重ね合わせた、その直後だった。


パイプ椅子に座ってノートパソコンを開いていた葵の顔から、すっと血の気が引いた。


「……葵ちゃん? どうしたの?」

桃が不安そうに覗き込む。


葵はメガネのブリッジを押し上げ、冷たいレンズの奥で画面を見つめたまま、重い声を漏らした。


「……前言撤回です。浮かれている場合ではありません」

画面には、ライブ会場である『横浜ベイエリア・グランホール』の全体構造図と、赤く点滅する禍々しい波形が表示されていた。


「会場内部および舞台裏の数箇所に……これまでのカゲノコとは異なる、不吉な『空間歪み』の反応を検知しました。……怪しい影が、ホール内に潜入しています」


---


【Aパート】


「怪しい影……!? また敵が来たの!?」

咲が思わず声を張り上げ、自分の口を両手で塞いだ。


「静かに。楽屋の外にはスタッフや観客がいます」

葵が低い声で制する。

「反応は微弱ですが、確実に存在しています。カゲノコ軍団の残党か、あるいは……先日私たちを一撃で倒した『あの男』と同種の、別の侵略者か」


「ええっ……またライブ中に邪魔されちゃうの……!?」

桃が両手を胸の前でギュッと握りしめ、顔を曇らせる。「せっかく……みんなで新しい衣装を着て、新曲を歌える晴れ舞台なのに……」


「……チェッ。どこの馬骨だか知らねぇが、間が悪いんだよ」

翠が木刀を模したダンス用小道具を肩に担ぎ、ギラリと眼光を鋭くした。

「せっかくの晴れ舞台に泥塗ろうとしてんじゃねぇよ。邪魔者は即撃破だ。私たちのステージ、指一本触れさせねぇ!」


「翠の言う通りだよ!」

茜は四人の顔をまっすぐ見つめた。

「避難誘導の準備は葵に任せる。でも……ライブは絶対に中止にしない! 最高の新曲と、最高のパフォーマンスで客席を熱狂させて、襲ってくる影なんて全部吹き飛ばしてやる!」


「……了解です。安全確保のプログラムをバックグラウンドで走らせつつ、ステージに上がります」

葵がニヤリと口元を上げた。


◇


一方、舞台袖の暗がり。


モニター群の前で腕を組み、静かに会場の監視カメラ映像を見つめる女性がいた。

白いパンツスーツに身を包んだ月城玲奈。

その両脇には、愛咲美玲、火ノ宮紅葉、雷咲ひかり、美咲あき、天照陽菜――ステラプリズムの面々が密かに控えていた。


「玲奈さん……あの子たちの晴れ舞台に、嫌な影が侵入しているみたいですね」

美玲が心配そうに囁く。


「ええ。前回の『真の敵』の出現以降、異界との境界が不安定になっています。奴らは、パステリズムの引き出す【5つの属性キー】の共鳴エネルギーを狙って集まってきている」

玲奈の声はどこまでも冷徹だったが、その手元のバインダーを握る指先には、かすかな力がこもっていた。


「玲奈、アタシたちが出撃して、客席に紛れてる影を片っ端から潰してくるか?」

ひかりが拳をボキボキと鳴らす。


「いいえ。必要ありません」

玲奈は即座に却下した。


「彼女たちはもう、守られるだけのヒロインではありません。日常のステージを守り抜きながら、襲いかかる影を叩き潰す……それくらいの芸当、今のパステリズムならやってのけます。……あき、陽菜、万が一の際の劇場バリアの展開準備だけをしておきなさい」


「了解です」あきがタブレットを操作する。

「ふふ、信じてあげましょう。あの子たちの新しい輝きを」陽菜が優しく微笑んだ。


玲奈はチラリと舞台袖の幕の隙間から、ステージ中央へ歩み出ていく五人の背中を見つめた。


「……見せてみなさい、キラリンジャー。あなたたちの絆が、いかなる影をも照らし出すことを」


---


【Bパート】


『――お待たせしました! 煌坂★パステリズム、新曲発表ライブ……スタートです!!』


アナウンスとともに、雷鳴のような歓声がホール全体を揺らした。


暗転していたステージに、眩いスポットライトが照射される。

パステルカラーの新衣装に身を包んだ私たちが立ち並ぶと、客席を埋め尽くした数千人のファンから「きゃあぁぁぁっ!」「パステリズムーーっ!」と絶叫が上がった。


『輝け! 繋がる未来へ〜♪ 僕らの光で、世界を叩き開け!!』


新曲『キラメキ・リコネクト』のイントロが鳴り響く!

アップテンポで疾走感のある重低音。私たちは一瞬で笑顔を作り、完璧なフォーメーションで踊り出した。


(すごい……! お客さんの熱気が、直接皮膚に伝わってくる……!)


咲が中央で弾けるような笑顔で跳躍し、桃が可憐なウインクを飛ばし、葵と翠が寸分狂わぬキレでシンクロダンスを披露する。


だが――曲が二番に入り、サビへと差し掛かった、まさにその時だった。


ガタガタガタッ!


天井の照明キャットウォーク、そして客席の左右の暗がりから、不気味な黒い蒸気が立ち上った。


「キシャアァァァァッ!」


姿を現したのは、黒いタイツのような皮膚に赤い目を光らせた『カゲノコ』数十体。

さらに、その中央から現れたのは、巨大なカマキリのような鎌を両腕に持った、新たな影の刺客『カゲノコ・コマンダー』!


「うわっ!? 客席にバケモノが!?」

「演出……? いや、本物だぞ!?」


客席が一瞬で騒然となりかける。


「させない!!」


歌いながら、私はマイク越しに叫んだ。


「みんなー! 今日は特別に、客席参加型の『インタラクティブ・ヒーローショー』演出だよー! 席を立たないで、そのままペンライトを振って応援してねー!!」


咲が即座に言葉を繋ぐ!

「演出だから安心してね〜! 私たちの超絶アクション、特等席で楽しんじゃって〜!」


一瞬の判断。

パニックになりかけた観客が「えっ!? 演出なの!?」「すげぇ、超リアル!」と歓声に変えてペンライトを強く振り始めた。


「葵、フォーメーション・バリア!」

「了解! 新曲のダンスステップBに移行!」


葵の指示で、五人が円陣を描くように踊りながら、衣装の下のチェンジャーを素早く起動させる!


カチリッ!


【炎】【水】【雷】【花】【風】の五つの属性キーが、衣装の隙間から眩い光を放った!


「新・煌変(しん・こうへん)!!」


歌の決めポーズと完全に同期させて、私たちはステージ上で『キラリンジャー』へと華麗に変身(セットアップ)してみせた!


「うおぉぉぉっ!? 衣装が一瞬でヒーロースーツに変わった!?」「どんな仕掛けだよ、神演出すぎる!!」


客席から割れんばかりの拍手が湧き起こる!


「来いよ影の虫ケラども!」

グリーン(翠)がダンスの回転運動のまま、襲いかかってきたカゲノコ・コマンダーの鎌を、木刀小道具でガツンと受け止めた!

「私たちの晴れ舞台に……土足で踏み込んでんじゃねぇよ!」


「咲、桃! Cブロックの影を誘導して!」

「ラジャーッ! 笑顔で撃破〜っ!」

イエロー(咲)がハイフリップで客席上空を舞い、そのままカゲノコを蹴り飛ばす!


ピンク(桃)が花のバリア『キラリンシールド』を展開し、観客へ飛ばされた攻撃をすべて完璧に遮断!

「みんなの応援が、私のパワーだよっ★」


「計算通り……すべての影をステージ中央へ追い込みました!」

ブルー(葵)が水流の矢を放ち、敵の足止めを完了させる。


完璧だ。

踊りながら、歌いながら、観客を笑顔にしながら、影を追い詰めていく。

これが、私たちが泥を啜って掴み取った『アイドル×戦隊』の本当の力!


---


【Cパート】


舞台袖。


画面を見つめていた火ノ宮紅葉が、感心したように口元を緩めた。

「……へっ。大したもんだ。観客をパニックにさせず、ライブの演出として昇華させながら敵を追い詰めてやがる」


「ダンスの振り付けの中に、完璧に格闘術とバリア展開が組み込まれていますね」あきがタブレットの数値をみつめながら呟く。「同調率は安定して130%をキープ。……見事です」


「あの子たち、本当に強くなったね……!」美玲が涙ぐみながら笑う。


月城玲奈は、胸の前で腕を組み、静かにステージの中央を見つめていた。

その銀色の瞳に、強い誇りが宿っている。


「……トドメを刺しなさい、キラリンジャー」


◇


ステージ中央。


追い詰められた『カゲノコ・コマンダー』が、焦りの悲鳴を上げた。

「キシャアァァッ!? な、なんだこの娘どもは!? アイドルなのか、戦士なのか!?」


「私たちは……どちらでもある!」


レッド(茜)が『キラリンセイバー』を構え、四人と背中を合わせた。


新曲『キラメキ・リコネクト』のラストサビが、ホール全体に響き渡る。

客席から振られる、赤、青、黄、ピンク、緑の数千のペンライトの光。

その光が、声援が、私たちのエネルギーとなって、チェンジャーの属性キーへと集束していく!


「みんなの笑顔が……私たちの力だ!!」


五人の武器が重なり合い、巨大な五色の光の輪が描かれる!


「必殺・煌連撃(こうれんげき)……!!」


「「「「「キラリン・リコネクト・スラッシューーーッ!!!!」」」」」


轟音!!


五色の光の刃が、ステージ中央のカゲノコ・コマンダーと無数の影を一瞬で一網打尽に引き裂いた!


ドガアァァァンッ!!


華やかな光の演出のような爆発とともに、影の刺客たちは消滅し、ホール全体にキラキラとした光の紙吹雪が舞い散った。


『――繋がる未来へ! 輝け、キラリンジャー!!』


曲のラストフレーズとともに、私たちは完璧なキメポーズを決めた。


静寂。


そして――。


「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!! パステリズム!! キラリンジャー!!!」」」」」


割れんばかりの歓声と拍手が、ホール全体を揺らした。観客全員が総立ちになって、私たちに向かって手を振っている。誰一人、怪人の侵入に気づくことなく、最高のエンターテインメントとして熱狂していたのだ。


---


【エピローグ】


ライブ終了後、楽屋。


「やった……やったよぉぉぉっ!」

咲がソファに倒れ込みながら大号泣していた。「新曲大成功だよ〜! アクションもバッチリ決まったよ〜!」


「ふぅ……心臓が口から飛び出るかと思いました……」桃も安堵の息を漏らし、お茶をゴクゴクと飲む。

「観客の満足度、99.8%。SNSでの反響も『演出が神がかっている』と絶賛の嵐です」葵が画面を見ながら満足そうに頷く。

「へっ……ざまあみやがれってんだ。私たちの晴れ舞台、邪魔できると思うなよ」翠が不敵に笑う。


そこへ、ドアが静かに開いた。


入ってきたのは、月城玲奈さんとステラプリズムの先輩たちだった。


「玲奈さん! 先輩たち!」私は立ち上がった。


玲奈さんは、手元のバインダーを静かに閉じると、私たち五人を順番に見つめた。


「……見事なステージでした」


玲奈さんの口から、温かい言葉がこぼれた。


「観客の笑顔を守り抜き、自分たちのパフォーマンスを一切崩さずに影を退けた。……あなたたちは今日、本当の意味で『現役AIアイドルがスーパー戦隊に出演したら?』というコンセプトの完全形を見せてくれました」


美玲さんも、紅葉さんも、ひかりさんも、あきさんも、陽菜さんも、温かい拍手を送ってくれた。


「完璧だったよ、茜ちゃん!」美玲さんが優しく抱きしめてくれる。


「合格です、パステリズム」玲奈さんがフッと微笑んだ。「ですが……これで終わりではありませんよ。あなたたちの輝きに惹かれて、これからさらに強力な敵が集まってくるでしょう。日常を守りながら戦う準備を、怠らないようにしなさい」


「「「「「はいっ!!」」」」」


五人の元気な返事が楽屋に響いた。


新衣装を身に纏い、手を取り合う私たち。

どんな影が迫ってこようと、どんな試練が待ち受けていようと。

この五人と、大好きな先輩たちがいれば、私たちはどこまでだって輝いていける。


輝け、キラリンジャー! 私たちの本当の物語は、ここからどこまでも続いていくんだ!


---


【次回予告】


茜「新曲ライブも大成功して、ますます勢いに乗る私たち!」

咲「でも……次に待っていたのは、まさかの『一日警察署長』のお仕事!?」

葵「制服を着用しての防犯キャンペーンですが……そこに本物の強盗団が紛れ込みました!」

桃「ええっ!? アイドルの制服のまま戦うの……!?」

翠「警察のメンツも、私たちの威厳も、両方守ってやるよ!」

茜「歌って踊って、一日警察署長としても大暴れ!? 輝け、キラリンジャー!」


次回、煌戦隊★キラリンジャー 修行譚 第18話:

『一日警察署長!? 狙われた事件と乙女のプライド!』


燃え上がれ、勇気の煌き★!

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