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【変身ヒロイン×アイドル】煌坂★パステリズム(煌戦隊★キラリンジャー) 修行譚  作者: おおたこ
第2章

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第14話:奇跡のその先へ! 試される真の煌めき


【アバン】


キュッ、とスニーカーがリノリウムの床を擦る音が、静かなレッスンスタジオに響き渡った。


「ワン、ツー、スリー、フォー! はい、そこでターン! 咲、腕の角度が少し落ちてる! 翠、着地の重心をもっと下へ!」

「ひぃぃっ! わ、分かってるってばぁ!」


滝のような汗が顎から滴り落ちて、床に小さな水たまりを作っている。

息を吸うたびに肺が熱くて、ふくらはぎの筋肉がピクピクと悲鳴を上げていた。

あの大規模な空間歪みと、街を埋め尽くすようなカゲノコの軍団、そして絶望的な強さを持った『真の敵』との死闘から、数日が経っていた。


泥まみれになって、一度は変身すら剥ぎ取られて、全員で死を覚悟したあの日。

私たちは泥の中からもう一度手を繋ぎ直して、奇跡みたいな光を掴み取った。


でも、奇跡を起こして世界を救ったからといって、私たちの日常が劇的に変わるわけじゃない。

「ヒーローとしての強さを取り戻したなら、アイドルとしての輝きも取り戻しなさい」という月城玲奈さんの容赦ない宣言通り、私たちは翌日から地獄のダンスレッスンと新曲の振り入れに忙殺されていた。


「はい、ストップ。そこまで」


インストラクターの声がかかった瞬間、咲が「死ぬぅ……」と床に大の字になって倒れ込んだ。桃も膝に手をついて、肩で大きく息をしている。


「……ハァ……ハァ……っ」


私はタオルで顔を拭いながら、自分の左腕を見た。

そこには、あの死闘の中で再び色を取り戻した『キラリンチェンジャー』が巻かれている。

コアに嵌まった【炎】のエンブレムは、今は静かに、チカチカと控えめな赤い光を放っているだけだ。


あの時、胸の奥から湧き上がってきた、世界を焼き尽くすんじゃないかっていうくらいの爆発的な熱量。

五人の命が一つに溶け合うような、あの絶対的な同調(シンクロ)。


(あの感覚……本当に私たちがやったんだよね?)


ふと、そんな疑問が頭をよぎる。

強くなった。絆は本物になった。そう信じているけれど、心のどこかで「あれは火事場の馬鹿力だったんじゃないか」「もう一度あんな風に光れるのかな」っていう、小さな不安が棘のように刺さっていた。


「茜」


不意に、翠がスポーツドリンクのボトルを投げてよこした。

パシッと受け取ると、翠は首にタオルを巻きながら、私の左腕をチラリと見た。


「……何ビビってんだよ。あの光は、間違いなく私たちが自力で引きずり出したもんだろ」

「翠……うん、そうだね。分かってるんだけどさ」

「データ上も、あの時の私たちの同調率は200%を突破していました」

壁際でタブレットを開いていた葵が、眼鏡のブリッジを押し上げながら合流してきた。「ですが、茜の懸念も理解できます。極限状態での一時的なバフ(強化)効果。あれを平常時から引き出せなければ、私たちは『安定した戦力』とは呼べません」


「うぅ〜……安定とか言われてもさぁ、あんな死にそうな思い、もう二度としたくないよ〜」

咲が床をごろごろと転がりながら泣き言を言う。

「だよね……。できれば、平和に歌って踊るだけのアイドルになりたいですぅ……」

桃も同意するように、咲の横にぺたんと座り込んだ。


私たちが、ほんの少しだけ緩んだ空気を共有していた、その時だった。


カツン、カツン。


スタジオのドアが開き、あの冷徹で、だけど誰よりも頼りになる足音が響いた。


「随分と平和ボケしているようですね、パステリズム」


入り口に立っていたのは、白いパンツスーツを完璧に着こなした月城玲奈さんだった。

そしてその後ろには、愛咲美玲さん、火ノ宮紅葉さん、雷咲ひかりさん、美咲あきさん、天照陽菜さん――ステラプリズムの先輩たちが、全員揃って冷ややかな視線を私たちに向けていた。


---


【Aパート】


「れ、玲奈さん……! 先輩たちも、どうして……?」


私が慌てて背筋を伸ばすと、床に転がっていた咲もバネ仕掛けのおもちゃみたいに跳ね起きた。


玲奈さんは無言のまま、手元のタブレットを操作し、その画面を私たちに向けた。

そこに表示されていたのは、事務的で冷たいフォントで書かれた「ステラセイヴァーズ × キラリンジャー育成計画」 というファイル名のドキュメントだった。


「……育成計画?」

葵が目を細めてその文字を読み上げる。


「ええ。あなたたちは先日、見事に絶望の淵から這い上がり、奇跡的な光を放って敵を退けました。プロデューサーとして、その成長は評価します」

玲奈さんの声は、褒めているはずなのに、どこか刃物のように鋭かった。


「ですが……『奇跡』などという不確かなものを戦術に組み込むほど、私は甘くありません」


玲奈さんがタブレットを閉じると、隣にいた紅葉さんが腕を組んで、鼻でふっと笑った。


「要するにだ。お前らがあの時出したフルパワーが、ただの『死に物狂いのマグレ』だったのか、それとも『本物の実力』として定着したのか……アタシたちが直々に確かめてやるってことだ」


「た、確かめるって……まさか……」桃が一歩後ずさりする。


「そのまさかだよっ!」

ひかりさんがニッと八重歯を見せて笑い、拳をボキボキと鳴らした。

「アタシたちステラセイヴァーズと、お前たちキラリンジャーの、ガチの模擬戦(スパーリング)だ。手加減なんか一切しねぇからな!」


空気が、一瞬で凍りついた。


あの絶望的な敵を前にしても、最後まで圧倒的な美しさと強さを誇っていた先輩たち。

私たちが奇跡を起こして勝てたのも、先輩たちが限界まで敵の体力を削ってくれていたからだ。

その『本物』たちと、私たちが戦う?


「……無茶苦茶です」

葵が血の気を引かせた顔で呟いた。

「ステラセイヴァーズの皆さんと私たちでは、基礎スペックも戦闘経験値も雲泥の差です。勝率など計算するまでもありません」


「勝てと言っているわけではありません」

あきさんが、手元のデータ端末から目を離さずに淡々と告げた。

「制限時間は十五分。その間に、あなたたちの『同調率100%以上の連携』を再現し、私たちから『有効打を一本』奪うこと。……それができなければ、あなたたちの先日の勝利はただの運。戦隊としての活動は無期限凍結とし、バックダンサーからやり直してもらいます」


「無期限凍結!?」咲が悲鳴を上げる。


「そういうこと。……逃げないよね、茜ちゃん?」

美玲さんが、いつもの優しい笑顔のまま、だけど絶対に逆らえないような凄みを持って私を見た。


逃げられるわけがない。

私たちの胸の奥にある火は、まだ消えちゃいないんだ。


「……やります」

私は左腕のチェンジャーを強く握りしめた。

「マグレじゃないってこと……私たちが、本当の戦隊になったってこと、先輩たちに証明してみせます!」


「良い返事です」

玲奈さんが薄く笑った。

「では、地下の特別演習場へ移動しなさい。……あなたたちの化けの皮、私たちが剥がしてあげましょう」


---


【Bパート】


事務所の地下、あのドローン群との死闘を繰り広げた広大な特別演習場。


私たちは五人横一列に並び、正面に立つ六人のステラセイヴァーズの先輩たちと対峙していた。

先輩たちはまだ変身していない。制服や私服のままだ。

対する私たちは、すでにチェンジャーを展開し、戦いの準備を整えていた。


「舐められてるね……変身もしてくれないなんて」

翠が木刀を肩に担ぎながら、悔しそうに舌打ちをする。


「相手は生身でも私たち以上です。油断しないでください」

葵が深く息を吐き、姿勢を低くした。


「始めなさい」

玲奈さんの静かな号令が、広い空間に響き渡る。


「行くよ、みんな! 新・煌変!!」


「「「「「新・煌変!!」」」」」


眩い光が私たちを包み込み、キラリンジャーのスーツが装着される。

あの時と同じだ。光は強い。チェンジャーは確かに応えてくれている。

いける。やれるはずだ!


「ハァァァァッ!!」


先陣を切ったのは私だった。

『キラリンセイバー』を抜き放ち、真っ直ぐに紅葉さんへと踏み込む。

炎の軌跡を描く、私の全力の一撃。


だが――。


「遅い」


ガンッ!!


「……えっ!?」


紅葉さんは炎の剣を避けることすらせず、生身の腕……いや、ほんの少しだけ展開した『炎の魔力』を腕に纏わせ、私の剣を正面から素手で弾き返した。


強烈な反発力に、私の身体が後ろへ大きく弾き飛ばされる。

「きゃあぁっ!」


「茜!」

「私がカバーする! 雷光烈蹴!」

咲が空中へ跳躍し、紅葉さんの死角からキックを放つ。


だが、咲のキックが届く前に、空中でひかりさんが待ち構えていた。

「大振りすぎんだよ、咲!」

ひかりさんの回し蹴りが、咲の横腹に容赦なくクリーンヒットする。

「ぐはぁっ!?」


「咲ちゃん!! 今行きます……きゃっ!?」

桃がシールドを展開しようとした瞬間、足元の影から陽菜さんが優雅に滑り込んできた。

「よそ見はいけませんよ、桃さん」

陽菜さんの杖が桃の膝裏を軽く叩く。それだけで桃の体勢が完全に崩れ、床に転がされた。


「くっ……翠! 左右から挟み撃ちに……」

葵が指示を出そうとしたが、目の前にあきさんが立っていた。

「あなたの思考パターンは、私が構築したデータモデルの範疇を出ません」

あきさんの流れるような関節技が葵の腕を捕らえ、鮮やかに投げ飛ばす。


「ふざけんなぁぁっ!」

翠が風の刃を振り回して突っ込むが、美玲さんが柔らかい動きでそれをいなし、背中へ軽く掌底を当てる。

「力みすぎだよ、翠ちゃん。風が重たくなってる」


ドンッ!

翠が前のめりに倒れ込む。


開始から、わずか数十秒。

私たちは全員、床に這いつくばって荒い息を吐いていた。


「……何をしているのですか?」

少し離れた場所で、腕を組んだまま一歩も動いていない玲奈さんが、冷ややかな声を落とした。


「スーツの出力は上がっている。スピードも威力も、以前の比ではない。……ですが、中身が伴っていない。あなたたちの攻撃には、あの時のような『熱』がまったく感じられません」


「う……あ……」

私は這い上がろうとして、木刀を握る手がカタカタと震えているのに気づいた。


怖いからじゃない。

「どうして上手くいかないのか」が分からないからだ。


「マグレだと言われたくない……だから、完璧にやらなきゃ……」

葵が泥にまみれた顔を上げて、うわ言のように呟く。

「同調率を上げなければ……あの時の光を……もう一度……」


「それがダメなんだよ」


紅葉さんが、見下ろすように冷たく言い放った。


「お前ら、あの時の『奇跡』を再現しようとして、無理やり自分たちの感情を作ってるだろ。絶望的な状況でもないのに、悲壮感ばかり漂わせて、肩に力が入りまくってる。そんな焦りや見栄で作った絆なんかで、アタシたちに傷一つつけられるもんか」


図星だった。


あの時みたいに光らなきゃ。

あの時みたいに、死に物狂いで連携しなきゃ。

そう思うほど、私たちの心はバラバラになって、表面上の「戦隊っぽい動き」をなぞっているだけになっていたのだ。


「奇跡は、起こそうとして起きるものではありません」

陽菜さんが、静かに杖を下ろして言った。

「あなたたちがあの時放った光は、泥の中でただ『みんなと生きたい』と願った、純粋な心から生まれたものです。今のあなたたちにあるのは、『先輩に認められたい』という焦燥だけ。……そんなものでは、世界は守れません」


悔しかった。

反論できなかった。

焦れば焦るほど、私たちのチェンジャーの光は、弱々しく霞んでいく。


「……残り時間、五分」

玲奈さんが無慈悲にカウントダウンを告げる。


「どうする、パステリズム。ここで諦めて、アイドルのバックダンサーに戻るか?」


ひかりさんの挑発的な声。


私は、唇を噛みしめた。

血の味がした。


---


【Cパート】


「……戻るわけ、ないじゃん」


私は震える足に力を込めて、ゆっくりと立ち上がった。


「茜……」

咲が痛む腹を押さえながら、私を見上げる。


「私たち……間違ってた」

私は、自分の手の中の『キラリンセイバー』を見つめた。


「絶望の中でしか光れないなら、そんなのヒーローじゃない。私たちは……ピンチの時だけじゃなくて、何気ない日常の中でも、誰かのために笑って、誰かのために歌う『アイドル』なんだから」


アイドル。

ステージの上で、お客さんの笑顔を見るために、毎日毎日、血の滲むようなレッスンを繰り返す。

そこに「死の恐怖」なんてない。あるのはただ、誰かに喜んでほしいっていう、あったかくて前向きな願いだけだ。


「奇跡なんて、いらない」


私がそう言うと、葵がハッとして顔を上げた。


「そうか……私たちは『非日常』の光を追い求めすぎていた……。私たち本来の強みは、日常のステージで培ってきた、観客と、そして仲間との『調和(ハーモニー)』だったはずです!」


「へへっ……そうだよな」

翠が口元の血を拭って、ニヤリと笑った。

「悲壮感背負って戦うなんて、私たちに似合わねぇ。いつものライブみたいに、思いっきり楽しんで、思いっきり暴れてやればいいんだ!」


「うん……!」

桃がシールドを構え直し、パーッと顔をほころばせた。

「先輩たちを、私たちの一番のお客さんだと思って……最高のステージを見せちゃおう!」


「よーし! だったらセンターは私だーっ!」

咲がバネのように飛び起き、元気いっぱいに両手を広げた。


私たちの中にあった、ドロドロとした焦りが、ふっと消えていくのが分かった。

空気が軽くなる。

呼吸が合う。

目配せ一つで、全員が今何をすべきか、完璧に理解できた。


「行くよ、みんな!」

私が叫ぶ。


「「「「「オォォォォォッ!!!」」」」」


チェンジャーが、今までで一番澄み切った、純粋な五色の光を放ち始めた。


「フォーメーション・ライブ・アクト! 展開!」

葵の指示が飛ぶ。

これまでのような「敵を倒すための殺陣」じゃない。

観客を魅了し、連携し、一つの作品を創り上げる「ダンス」のステップ!


「なんだ……!? 動きのリズムが変わった!?」

紅葉さんが一瞬、戸惑いの声を上げる。


「咲、桃! フロントに出ます!」

「りょーかいっ!」

「はいっ!」


咲と桃が、息の合ったツインボーカルのような動きで、ひかりさんと陽菜さんへ向かって飛び込んでいく。攻撃を当てるためじゃない。相手の視線と意識を『惹きつける』ための、華麗なフェイントステップ!


「くっ、ちょこまかと……!」ひかりさんが打ち下ろす拳を、咲はアクロバットで鮮やかに回避する。


「翠! センターへの道を開けて!」

「任せな! バックダンサーの意地、見せてやるよ!」

翠が風の刃を旋風のように振り回し、あきさんと美玲さんの陣形を強引にこじ開ける!

「くっ……力任せですが、軌道が読めません!」あきさんが後退する。


「今だ、茜!!」


翠の叫びとともに、私の目の前に、月城玲奈さんへと続く真っ直ぐな道(センターステージ)が開かれた。


「行きます……玲奈さん!!」


私は地を蹴った。

死に物狂いじゃない。恐怖もない。

ただ、大好きな先輩に、私たちの成長を見てほしい。私たちが届ける『煌めき』を、真正面から受け止めてほしい。


「ハァァァァァッ!!」


炎の剣を振りかぶる。

玲奈さんは動かない。ただ、その銀色の瞳で私を真っ直ぐに見据えている。


「……来なさい、茜」


玲奈さんが、初めて腰のレイピアに手をかけ、それを抜き放った。

本気の迎撃。


ガキィィィィンッ!!!!!


炎の剣と、銀色のレイピアが激しくぶつかり合い、爆発的な火花が演習場全体を照らし出した。


重い。

玲奈さんの剣は、やっぱりとてつもなく重くて、私の腕の骨がミシミシと悲鳴を上げている。

だけど。


「私たちは……もう、折れない!!」


私の背中に、咲の手が、桃の手が、葵の手が、翠の手が、そっと添えられたような気がした。

五人の想いが、日常で培ってきた確かな絆が、私の剣に炎の推進力を与える。


「押し……切るっ!!」


ギリギリッ、と音を立てて。

私の炎の剣が、玲奈さんのレイピアを、ほんの数センチだけ、確かに後ろへと押し込んだ。


そして――剣の先から弾けた小さな炎の欠片が、玲奈さんの白いスーツの肩口を掠め、小さく焦げ跡を作った。


ピピッ、ピピッ、ピピッ。


終了を告げるタイマーの音が、静かに響き渡った。


---


【エピローグ】


静寂。


私は剣を振り下ろした姿勢のまま、荒い息を繰り返していた。

全身の力が抜けて、膝から崩れ落ちそうになるのを、必死に堪える。


玲奈さんは、レイピアをゆっくりと鞘に収め、自分の肩口の小さな焦げ跡を一瞥した。


「……有効打、一本」


玲奈さんの声が、地下空間に響いた。


「見事な連携でした。……最後は、あなたたちらしい『アイドルのステージ』になっていましたね」


玲奈さんの口元に、フッと、本当に微かな、だけど確かな微笑みが浮かんだ。


「やった……」

私が呟くと同時に、後ろで咲が「やったぁぁぁぁぁっ!」と叫んで飛び跳ねた。

桃もへたり込んで泣き笑いし、葵もメガネを外して目を拭い、翠はガッツポーズを作って天を仰いでいた。


美玲さんがパチパチと拍手をしながら歩いてくる。

「すごかったよ、みんな! 最後のフォーメーション、本当に綺麗だった!」

「……チッ、腹立つくらい息が合ってやがったな」紅葉さんも、不満そうにしながらも口元は笑っている。

「あはは! アタシたちを観客扱いするとは、いい度胸してんじゃん!」ひかりさんが私の頭をガシガシと撫で回す。


「データ上はあり得ない軌道変更でした。……ですが、それがあなたたちの『戦隊』としての強さなのですね」あきさんがタブレットを閉じながら感心したように言う。

「日常の絆こそが、最大の奇跡を生む。……それを証明してくれましたね」陽菜さんが優しく頷いた。


玲奈さんが、バインダーを手にして私たちの前に立った。


「合格です、パステリズム」


その言葉に、私たちの胸の奥が、温かいものでいっぱいになった。


「あなたたちの成長は、一時的なマグレではありません。日常の積み重ねがもたらした、本物の『強さ』です。……これでようやく、あなたたちを本物の『妹分』として、この街を任せることができます」


「玲奈さん……! ありがとうございます!」

私たちは五人で深く、深く頭を下げた。


どん底からの再起。

そして、自分たちの力で見つけ出した、本当の『煌めき』の形。

第二シリーズは、もう奇跡に頼らない。私たちが、私たちの足で、この街の笑顔を守り抜いていくんだ。


「さて」

玲奈さんが、くるりと背を向けて歩き出す。

「実力は証明されましたが、アイドルとしての振り入れはまだ終わっていませんよ。シャワーを浴びたら、すぐに上のスタジオに戻りなさい。夕方までみっちりやります」


「ええええぇぇぇぇっ!?」

咲の悲鳴が、また地下演習場にこだまする。


「休ませてくれないんだ……相変わらず鬼プロデューサーだね」翠が苦笑する。

「でも……」私は左腕のチェンジャーを見つめ、ギュッと拳を握った。

「これが、私たちの『日常』だもんね。行こう、みんな!」


私たちの、本当の戦いと、そしてアイドルの日常が、ここからまた新しく始まっていく。


---


【次回予告】


茜「先輩たちとの模擬戦を乗り越えて、ついに本当の戦隊として認められた私たち!」

咲「よーし! これからはアイドルもヒーローも、バリバリこなしてトップを目指すぞー!」

葵「ですが……ネット上で『キラリンジャー』の存在が都市伝説としてバズり始めています。身バレの危機です」

桃「ええっ!? 正体がバレたら、アイドル活動できなくなっちゃうの!?」

翠「ヒーローの正体は秘密ってのが相場だろ。……隠し通してやるよ!」

茜「歌って踊って、影で悪を討つ! 私たちの二重生活、一体どうなっちゃうの!?」


次回、煌戦隊★キラリンジャー 修行譚 第15話:

『身バレの危機!? アイドルとヒーローの二重生活!』


燃え上がれ、勇気の煌き★!

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