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闇王日記 〜闇の神様、人間の幼児になって無双する〜  作者: S


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9/15

カンナミ森

全て私の妄想の話です

闇王がソファに腰を下ろすと、そのふかふかさに驚いた。


こんな柔らかい椅子に座ったことがなかったからだ。


少し腰を浮かせては座り直し、その感触を何度も確かめる。


ふかふか加減を堪能していると――


「コホンッ」


ギルド長が咳払いをした。


闇王は名残惜しそうに動きを止めた。


「私はこのギルドを治めるギーファといいます」


「私はサーシャだ」


「そうですか」


ギーファは穏やかに笑った。


そして、ずり落ちた眼鏡を指で押し上げる。


「そろそろ本題に入りましょうか」


そう言った瞬間、部屋の空気がわずかに張り詰めたのを闇王は感じた。


「サーシャさん。あなたは一体何者なのですか? 見た目は七歳ほどですが、その体には不釣り合いな大剣を持っています。ただ者ではありませんよね。それに書類には三歳と書かれていましたが、本当ですか?」


「本当なのだ」


「ほ、本当なんですね!?」


ギーファは耳を疑った。


見た目は七歳ほどに見える。どう見ても三歳の体格ではなかった。


落ち着こうと再び眼鏡のブリッジに触れる。


「では、なぜ三歳のあなたが旅をしているのですか?」


闇王は、お使え様のことを話した。


「お使え様ですか!?」


ギーファは目を見開いて驚いた。


そして同時に、サーシャの潜在能力が異常に高い理由にも納得した。


「話は変わりますが、SSSランクのサーシャさんにお願いがあります」


「!?」


なんだか面倒なことになりそうだ、と闇王は思った。


「カンナミ森の奥地には黒曜石が採れる鉱山があります。その道中にいる魔物を討伐していただきたいのです。もちろん報酬も弾みますよ」


そう言うとギーファは、ジャラッと音を立てながら大きな袋を二つテーブルに置いた。


「ここには3000リタずつ入っています。前金としてお渡ししましょう。食費や宿代も大変でしょうから」


お願いしますね。


そう微笑むギーファから、闇王は妙な圧力を感じた。


確かに闇王は小柄だったが、食欲だけは人並み外れていた。


昨日の夜のことだ。


「お食事は酒場でお願いします」


ウェートレス姿のラナが言った。


「お客様はとても食欲旺盛ですので」


笑顔だったが、目だけは笑っていなかった。


闇王はそれを感じ取り、素直に酒場へ向かった。


扉を開く。


カランコロン――


鈴の音が響いた。


店内にはカウンター席とテーブル席が並び、多くの客がジョッキを片手に楽しそうに騒いでいる。


闇王は空いている席へ座った。


するとウェートレスがやって来た。


「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」


闇王はメニューを開く。


「食べ物を全部とミルク」


「全部ですか!?」


「全部食べられるぞ」


ウェートレスは大きくため息をついた。


「……かしこまりました」


しばらくすると、大量の料理が運ばれてきた。


山盛りの焼き飯。


巨大な骨付き肉。


皿いっぱいの唐揚げ。


闇王は勢いよく食べ始めた。


ガツガツと料理を平らげていく。


あっという間にテーブルの上は空になった。


最後にミルクを飲み干し、満足そうに息を吐く。


その様子を見ていたウェートレスは呆然としていた。


そして会計。


「1200リタになります」


闇王はよく食べる。


つまりお金がかかる。


そのことを思い出し、ギーファの依頼を断れなかった。


「わかった。やる!」


こうして闇王はカンナミ森へ向かった。


森の奥へ進むにつれ、周囲は薄暗くなっていく。


するとすぐに魔物が現れた。


緑色の肌。


尖った耳。


ボロボロの布を巻き、棍棒を持っている。


魔物図鑑によればランクFのゴブリンだ。


「か弱そうだ」


闇王は駆け出した。


グレートソードをぶんぶん振り回す。


斬られたゴブリンたちは光となって消えていく。


しかし倒しても倒しても現れる。


さすがの闇王も少し呆れた。


それでも剣を振りながら進み続ける。


やがて森が明るくなった。


その先にはゴブリンの村が広がっていた。


鎧を着たゴブリン。


弓を持つゴブリン。


槍を持つゴブリン。


剣を持つゴブリン。


だが、どんな武器を持っていても関係なかった。


飛んでくる矢を避け、槍兵と剣兵を斬り伏せる。


そのまま弓兵にも接近し、一掃した。


村の中心へ辿り着く。


すると巨大なゴブリンが現れた。


筋骨隆々の体。


王冠。


黒いマント。


巨大な大剣。


魔物図鑑によればランクDのゴブリンキングだ。


振り下ろされた大剣を跳躍して回避する。


そのまま頭上から一刀両断。


着地すると同時に、背後でゴブリンキングが光となって消えた。


闇王は再び走り出した。


しばらくすると――


ドスン、ドスン。


遠くから地響きが聞こえてくる。


その音は徐々に近づいてきた。


同時に大量のオークキングが現れる。


闇王は攻撃をかわしながら次々と斬り倒していく。


そして地響きの主が姿を現した。


「ランクBの巨人だ!」


その大きさは家四軒分以上。


しかも二体いた。


巨人が巨大な手を叩きつける。


闇王は素早く回避した。


「スピードはキングスライムの方が上だな」


巨人たちは地面を滅茶苦茶に叩き続ける。


闇王は片方の腕によじ登った。


腕が振り上げられた瞬間に跳躍する。


そして頭部を一閃。


首から上が吹き飛んだ。


さらに光が消える前にもう一体へ飛び移り、同じように斬り倒した。


だが――


バキッ。


グレートソードにひびが入った。


「もろいのだ!」


まだ鉱山には着いていない。


闇王は再び走る。


途中で現れるオーガキングの群れも蹴散らした。


やがて鉱山の門が見えてくる。


その時――


金色のローブをまとい、王冠を被った巨大なオーガが現れた。


手には黄金の杖。


魔物図鑑によればランクBのグレートキングオーガ。


「ファズン!」


「ん?」


何も起きない。


闇王は首を傾げた。


「ファズン! ファズン! ファズン!」


グレートキングオーガは焦っているようだった。


だが闇王には通じない。


そのまま近づき、一撃で倒した。


こうして鉱山へ到着し、依頼は達成された。


ギルドへ戻ると、ギーファが待っていた。


「残りの報酬400ラダです」


金貨の入った袋を渡される。


「あの巨人が厄介だったのだ」


「グレートキングオーガも現れたのだ」


「グレートキングオーガですって!?」


ギーファは目を見開いた。


「ずっと『ファズン』と唱えていた」


「グレートキングオーガの出現は初耳ですね。よく無事に帰ってこられました。ファズンは即死魔法ですよ。これもお仕え様の加護なのでしょうね」


ギーファは納得したようにうなずいた。


隣にいたリアはただ驚くばかりだった。


「ランクBを三体も討伐してくださったのですね。追加で二百ラダお渡ししましょう。それと剣も新調した方が良さそうです。鍛冶屋のヴァッハさんに頼むのが一番でしょう」


「そうなのか。すぐ行ってくるのだ」


闇王は報酬を受け取り、腰へ下げた。


そして鍛冶屋へ向かう。


「おう、嬢ちゃん。どうした?」


「グレートソードにひびが入ったのだ」


「無茶な戦い方をしたな。今の剣じゃ嬢ちゃんの戦い方に耐えられなかったんだろう」


「新しいのを作ってほしい」


「鉱山開通は嬢ちゃんのおかげらしいな。なら俺が作らせてもらおう。黒曜石製の魔導グレートソードだ」


「魔導ってことは魔法が使えるのか?」


「いや。物理攻撃が効かない相手にも通用する程度だ」


ヴァッハはガハハハと笑った


「三日後に来てくれ」


その三日間、闇王は宿屋と酒場を行き来しながらのんびり過ごした。


そして三日後――


カンカンカン。


鍛冶場から聞こえる槌の音。


「ヴァッハ、できたか?」


「もちろんだ」


そこには漆黒のグレートソードが立てかけられていた。


鍔には水色の水晶が埋め込まれている。


「そうだ。さっきギルド長が呼んでたぞ」


今度は何なのだろう

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